# 彼女に関する十二章
2017.03.24 Friday
JUGEMテーマ:小説全般
彼女に関する十二章 / 中島京子(中央公論新社)
個人的な評価 ☆☆☆☆
息子は巣立ち、夫と二人の暮らしに戻った主婦の聖子が、
ふとしたことで読み始めた60年前の「女性論」。
一見古めかしい昭和の文士の随筆と、
聖子の日々の出来事は不思議と響き合って……
どうしたって違う、これまでとこれから――
更年期世代の感慨と、思いがけない新たな出会い。
上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説。
(感想)
60年前のベストセラー「女性に関する十二章(伊藤整)」を引用しながらゆるやかに進行する物語です。
50代の平凡な奥さんの日常を描いていると思いきや、意外に奥が深く、
様々な経験をしてきたこの年代ならではの寂しさや諦めも感じるのですが、
それがいい意味で心地いい。
平凡な、普通の、そんな女性に贈る「哲学書」といってもいいのかも。
この人生で誇れるような大きなことを何も成し遂げられなくても、
聖子さんのように自分の置かれた場所で自分なりに生きればそれでよし、と思えました。
案外、「人生」ってこういうものなのかもしれませんね。