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総選挙ホテル / 桂望実(角川書店)
評価 ☆☆☆☆
売り上げが落ちこむ中堅ホテル・フィデルホテル。
支配人の永野は悩みながらも改善策を打ち出せないでいた。
そんなある日、大学で社会心理学を教えていた変人教授が社長職に就くことに。
彼が打ち出した案は「従業員総選挙」。
従業員同士が選挙をし、落選すれば解雇もやむなしという崖っぷちの投票制度。
ざわつく従業員を尻目に、さらに管理職の投票も行われた。
混乱しつつもなんとか新体制が整い、
徐々にそれぞれが新たなやりがいを見いだしていき……。
『県庁の星』の著者が描く、感動のエンタメ小説。
(感想)
従業員同士の選挙によってリストラや配置が決まるなんて、なんて恐ろしいっ!
仲間内に不信感が生まれ決していい結果は生まないと思って読み始めたけど意外や意外。
「リストラされる」「裏切られる」というネガティブな感情より、
「自分の気付かない魅力を見ててくれた人がいた」「新しい自分の発見」という
喜びの方に焦点を当てているのが気持ちのいい作品でした。
それぞれがいい方向へ進むにつれ、
ホテルの業績も上がっていくという展開が面白かったです。
「自分のやりたい仕事」が必ずしも「天職」「適職」とは言えない可能性もある。
ならば「達成感」「やりがい」・・・それを見いだせる仕事に就こう。
夢を見るよりそんな職業に就くことの方が幸せの近道になるんですね。
最後に後藤さんが言っていた
「平凡な毎日の中にある数え切れないほどの幸せの種」
これを一つずつ探していく・・・そんな生活、地味ではあるけどいいと思う。
そしてそういう幸せのかけがえのなさに気付いて大事にできる人も素敵!
ここでこれから読む人のために私から一つおせっかいですww
ぜひ、読む前に紙を一枚準備してください。
主な登場人物一覧や人物相関図がなく、誰が誰だかわからなくなるので、
ぜひぜひ自分で書きながら読むのをおすすめします。
私はこれをやらずに読み始めたのでかなり苦戦しましたが、
途中でこれを作ったらその後はスムーズに読むことができました。
これを作るのと作らないのでは理解度が格段に違いますよ〜〜。