隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 総選挙ホテル
評価:
桂 望実
KADOKAWA/角川書店
¥ 1,620
(2016-06-01)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 総選挙ホテル / 桂望実(角川書店)

 

 評価 ☆☆☆☆

 

売り上げが落ちこむ中堅ホテル・フィデルホテル。
支配人の永野は悩みながらも改善策を打ち出せないでいた。
そんなある日、大学で社会心理学を教えていた変人教授が社長職に就くことに。
彼が打ち出した案は「従業員総選挙」。
従業員同士が選挙をし、落選すれば解雇もやむなしという崖っぷちの投票制度。
ざわつく従業員を尻目に、さらに管理職の投票も行われた。
混乱しつつもなんとか新体制が整い、

徐々にそれぞれが新たなやりがいを見いだしていき……。
『県庁の星』の著者が描く、感動のエンタメ小説。

 

 

 

(感想)

 

従業員同士の選挙によってリストラや配置が決まるなんて、なんて恐ろしいっ!

仲間内に不信感が生まれ決していい結果は生まないと思って読み始めたけど意外や意外。

「リストラされる」「裏切られる」というネガティブな感情より、

「自分の気付かない魅力を見ててくれた人がいた」「新しい自分の発見」という

喜びの方に焦点を当てているのが気持ちのいい作品でした。

それぞれがいい方向へ進むにつれ、

ホテルの業績も上がっていくという展開が面白かったです。

 

「自分のやりたい仕事」が必ずしも「天職」「適職」とは言えない可能性もある。

ならば「達成感」「やりがい」・・・それを見いだせる仕事に就こう。

夢を見るよりそんな職業に就くことの方が幸せの近道になるんですね。

最後に後藤さんが言っていた

「平凡な毎日の中にある数え切れないほどの幸せの種」

これを一つずつ探していく・・・そんな生活、地味ではあるけどいいと思う。

そしてそういう幸せのかけがえのなさに気付いて大事にできる人も素敵!

 

ここでこれから読む人のために私から一つおせっかいですww

ぜひ、読む前に紙を一枚準備してください。

主な登場人物一覧や人物相関図がなく、誰が誰だかわからなくなるので、

ぜひぜひ自分で書きながら読むのをおすすめします。

私はこれをやらずに読み始めたのでかなり苦戦しましたが、

途中でこれを作ったらその後はスムーズに読むことができました。

これを作るのと作らないのでは理解度が格段に違いますよ〜〜。

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:39 | category:    桂望実 |
# 僕とおじさんの朝ごはん
評価:
桂 望実
中央公論新社
¥ 1,728
(2015-02-24)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 僕とおじさんの朝ごはん / 桂望実(中央公論新社)

 

 評価 ☆☆

 

ぐうたらで無気力に生きるケータリング業者の水島健一。

だが、ある少年と出会い、人生と真面目にかかわらざるを得なくなる―。

少年が最後に下した決断に、水島はどう向き合うのか!書き下ろし感動長篇。

 

 

(感想)

 

いやー、タイトルにもある「僕」に該当する人物が出てくるまでが非常に長いです。

物語が始まるまでの前フリ、こんなに必要なんでしょうか?

 

「テキトーに生きてたおっさんがある少年との出会いと別れによって変化・成長する。」

・・・こう書けばいい話に思えるかもしれないけど、

ここまで味合わないと変われないなんて逆に情けないと思ったのは私だけ?

でも何事も手を抜かずに、まじめにやっとけば道も開けるんだなとしみじみ思ったり。

 

やっぱり食べ物の持つパワーってすごい、これは身にしみて思いました。

まさに「食はいのち!」ですね♪

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:38 | category:    桂望実 |
# ワクチンX
評価:
桂 望実
実業之日本社
¥ 1,728
(2015-09-04)

JUGEMテーマ:小説全般

 ワクチンX / 桂望実(実業之日本社)

 評価 ☆☆☆


仕事の成功、円満な家庭―ただ、幸せになりたいだけだった。
加藤翔子は、20年前にワクチン製造会社を起こし、会社は大きな成長を遂げた。
ブリッジが製造する“ワクチン”は
「人生を変えたい」と願う人間にとって必需品だったが、
ある日突然、原材料が死に始める。原因は不明。
ワクチンの効果は20年で切れるため、
このままだと接種者がパニックに陥る可能性がある。
だれよりもそれを恐れたのは、ワクチン接種第一号である翔子だった…。
成功とは何か、幸福とは何か価値観をゆさぶる感動作。



(感想)

ワクチンをめぐるサイエンスミステリーかと思いきや、
作品のテーマは思わぬ方向へ・・・。
「幸福とは何か」「これからの人生をどう生きたいか」を考えさせられる展開に、
スリリングなものを求めていた人は肩透かしを喰らうかもしれません。
後半の数十ページは私自身の人生まで考えさせられ、
特に記者会見の日の登場人物それぞれの言葉には胸が熱くなるような思いでした。
でも、エピローグはきれいにまとめすぎかな?
エピローグはなくてもよかったかもしれません。

「発想力」「工夫力」「配慮力」「強調力」「落ち着き」「活力」
「朝鮮力」「機動力」「応用力」「粘り強さ」「柔軟性」「責任感」
「感受性」「優しさ」「瞬発力」「心の強さ」「自己肯定力」
「鈍感力」「冷静力」「決断力」・・・・
この20種類のワクチンの中から自分ならどれを入れよう?
読者なら誰しもが考えることでしょうw
うーん、私は「柔軟性」「心の強さ」「自己肯定力」かなぁ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:08 | category:    桂望実 |
# 週末は家族
評価:
桂 望実
朝日新聞出版
¥ 1,680
(2012-01-04)

JUGEMテーマ:小説全般

 週末は家族/桂望実(朝日新聞出版)

 評価 ☆☆☆☆
 

テンポがよく、数時間で読み終えてしまいました。

児童養護施設の演劇を見て、天才的な演技力をもつ子供を見つけた劇団主宰者が
週末だけの里親制度を利用してその少女を支援をすることになるのだが、
週末のたびに彼が少女にさせるのは特殊な人材派遣の仕事・・・。
そんな経験の中から生まれる少女と夫婦のきずなを描きます。

世間一般の“当たり前”からは少し外れている3人が
次第にチームになっていく姿がよかったです。
思ったことはきちんと口に出すことにしたひなたちゃんのしっかりした考え方が好き。
そうだよね、血がつながっている家族だから一緒にいて幸せとは限らない。
そんな思い込みから窮屈に生きている人ってきっとたくさんいるんだろうな。
瑞穂が無性愛者である設定に関しては本当に必要だったのかナゾだったけど、
大輔と瑞穂が本当に強く子供を求めている夫婦だったとしたらこの話しは成立しないよね。
「いい家族を作る」ことより「いいチームを作ること」の方がずっと意味がある!
そう気づかせてくれた作品です。

読了し、改めて表紙を見るとジーンとくるわぁ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:24 | category:    桂望実 |
# WE LOVEジジイ
評価:
桂 望実
文藝春秋
¥ 1,500
(2009-01)
コメント:都会から来た青年が巻き込まれる田舎の町おこし!

JUGEMテーマ:小説全般
● WE LOVEジジイ  / 桂望実
● 文藝春秋
● 1500円
● 評価 ☆☆☆
後輩の自殺の原因は自分の裏切りにあると考えた売れっ子コピーライターの岸川は、
誰にも言えない責任を感じ、孤独を求め、華やかな都会の生活と仕事を捨てて過疎化の進む田舎へ引っ越してきた。
しかし村を愛する、熱心でちょっと頼りない地域活性課職員の池田に強引に勧誘されて、
町おこしに乗り出す羽目に…
過疎、高齢化、外国人労働者・・・現代社会の様々な問題を抱えた村が息を吹きかえす



(感想)
都会から田舎に引っ越してきた元コピーライターが村の地域おこしに巻き込まれていく地域再生ストーリー。
過疎化する村、高齢者問題、外国人労働者の厳しい労働問題・・・
現代社会が抱えている様々な問題を織り込んでいるのですが、
それを一気に解決しようという力技ともとれるような強引な作品という印象です。
比較的短めの作品なのに盛り込みすぎだなぁ
魅力的なキャラも多いし、面白くなる要素はたっぷりなんだから、
もう少し長編でじっくり書くべきだったのかも。

田舎の良さは十分に描かれています。
濃密な人間関係を築かなければ生きていくことができない田舎
孤独にのんびり暮らしたい・・・無理です。
嫌でも生活の中に周囲の人々が侵食してきます(笑)
そのウザったさがウザさを超えて、かけがえのないものになっていく過程は自然でうまい

でも、せっかくの地域おこしのゲーム輪投げの様子にドキドキも臨場感もないんだよなぁ
ゲーム輪投げはたしかに子供から老人まで平等に楽しめるゲームでなんだから、
もう少しここにボリュームが欲しかった。

押さえどころはいいけど、いまいち盛り上がりにかけるのがもったいない作品でしたね。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:45 | category:    桂望実 |
# 明日この手を放しても
明日この手を放しても
桂 望実
明日この手を放しても/桂望実
新潮社
1365円
評価 ☆☆☆
19歳で途中失明して夢を失った「可愛く」ない凛子。
自分勝手で「文句ばっかり」の真司。
一番近くにいても誰より遠い兄妹の未来に待っているのは・・・。
家族の愛がぎっしり詰まったハートフルな長編小説。



(感想)
途中失明した19歳の妹と自分勝手な兄。
決して仲の良い兄妹ではなかったけど、
父の失踪によりたった二人だけの家族となってしまい、
歩み寄りながら成長していく物語です。
各章ごとに語り手が兄と妹交互に代わり、1995年〜2006年の2人が描かれます。

失明とか失踪とか重たいものを含んでいるけど、
全体像は明るくハートウォーミング。読みやすかったですラッキー

はじめは仲良くも悪くもないような曖昧な関係だったけど、
悲しみを共有し、助け合うことにより強い絆がうまれる。
特に年月を経た兄の変化がとっても頼もしい。
兄が妹の目になっている様子がとても自然で(特に食事ディナーのシーンなど)
「この2人の姿を2人のご両親にも見せてあげたかった・・・」
と、私までしみじみ感じちゃうほどニコニコ笑。

桂望実さんの作品は明朗でわかりやすいイメージがあるけど、
今作は父の失踪に対する答えがないことでちょっと中途半端あせあせ
でもそのナゾがテーマじゃないから、その点は大目に見てあげてもいいのでは・・・。

それにしても装丁がダサいなしょんぼり汗
現代のデザインじゃないでしょ、これ・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:21 | category:    桂望実 |
# Lady,GO
Lady,GO
Lady,GO
桂 望実
Lady,GO/桂望実
幻冬舎
1575円
評価 ☆☆☆☆
自分のことを好きになれない派遣会社勤務の南玲奈は、
No.1キャバクラ嬢口紅の美香にスカウトされた。
私、かわいくないし、ネクラだし、上手に嘘もつけないよひやひや
こんな私にキャバクラ嬢なんて勤まるの!?
『県庁の星』の著者、渾身の傑作長篇。




(感想)
自分に自信の持てない女の子がひょんなことからキャバクラ嬢に!
キャバクラでの経験や出会いを通し、自分のやりたいことを見つけていくお話です。

オカマのスタイリスト・ケイさんの言葉が素敵おはな
ケイさんが主人公に語るかける言葉は、
まるで自分に言われてるかのように説得力とパワーがありました。

自分はこの程度だとあきらめない。
興味のないこと・苦手なことにも飛び込んでみる。
自分の居場所じゃないはずの場所に本当の居場所があるというのも大いにありえる。
必要なのはいろんな所へ出ていく勇気と積極性だと強く訴えてくる。

挨拶、聞き上手、顧客管理、営業管理・・・・・。
すべての仕事においての基本はキャバクラでも同じ。
どうしても軽く見られてしまう仕事だけど、
自分の外見を磨くことも含め努力が必要だし、
根性がないとできない仕事なんですね。
この仕事を続けられる人を尊敬しますぴかぴか
疲れ、悩む人を癒し、気分良く楽しませるなんて女神のような仕事だわおはな

「県庁の星」に比べると著者自身の成長も感じられます。
「県庁の星」では会話の部分でこれが誰のセリフかわかりにくい部分が多かったけど
今回はそんなことまったくない。
また主要人物以外の人物の個性が弱く、描き切れてなかったんだけど、
どのキャラもしっかり生きてました猫2

六本木のキャバクラバーを舞台にしているのに、
セックスややくざや裏社会的なものにはほとんど触れずに匂わす程度。
それに違和感を感じる人もいるかもしれないけど、
そういうものを描くのが本筋ではないのだからこれでいいと思いますウィンク
(現実はこんなに甘くないけどね)
ムダを省き、あくまで主人公の成長と変化にこだわった爽快な作品です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:38 | category:    桂望実 |
# 県庁の星
県庁の星
県庁の星
桂 望実
県庁の星/林望実
小学館
1365円
評価 ☆☆☆☆
野村聡、Y県初の民間人事交流研修対象者6名の一人に選ばれた期待のホープ。
一年間の研修を無事にこなして戻れば、
念願の係長への階段を同期に先んじて確実に登ることができる。
ところが、鼻高々で望んだ辞令交付式で命じられた赴任先は…田舎のスーパーびっくり
ここでは県庁での仕事の常識はまったく通用しない。
ド田舎のスーパーで浮きまくり、
生まれて初めてバカと呼ばれた「県庁さん」・・・あせあせ
はたしてこのまま「民間」でやっていけるのか!?



(感想)
今さらな作品なんですけど・・・面白かったラッキー

エリート街道まっしぐらの県庁職員が
民間企業との交流研修の一環で田舎のスーパーに派遣されて起こる騒動を描きます。

人の考え方や価値観は生まれ持ったものや育った環境によって出来上がる。
水と油は絶対に混じりあわないかもしれないけれど、
仮にそれがうまく混しったら強大なものを生み出すのかも。
両極端な県庁さんとスーパーの面々とのやりとりは笑えるけど、
異種交流の可能性を感じさせてくれます猫2

そしてどこに行ったって「頑張ってる姿」は必ず伝わる。
ちゃんと誰かが見ていてくれて、認めてもらえるものなんだぴかぴか

スーパーは主婦の私にはとっても身近なテーマであり、
親近感を抱きつつ読めました。
特に県庁さんが惣菜おでんのコーナーで体験する裏話や
このお店を利用する客層にあわせた商品構成の難しさなど
こちらの想像しやすいエピソードで構成されてるから理解度も高い。
2,3時間で読める気軽さもあり、このへんがヒットの要因でしょうね。

しかし、会話の部分でこれが誰のセリフかわかりにくい部分が多かったり、
登場人物がほとんどすべて苗字で記してあるので、
誰が誰なのかがいまいち把握できないなど小説としてはマイナスの部分も多い。
おそらく著者のテクニック不足でしょう。
これからもっともっと書いて腕を磨いてくれることを期待します☆

人とのコミュニケーションにおいての新しい発見、
働く上でのノウハウも学べる学びの多い本でした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:45 | category:    桂望実 |
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