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JUGEMテーマ:小説全般
● 方舟 / 夕木春央
● 個人的な評価 ☆☆☆☆
大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は
偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。
翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。
さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。
いずれ地下建築は水没する。
そんな矢先に殺人が起こった。
だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。
生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。
タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
(感想)
評判通り、面白かったです。
犯人の検討がまったくつかないままラストを迎えての大どんでん返し。
破壊力がすさまじく、マジかーーー!と唸りました。
しかし、閉じ込められた密室に便利な道具や食料があったり、
謎解きをしてくれるコナンや金田一少年的な登場人物がいたり、
あまりに都合よすぎることが多すぎるんだよな。
この密室内に連続殺人犯がいて、
しかもあと数日で浸水して死ぬかもしれないという極限の中で、
意外にみんな冷静に過ごしてるのも納得いきません。
個性的で魅力ある登場人物が一人もいないのにも物足りなさを感じます。
個人的には謎解きミステリーとしての面白さより、
「愛されていない者は死んでもいい?生きてる価値がない?」ということの方が
この作品の真のテーマなのではないかと感じました。