隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 水のかたち
JUGEMテーマ:小説全般

 水のかたち(上)(下) / 宮本輝(集英社)

 評価 (上) ☆☆☆☆☆
    (下) ☆☆☆☆☆


東京下町に暮らす主婦・志乃子、50歳。
もうすぐ閉店する近所の喫茶店で、文机と朝鮮の手文庫、
そして薄茶茶碗という骨董品を女主人から貰い受ける。
調べてみるとその茶碗は、なんと三千万円は下らない貴重なものだった・・・。
予想もしなかった出会いから、人生の扉が大きく開きはじめる―。




(感想)

先日読んだ宮本輝さんと吉本ばななさんの対談集「人生の道しるべ」の中で、
何度か話の中に出てきていたので読んでみました。
いやー、素敵でした。「心が洗われる」という点でこの二人の作家は共通してるのかもしれません。

近所の喫茶店の店主からタダでもらった古い茶碗。
その価値を調べてみると3000万円の値打ちがあることがわかった。
どうやら店主はその価値を知らずに、気楽な気持ちで譲ってくれたらしい。
・・・さて、ここでどうするか?
周囲の人々は「店主との取引は終わったのだ。堂々と3000万をもらえばいい」という。
たしかに彼らの言うように、
元の持ち主に茶碗の真の価値を明かす義務はないのかもしれない。
その意見は正しい。
でも、主人公にとってそうすることは自分らしくなかった。
自分の生き方ではない。
道義の問題ではなく、
私の心の問題なのだと「心」を優先させようとする主人公がたまらなく好きです。
シンプルに「そういうのが嫌い、私らしくない」・・・・いい!!
人生で大きな何かを為したわけでもない平凡な主婦でも、
「自分はこうなんだ」という確固たる意志を持ち、
人一倍正直にまじめにバカ正直に生きている姿は、
何に劣るでもなく美しいと思いました。
この作品の幸福の連鎖を「現実にはありえないおとぎ話だ」と評価する人もいるのだろうけど、
こういう正直な生き方が素晴らしい「縁」や「絆」を運んでくるということに関しては本当だと思う。
私はやはり地道に生きる人が好きだと改めて実感しました。
私もそうありたいです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:58 | category:    宮本輝 |
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