# ウォーク・イン・クローゼット」
2016.01.14 Thursday
JUGEMテーマ:小説全般
ウォーク・イン・クローゼット / 綿矢りさ(講談社)
評価 ☆☆☆
28歳OL、彼氏なし。
素敵な服で武装して、欲しいものを手に入れたい!
女同士、男と女の微妙な友情と人間関係を描く、
コミカルでせつなくて少しブラックな魅力全開の2年ぶり最新小説集。
(感想)
表題作の「ウォーク・イン・クローゼット」と「いなか、の、すとーかー」の中編2本。
「ウォーク・イン・クローゼット」は私が彼らより上の世代だからなのか、
なんとなくほほえましい気持ちで読めました。
好みでない服で着飾って自分を武装してまでも素敵な彼氏をゲットしたい!!・・・
というタイプの女に好感を持つ女性は少ないと思うけど
(たとえ自分がその種類の女であっても)、
休日にその武装用の洋服達を大事に丁寧に洗濯してケアするのが至福の喜びだという主人公はたまらなく愛おしい。
これが彼女の美徳であり、人間性が出ているから愛せます。
彼女はまだまだいい女にはほど遠いけど、
だりあから送られてきた大量の服を
「今の自分には着こなせない。でもいつかこれが似合う女になってみせる」と思うあたりに成長を感じるしね。
早希もユーヤも一皮むけていい女(男)になって、
今ならいいカップルになれる気がします☆
綿矢りささんは現代の若者のあざとさ・毒・冷めてるとこ・・・などを書かせたらうまい作家だと思っていたけど、
この主人公の根本にあるものはそういうのとはちょっと違う気がしました。
「いなか、の、すとーかー」は綿矢りさが書くべき題材なのかな?
ストーカーものにはもっと陰湿で粘っこくて・・・みたいなものを期待するけど、
それに関してこの作品はあっさりしすぎていた気がします。
なぜ砂原さんがここまで執着したのかが不透明なので、
そのへんを深く描いてくれれば印象も違ったかもしれません。