# 彼女は頭が悪いから
2019.02.21 Thursday
JUGEMテーマ:小説全般
彼女は頭が悪いから / 姫野カオルコ(文藝春秋)
個人的な評価 ☆☆☆☆
横浜市郊外のごくふつうの家庭で育ち女子大に進学した神立美咲。
渋谷区広尾の申し分のない環境で育ち、東京大学理科1類に進学した竹内つばさ。
ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはずだった。
渦巻く人々の妬み、劣等感、格差意識。そして事件は起こった…。
(感想)
すんごいタイトル、そしてムカムカ不快な読後感。
それでも読む手が止まらないのが悔しい。グイグイ読ませる作品。
事件の根底にあるのは、
「東大」というブランドへの優越感、劣等感、妬み、媚び・・・それぞれの立場での生々しくもいやらしい感情。
それを描く姫野さんの文章は的確でありながらもどこか冷たく、
そんなものに振り回される人たちの愚かさを笑っているのかのように感じます。
とにかくひとりひとりの人物描写の細かさが秀逸です。
勉強ができるかどうかなんて本当はちっぽけなことなのに、
人を見るときにまずはそれが大きな判断材料になるなんてなんだかつらい世の中だなぁ。
実際に社会に出てしまえばそんなの一切通用しない。
そんなこと、誰もがわかってるはずなのにね・・・。
男の部屋についていく女も悪い。
それを言ってしまえばその通りなんだろうけど、
場を盛り上げようと努力した女の子の気持ち・つばさへの好意を想うと切なくなります。
だから一概に「女も悪い」とは言い切れません・・・。
実際にあった事件が下敷きになっている小説だけに、より生々しくリアルさを感じる小説でした。