# 空中庭園
2015.10.09 Friday
JUGEMテーマ:小説全般
空中庭園 / 角田光代(文藝春秋)
評価 ☆☆☆☆
郊外のダンチで暮らす京橋家のモットーは「何ごともつつみかくさず」。
でも、本当はみんなが秘密をもっていて…。
ひとりひとりが閉ざす透明なドアから見た風景を描く連作家族小説。
(感想)
けっこうイタいところを突いてきます。
気付かないふりをして、
見ないようにしてた部分をわざわざこじ開けて見せられた気分です。
でもこういうの、どこの家庭にもきっとある。
誰しも他人に対して演じてる部分はあって、家族に対しても然り。
だけどそれは家族がその人にとって、
必死で演じながらも守らなきゃいけない(守りたい)ものだということでもある。
その守ろうとする姿勢に愛を感じなくもないんですよねぇ。
この本を読んで、以前ある人が
「ウチは本当に仲良し家族なの〜♪」と言っているのを聞いて、ゾッとしたのを思い出しました。
だって私から見てその家のお婿さんはとても委縮しているように見えたし、
おじいちゃんおばあちゃんに敬語を使う孫たちにもとても違和感を感じていたので・・・。
客観的に見てなんとなくぎこちない家庭なのに、それでも「仲良しなの!」と言い切る。
理想的な家庭への憧れや孤独がその人にそう言わせたのかもしれないけど、
おそらくこの人も、この本の家族達も似たものを抱えているような気がします。