隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 虚ろな十字架
評価:
東野 圭吾
光文社
¥ 1,620
(2014-05-23)

JUGEMテーマ:小説全般

 虚ろな十字架 / 東野圭吾(光文社)

 評価 ☆☆☆☆


別れた妻が殺された。
もし、あのとき離婚していなければ、私はまた遺族になるところだった。
東野圭吾にしか書けない圧倒的な密度と、
深い思索に裏付けられた予想もつかない展開。
私たちはまた、答えの出ない問いに立ち尽くす。



(感想)

いつもの東野作品に比べると話の流れに動きが少なく、
少々退屈に感じたのですが、
これは手に汗握るエンターテインメント作品として楽しむものではなく、
「死刑とは」ということに真摯に向き合うための作品なのかもしれませんね。

憎き犯罪者に対し、死刑または無期懲役という重い判決に勝ち取ったとしても、
その犯罪者が最後まで心からの反省をしなかったら、
はたしてその判決に意味はあるのか?
犯人が心を入れ替えて更生したところで殺された人は戻ってこないし、
それで被害者が許してくれるわけでもない。
被害者家族が重く悲しい思いで費やした時間も決して戻らない。
小夜子の書いた原稿の中に
「人を殺せば死刑・・・そのように定める最大のメリットは、
その犯人にはもう誰も殺されないこと」とあったけど、
ほんとうにその通り。それだけでしかない。
あどけない小さな子供の命も、残忍な犯罪を犯した犯罪者の命も、
「たった一つの命」であることは間違いないし、
たとえ犯罪者であれど死刑になどしていいのか? 
逆に死刑制度はなくすなんてことはありえるか?
考えれば考えるほど、わからなくなるテーマです。
あまりに重い問いかけに、
読後の今でも自分の中での答えはまとめられずにいます。

だけど、人が人に対して、本当の意味での「裁き」を下すことなんてできない。
・・・これだけは確かなんだろうな。
| comments(0) | trackbacks(1) | 15:59 | category:    東野圭吾 |
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死刑は無力か・・・
小説「虚ろな十字架」を読みました。 著者は 東野 圭吾 11年前に娘を殺された中原はそのことが原因で妻と離婚し仕事も辞め伯父から引き継いだ会社で働いていた。 そこに娘の事件担当だった刑事が訪ねてくる 中原の元妻の小夜子が何者かに刺殺されたという。中原は
| 笑う社会人の生活 | 2015/12/05 6:00 PM |
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