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わたしたちは銀のフォークと薬を手にして / 島本理生(幻冬舎)
評価 ☆☆☆
年上のエンジニア・椎名さんと仕事先で出会った知世。
美味しいものを一緒に食べる関係から、
少しずつ距離が近くなっていったある日、
椎名さんは衝撃の告白をするが……。
限られた時間。たった一度の出会い。特別じゃないわたしたちの、特別な日常。
(感想)
30すぎてそれなりに経験してきた大人の女性たちの、
うまくいかない恋を描く作品です。
ここ数年の島本理生はメンヘラ臭がキツくてつらかったけど、
今回は恋だのグルメだの女性の好きなものがふんだんに盛り込まれていて、
苦しくない島本理生はほんとうに久しぶりでした。
椎名さんと知世を見ていると、
同じものを美味しいと感じられたり、楽しめたり、
そんな日常の特別じゃないことの喜びを共有できる人と一緒にいることこそが
「シアワセ」なんだな〜としみじみ感じます。
恋愛って、特別なキラキラを求めてしまいがちだけど、
ほんとはそうじゃない。それとは真逆のものこそが大事。
ああ、二人の静かな幸せが長く続くこと、心から祈りたいです。
椎名さんのプロポーズの言葉も素敵だったけど、
それよりも不倫に悩む飯田ちゃんの
「気にいられないと興味すら持たれないけど、気にいられてセックスしたら、
好きになってしまうか終わってしまうかのどっちかだから、結局いいことない」
って言葉の方が私には刺さったなー。
私は不倫してる人を批判する気持ちとかはまったくなくて、
むしろ不倫なんて誰にとっても明日は我が身かもしれないくらいに思ってます。
だって、ときめきは日常のすぐそばにけっこう転がっているものですもんね。
ただたんに自分の立場を考えて、
行動にブレーキをかけられるかどうか、それだけの違いです。
それに対して「結局いいことない」って・・・なるほど!
納得できすぎて「そりゃそうだ」ってストンと共感できてしまいました。
あははっww