隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# とっぴんぱらりの風太郎

 とっぴんぱらりの風太郎 /  万城目学(文藝春秋)


 評価 ☆☆☆☆



天下は豊臣から徳川へ―。

重なりあった不運の末に、あえなく伊賀を追い出され、

京(みやこ)でぼんくらな日々を送る“ニート忍者”風太郎。

その人生は、1個のひょうたんとの出会いを経て、奇妙な方向へ転がっていく・・・。


図書館の新着本コーナーで見つけてしまい、

あまりの分厚さに一瞬引いたけど、

「今借りなきゃ、当分は絶対回ってこないぞ」と思ったら決断は早かったです。

年末年始で仕事が猛烈に忙しかったけど、コツコツと読みました。


主に従い使命を全うすること・忍びとしての生きることの重み・・・

これまでの万城目作品とはちょっと違う重みがありました。

けど、なんか力の抜けるような面白さもあり、

だからこの厚さにも耐えられる。

だって、物語のキーワードとなるアイテムが「ひょうたん」って・・・w

ニート忍者って何?? ゆるすぎでしょww

忍者であれど一般の社会に放り出せれて、やることがなくボケーッと生きてれば

こんなにぼんやりテキトーになっちゃうのね。そのギャップが面白い。


だけど後半、命をかけて使命を果たそうとするあたりは

同じく分厚い時代物・町田康さんの「告白」を読んだ時のような

言い知れない感動がグアーッと襲ってきました。

ダメダメな風太郎が最後はかっこよかったもんなぁ。読後の余韻がいい!

| comments(0) | trackbacks(1) | 13:20 | category:    万城目学 |
# 偉大なる、しゅららぼん
JUGEMテーマ:小説全般
● 偉大なる、しゅららぼん  / 万城目学 
● 集英社 ● 1700円 
● 評価 ☆☆☆☆
琵琶湖畔の街・石走に住み続ける日出家と棗家には、代々受け継がれてきた「力」があった。
高校に入学した日出涼介、日出淡十郎、棗広海が偶然同じクラスになった時、
力で力を洗う戦いの幕が上がった!


(感想)

琵琶湖畔の街に古くから住む、不思議な「力」を持つ一族の話。
万城目さんお得意の壮大でバカバカしいホラ話なんだけど、
まじめに書かれているようでどっかふざけてる。
そのバランス感が難しく、また私にはどんぴしゃのツボだった。

誰もがタイトルを見たときからずーっと気になることば・・・・「しゅららぼん」。
なんだろうと思って、それを知りたくて読んでいると思うけど、
まさかそれがこんなこととは・・・しかも下品な方向にいくし。思わず脱力
いい意味でとんでもない落とし方だと思う。
それと主人公のお兄さんとか、お兄さんやグレート清子の師匠とか、
のちに絶対に物語に大きくかかわってくる重要な人物だろうな〜と思われるキャラクターたちが
結果的にほとんど出てきやしないという肩すかし感も悔しいけどいい。

ラストのドキドキは半端じゃない。
小説はいいけど、こんな素敵な終わり方するドラマを見ちゃったら一生忘れないだろうな。

あー、面白かった。
どのキャラクターも個性的で忘れがたいけど、淡十郎がいちばん好きだなぁ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:48 | category:    万城目学 |
# プリンセス・トヨトミ
評価:
万城目 学
文藝春秋
¥ 1,650
(2009-02-26)
コメント:大阪の男たちが守るべき熱き絆の物語

JUGEMテーマ:小説全般
●プリンセス・トヨトミ /万城目学
●文藝春秋
●1650円
●評価 ☆☆☆☆
長く閉ざされてきた扉を開けることになったのは、東京から来た3人の会計検査院の調査員だった。
五月末日の木曜日、午後四時。
市内の男たちは皆、大阪城へ向かう。そして大阪は全停止した。
前代未聞、驚天動地のエンターテインメント、始動。



(感想)
今回の舞台は大阪ですか。
ウソと歴史を上手に織り交ぜた万城目ワールドの奇想天外さは健在。

よくしゃべり、いつも冗談ばかり言っているように思われる大阪の人たち。
実は普段は口に出せない大きな大きな秘密をもっていて、それをカムフラージュしたいから・・・
そう言われちゃうとこの物語の舞台は大阪以外には考えられない(笑)

私が本気で吹き出してしまった「大阪国内閣総理大臣」という単語が出てきて、
話がどんどんおかしい方向へ行くまでが長すぎる。
会計検査院の仕事風景とか、前半の長さは余計でしょ。
大阪国の歴史と法律の件も解説じみていてちょっと冗長すぎる

ありえない、ばかばかしい設定の中にも男が男として守らればならないもの、
父と息子の強い強い絆・・・それを思うと熱いものがこみ上げてきます。
地域とか家族とか、時代が進むごとに失われつつ絆の大切さを再認識。
まさか万城目作品でこういう気持ちでいっぱいになれるとは

最後の最後の大阪女の懐の深さと強さに感服
やっぱ大阪のおばちゃんはサイコーです
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:45 | category:    万城目学 |
# ホルモー六景
ホルモー六景
ホルモー六景
万城目 学
JUGEMテーマ:小説全般

ホルモー六景/万城目学
角川書店
1365円
評価 ☆☆☆☆☆
自分たちの目にしか見えない「オニ」を使役し、
京都の選ばれた大学生が争う「ホルモー」。
こんな奇妙なサークル活動に巻き込まれた少年少女だって
人並みに恋もしてるんだ!
無類に楽しい青春文学にここに登場ぴかぴか



(感想)
「鴨川ホルモー」でホルモーという奇妙なサークル活動を描いた万城目学が、
今作ではホルモーにかかわる若者たちの恋愛ラブを描きました。
続編というよりはサイドストーリーのような位置づけの作品です。
「鴨川ホルモー」からのおなじみの登場人物もいれば、そうでない人もいます。
ホルモーがなんなのか知ってる人もいれば、
知らないのに巻き込まれていく人も・・・猫2
ホルモーなんていうバカバカしい世界に足を踏み入れた者でも、
サークル活動時以外は学業・アルバイト・そして恋・・・と普通の生活を送っている。
ホルモーそのものは描かれてないのに、
背景にホルモーがあるだけでうっすらと笑えちゃうわーい

とにかく「鴨川ホルモー」との絡ませ方がうまくって、
伏線を見つけるたびに「ああ!これは!」といちいち感動(^_^)
あのバカバカしいサークル活動をしてるヤツらの恋だとわかってても
不覚にも胸キュンしたり、ジーンとしたり・・・。
「鴨川ホルモー」だけでなく「鹿男あおによし」とまでリンクさせてあって
ファンサービスも満点です☆

「丸の内サミット」のシュールな結末に笑い(その後が知りたい!)、
「長持の恋」は切なく、あのチョンマゲの高村の恋の予感に自分のことのように喜び、
歴史的名作をモチーフにした「もっちゃん」は意外な人違いならぬ「阿倍くん違い」のうまさに唸ってしまい、
本当に楽しい作品でした。
女子的視点で見ると「鴨川ホルモー」よりこっちの方が好みかもニコニコ

あまりの満足度に「ホルモオオオオオォォォーッ」と心から叫びたいほどです。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
鴨川ホルモー、鹿男あおによし/万城目学
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:41 | category:    万城目学 |
# 鹿男あをによし
鹿男あをによし
鹿男あをによし
万城目 学
JUGEMテーマ:小説全般

鹿男おをによし/万城目学
幻冬舎
1575円
評価 ☆☆☆☆
大学の研究室に居づらくなり、
二学期限定で奈良の女子高学校に赴任した「おれ」。
奈良の鹿に突然話しかけられ、
鹿が彼に下した空前絶後の救国指令とは
「サンカク・・・」という宝物を探し、日本を救うことだった!



(感想)
「鴨川ホルモー」といい、
万城目さんのタイトルの付け方は絶妙にうまいですね猫2
思わず「何だろう?」と手にとってしまうでしょ、このタイトル。

奈良を舞台に、歴史を絡ませた
ファンタジーなのかミステリーなのか学園モノなのかよくわからない作品。
摩訶不思議。でも、面白いラッキー
表紙に然り、ストーリも漫画チックなのが一般ウケしそう。
万城目学さんのは発想力はバツグンだ。
これでもっと味のある文章を書ければ最高なんだけどな汗

「鴨川ホルモー」に比べると笑いはないんだけど、
鹿がしゃべったり、国の行く末を左右する宝物の名前が「サンカク」だったり、
ゆる〜いかんじでツボを刺激してきます。
大和杯の剣道の試合の場面は臨場感があって手に汗握り、
誰が狐の「使い番」で、誰が鼠なのかドキドキどんっ
最後までどうなるかわからない。
いい意味で振り回され、最後まで落ち着いては読めないぴかぴか
歴史を絡めてあるのに小難しくないのが私にとっては助かりました(笑)

ラストの別れのシーンと手紙メールピンクがよかったなぁ。
はちゃめちゃなストーリーを展開させておきながら、
こんなスッキリしたラストを用意してくれるとは・・・。

文学のエンターテインメント性を十分に感じさせてくれた作品でした。
あー、楽しかったおはな
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:47 | category:    万城目学 |
# 鴨川ホルモー
鴨川ホルモー
鴨川ホルモー
万城目 学
鴨川ホルモー/万城目学
産業編集センター
1260円
評価 ☆☆☆
≪一緒にENJOYしませんか? 京大青龍会≫
およそ一月半、幾多の新入生勧誘のビラメモを見てきたが、
これほど質の悪いものはなかった。
入会するつもりはなかった、
ただ新勧コンパでタダで飲み食いして逃げるつもりだった。
なのに俺は今、「ホルモー」の戦場に立っている。
京都の町に巻き起こる疾風怒濠の狂乱絵巻。
第五百代目「鴨川ホルモー」開始のファンファーレが京都に鳴り響く!




(感想)
説明してしまうと「ホルモー」とは、
大学生のグループが人間の言葉ではない奇怪な言葉で、
その言葉を習得した者にしか見ることのできない式神のような鬼のようなモノを操り、
他の大学のグループと対戦していくゲームのこと。

次々と判明していくホルモーの真実に飲み込まれていく学生たちの苦悩には笑えるし、
勝負の終了を意味する絶叫のシーンは想像するだけで噴き出してしまいそう楽しい
高村の暴挙なんて平成の世の中でありえんでしょ!
面白いのよ、面白い。
・・・でもなぜか完璧にはノレない。ひやひや
おそらく荒削りなんだな〜。
内容はそのままに、削る部分は削り、加筆する部分は加筆鉛筆2する。
この推敲作業がもっと必要なのかも。

ホルモーそのものではなく、
学生たちの人間関係にスポットの重きを当てている点もどうなのか・・・。
この競技の奇怪さ、くだらなさをもっと丁寧に描いてくれればなぁ。
もっと手に汗握る感じがほしいっ!!

さらに、この人の不幸は同世代の作家に森見登美彦がいたことにもある。
京都を舞台に、京大生たちの奇想天外な物語を描いてるいう点でどうしても比べてしまう。
その結果やはり森見ほどのセンスはなく、
京都という地の持つ味を生かし切れていないのをはっきりと感じる。
森見との違いをはっきりとさせ、
どんな方向へ変換していくかがこの人の今後の鍵。
でも、今後も追いかけてみたい作家ではありますねぴかぴか



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
四畳半神話大系/森見登美彦
| comments(2) | trackbacks(0) | 09:47 | category:    万城目学 |
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