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アンマーとぼくら / 有川浩(講談社)
個人的な評価 ☆☆
休暇で沖縄に帰ってきたリョウは、
親孝行のため「おかあさん」と3日間島内を観光する。
一人目の「お母さん」はリョウが子どもの頃に亡くなり、再婚した父も逝ってしまった。
観光を続けるうち、リョウは何かがおかしいことに気がつく。
かりゆし58の名曲「アンマ―」に着想を得た、書き下ろし感動長編。
(感想)
有川浩さんの文体は軽い。小説を読みなれている人にとっては軽すぎます。
けど、「図書館戦争シリーズ」や自衛隊を描いた作品たちは、
その重たい舞台設定と軽い文章・甘い恋愛描写が妙にマッチして、
なんともいえない科学反応を起こしていました。
それが有川浩さんの魅力です。
しかし、今作は「読者を泣かせてやりましょう感」が気になります。
中学生が読書感想文を書くには最適な本かもしれないけど、
それなりの読書体験のある大人はこれで泣けるほど単純じゃありません。
「血のつながりがなくても家族は家族」ってのがテーマなんだろうけど、
私にはどうも父親のいい年して子供すぎるとこと軽薄さが気になってしまって。
気持ちがまっすぐないい女ほどこういう幼稚な男を
「いつまでも少年のような人」なんてとらえてコロッといっちゃうんですよねー。
あーあ。
私がもともと沖縄という地にそれほど魅力を感じてないからそう感じるのかもしれないけど、
沖縄の観光地の名称がやたらと出てきて、観光本っぽく思えるのも気にかかります。
有川浩さんの作品ということで、期待も大きかっただけに残念度も高かったです。