隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# めぐらし屋
めぐらし屋
めぐらし屋
堀江 敏幸
めぐらし屋/堀江敏幸
毎日新聞社
1470円
評価 ☆☆☆
離れて暮らしていた父が亡くなり、
父の部屋を片づけていると奇妙なノート読書がでてきた。
「めぐらし屋」。
ノートの表紙にはそう書いてあるが、
その言葉の意味することにまったく見当がつかない。
その時、いきなり文机の上の電話電話が鳴って・・・。
記憶と謎に導かれ、蕗子さんが向かった先は・・・。



(感想)
堀江敏幸さんの世界は静かだ。

タイクツだけど心地がよく、どこかとぼけたようにゆるやかに進む。
作品の輪郭がはっきりせずに、
確信をつかめないままに不可解さを残しつつ幕を引くのだけど、
あえてはっきりさせる必要なんかないように感じさせちゃう不思議な作品。

比喩や表現が突拍子もなくて面白い。
登場人物を描くにあたり
「○○さん」「○○君」と決して呼び捨てじゃないのもなんか力が抜けてていい。
きっとこれは雰囲気を楽しむ作品なのだと思います。

何も起こらないけど、
とっても優雅な時間を過ごさせてくれる本でしたラッキー
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:45 | category:    堀江敏幸 |
# 雪沼とその周辺
雪沼とその周辺
雪沼とその周辺
堀江 敏幸
雪沼とその周辺/堀江敏幸
新潮社
1470円
評価 ☆☆☆☆
山あいの静かな町・雪沼。
ボウリング場、フランス料理屋、レコード店、
製函工場、書道教室などを営む人びと。
日々の仕事と真摯に向きあい、
暮らしを紡いでゆくさま、その人生の語られずにきた甘苦を、
細密な筆づかいで綴る短篇集。


(感想)
山あいの静かな町・雪沼とその近隣に住む、
普通の人たちの静かな生活を描く7編の連作短編集。

澄み切った空気の透明感というか、
作品全体に漂う空気が村上春樹の作品に漂うそれと似ています。

特別な産業もない、
小さく静かな町で目立つこともなく生きている人にも
それぞれの人生がある。ドラマがある。
大きな出来事など起こらない作品ですが、
粉雪ゆきがしんしんと降り積もるように、
心にあたたかいものがじ〜んと舞い降りてくるような
そんな雰囲気のある作品でしたニコニコ

7編の中でも、子供たちを集めて書道を教える夫婦のお話「送り火」、
腕に自信がないものの、細々と中華料理店ラーメンを営む夫婦のお話「ピラニア」が素敵でした。

私はこの本をこの冬いちばんの寒波雪の襲った2月に読みました。
この時期に、窓の外に降る雪を眺めながら静かにじっくり読むのが
この本の最も味わい深い読み方だと思います。



●この本を好きな人におすすめなのは・・・
世界の終わりとハードボイルドワンダーランド/村上春樹
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:56 | category:    堀江敏幸 |
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