隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
<< August 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
# スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | - | | category: - |
# 新月譚
評価:
---
文藝春秋
---
(2012-09-20)

JUGEMテーマ:小説全般

新月譚  / 貫井徳郎(文藝春秋)

評価 ☆☆☆☆


八年前に突然絶筆した作家・咲良怜花は
若い編集者の熱心な復活のアプローチに自らの半生を語り始める。
そこで明かされたのはある男性との凄絶な恋愛の顛末だった―。



説明不足な点も多いけど、
最後まで一気に読ませる吸引力はある作品だったと思います。

自分の容姿に激しい劣等感を持つ女性が主人公です。
一言でいえば恋愛小説なのかなぁ?

劣等感を抱えて生きてきた彼女をはじめて褒めて、愛してくれた「木之内」という男。
彼女が大人になり、女になり、
才能を開花させるのに必要不可欠だった彼女にとっての唯一の存在です。
彼女が整形をしたのも、作家デビューしたのも、すべては木之内のため。
木之内ははたから見れば不誠実でずるい男なんだけど、
名声や他者の目なんかよりも、この人の言葉だけがすべてだった。
すべては好きな男のため・・・私はそんな生き方もありだと思う。
それによって自分の才能を開花できたんだから、この恋は悲しいだけの恋じゃない。
得るものはあった、そう思いたい。

でも残念なことに書くことをやめてから今日まで、
主人公がどう生きてきたかがまったく描かれていない。
そして、書かなくなった理由にも拍子抜け。
主人公の隠された秘密を期待させるような書き方をしているわりにこの程度の理由とは・・・・。
強い恋心に引き寄せられ、何か大きな秘密があるのではとワクワクして読んだのに、
あまりにも陳腐な展開でした。
(でも、それに気づくまでは面白かったです)
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:47 | category:    貫井徳郎 |
# 私に似た人
評価:
---
---
---
()

JUGEMテーマ:小説全般

私に似た人 / 貫井徳郎(朝日新聞出版社)

評価 ☆☆☆☆


小規模なテロが頻発するようになった日本。
ひとつひとつの事件は単なる無差別殺人のようだが、
実行犯たちは一様に、自らの命をなげうって冷たい社会に抵抗する“レジスタント”と称していた。
いつしか人々は、犯行の方法が稚拙で計画性もなく、その規模も小さいことから、
一連の事件を“小口テロ”と呼びはじめる―。



未来に希望の抱けない若い貧困層による「小口テロ」が相次ぐ日本のお話。
若い貧困層がどんどん増えて、人とのかかわりも少なくなり、
ネットでしか人と繋がれない人も多くなっていた今、
誰でもいい、計画性もない、ただ自分の命や未来を投げ打ってでも社会への不満を示したい・・・・。
一歩間違えば似たような行動を起こしてしまいそうな崖っぷちの人はたくさんたくさんいる。
これはフィクションだでは済まされない気がしました。

連作短編のような形になっていて、
テロを起こすもの・被害者・被害者の元恋人・テロ犯の家族・・・など様々な角度で語られます。
それにしても語り手の人数多すぎ?なかなか話が進まなくてイライラ。
語り手の人数減らして、もっと短くまとめてもよかったような気がします。

モヤモヤを抱えたままやりきれない思い出生きる若者をネットで見つけ出し、
言葉巧みに小口テロへと誘導する《トベ》という人物がカギを握っているのですが、
最後の最後で《トベ》の正体までたどり着くんだけど、この正体がなんとも・・・・。
ポカ〜(o'д'o)〜ン...でした。
読者に《トベ探し》もさせてくれない予想外の結末ってどうなんでしょ?
ちょい拍子抜け。

面白かったけど、もっとコンパクトにできたこと。
そして、読者をまったく置いてけぼりにした展開が残念なので☆は4つで。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:30 | category:    貫井徳郎 |
# 乱反射
評価:
貫井 徳郎
朝日新聞出版
¥ 1,890
(2009-02-20)
コメント:私もあなたも加害者になるかもしれない・・・

JUGEMテーマ:小説全般
● 乱反射 / 貫井徳郎
● 朝日新聞出版
● 1890円
● 評価 ☆☆☆☆
ほんの少しの職務怠慢、ルール違反、事なかれ主義、尊大な態度・・・・・・
複雑に絡み合ったエゴイズムの果てに、悲劇は起こった。
裁くことのできない、罪さえ問えない人災の連鎖により奪われた命・・・。
遺族はただ慟哭するしかないのか?
モラルなき現代日本を暴き出す、新時代の社会派エンターテインメント!
 

(感想)

普通ならプロローグのあとに1章、2章、3章・・・とすすんでいくものだけど、
この本は「−44」からはじまります。
残すところ3分の1までも読んだ頃にやっと「0」となり「1」がきて、
ここではじめて事件が起こるというカウントダウン形式が盛り上げてくれます。
つまり、3分の2は事件の序章にすぎないのだけど、
ここでそれぞれの人物像をしっかり綴ることに大きな意味のある作品なのです。

犬のフンを放置したり、ちょっとだけ仕事の手を抜いたり、
誰にも迷惑をかけないと思ってほんのちょっとズルをするなんて誰にだってあること。
でも、それが誰かの運命を大きく変えているかもしれない・・・。
読めば読むほどに気が滅入る話でした。

たとえ知らない誰かの人生が崩壊してしまったとしても、
「あなたが犬のフンを始末しなかったから子供は死んだ」なんて・・・。
ほとんど言いがかりとしか思えない・・・。
ここで謝ったら自分の穏やかな人生までもが終わってしまうかもしれない、なのに素直に頭を下げられますか?
その答えは考えても考えても出てきませんでした。
この程度のルール違反、誰でもやってしまうでしょ???
だから謝ることをしない人たちの気持ちもわかるんです。

とりあえず、モラルについてもじっくり考えてみるきっかけにはなりました。
普段の無意識やエゴがとんでもないことを引き起こしてるのかもしれないんですね。
今日から気をつけようー。

乱反射って・・・本の内容、そのままのタイトルだったんですね・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:33 | category:    貫井徳郎 |
# 夜想
夜想
夜想
貫井 徳郎
夜想/貫井徳郎
文藝春秋
1680円
評価 ☆☆☆☆
事故で妻と娘をなくして絶望の淵で生きてきた雪籘の運命は、
ある美少女と出会ってから大きく動き始める。
彼女は物に触れることによって、
所有者の何かを読みとるという特殊な能力を持っていた。
彼女はこの能力を困っている人たちのために広く使いたいと思いはじめ、
雪籘も積極的に協力するが、状況は彼女たちの望まぬ方向へ・・・。
新興宗教をテーマに魂の絶望と救いを描いた雄渾の傑作長篇。



(感想)
傷ついた人は「何かにすがりたい」と思うものだ。
それが「宗教」であるというのは珍しくもなんともない話。

他人の目から見たらこれは明らかに宗教だけど、
何かにすがるというのは間違ったことではない。
本当に怖いのは宗教そのものではなく何かに過度に依存してしまう執着心。
絶望も欠落感も無理に埋める必要はなく、
その気持ちを忘れずにしっかり生きていく・・・
実はこっちの方がずーっとたくましい。
それに気づけないことが、人の絶望を埋められない要因になってしまうのだと思う。

本人たちは「宗教」ではないと言っても、まわりはどうしてもそう見てしまう。
組織が大きくなればなるほど、意見の食い違いも増え、
当初の理想とはかけ離れた方へ進んでいくとまどい・・・・。
「集団」の恐怖も感じさせられました。

たたみかけるように悲しみや人間の心理の怖さが襲ってくるけど、
最後は明るい方向へ進んでいくお話なので希望が持てます。
テーマは重いけど、難しいことはまったくないのでテンポ良く読めました。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
ゴサインタン ―神の座―/篠田節子
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:46 | category:    貫井徳郎 |
# 空白の叫び(下)
空白の叫び 下
空白の叫び 下
貫井 徳郎
空白の叫び(上)/貫井徳郎
小学館
1785円
評価 ☆☆☆☆
少年院を退院した彼らはそれぞれ自分の生活を取り戻そうとするが、
社会の目は当然冷たく、徐々に行き場をなくしていく。
わずか10ヶ月の院生活で彼らはまったく更正していない。
自らの犯した殺人を悔い改めることはない。
そして、そんな再び3人が出会う日がくる。
新たな犯罪の予感を感じながら・・・。



(感想)
下巻は少年を出た3人が、社会でなかなか受け入れられず、
またもや新たな犯罪に手を染めてしまうまでを描いています。

一度罪を犯してしまった人間に対して
社会が冷たいのは当然のことで、
彼らは普通の人以上の頑張りが必要となる。
そこを理解せず、社会に反発するように新たな犯罪に手を染める少年達。

あまりに幼い発想。
幼い故に分別が付かず、犯罪に手を染めてしまった少年達は
理解力がないのだから、更正にも時間がかかるはず。
そのへんが今の日本は甘い。

要は少年を更生させるって、心や体に覚えこませるのではなく、
人対人で真摯に向き合ってくれる大人の存在が必要なのかもしれない。

葛城と神原の関係の件はいかにも作られた感があったけど、
被害者の父が久藤に語った真実にはハッとさせられる繋がりがあり、
久藤が更正への道を歩む道しるべとして
うまくつながっていると思いました。

少年達の心の叫びは最後の最後まで鳴り止むことなく、
結局3人に欠けていたものは、
注がれることのなかった愛情なのかもしれません。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
空白の叫び(上)/貫井徳郎
さまよう刃/東野圭吾
天使のナイフ/雫井脩介

| comments(6) | trackbacks(0) | 11:54 | category:    貫井徳郎 |
# 空白の叫び(上)
空白の叫び 上
空白の叫び 上
貫井 徳郎
空白の叫び(上)/貫井徳郎
小学館
1785円
評価 ☆☆☆☆
久藤は自分の容姿や頭脳が凡庸なことを嫌悪している。
頭脳明晰、経済的にも容姿にも恵まれている葛城は、
決して奢ることもなく常に冷静で淡々としている。
神原は両親との縁が薄く、自分の境遇を不公平と感じている。
3人は普通の中学生だった。
なのに、なぜ殺人者になったのか・・・。
少年犯罪を少年達の視点で描くクライムノベル。



(感想)
第一部は3人の少年が殺人を犯すまでの経緯、
そして二部は読むに耐え難い過酷な少年院生活を描きます。

少年達を突き動かしたのは「敗北感」や「絶望感」だった。
自分という「個(または自分の愛するもの)」を
激しく踏みにじられた瞬間の爆発どんっ
彼らはまだ幼く、傷つくことや負けることに慣れていない。
経験したことのないショックが、怒りへ直結する。

少年院の生活においてもそう。
分別の付かない子供の集まりだから、抑制が効かない。
人としての境界線を越えることに、
罪悪感も恐怖も持ち得ない愚かさはまさに幼さと同類。

しかし、少年院に入る少年達の心の汚れも問題だけど、
理穂の汚れのなさも現在人の私達には脅威である。
まるで水と油のような久藤と理穂がが分かり合えるはずもなく、
破滅へ進むしか道がないのは、わかる気がした。

第二部を読むのは途中でリタイアしたくなるほどつらい。
読むのには覚悟が必要です。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
空白の叫び(下)/貫井徳郎
さまよう刃/東野圭吾
天使のナイフ/雫井脩介
| comments(2) | trackbacks(0) | 11:23 | category:    貫井徳郎 |
# 愚行録
愚行録
愚行録
貫井 徳郎
愚行録/貫井徳郎
東京創元社
1785円
評価 ☆☆☆☆

人が羨む華やかな暮らしを送っていた一家が惨殺された。
さまざまな証言から浮かび上がる一家の肖像、
家族を取り巻く者たちの思惑・・・。
人間達の愚行のカタログ。

(感想)
インタビュー形式で構成されていて
いろんな人の証言を元に様々な角度からの真実が見えてきます。

同じ人の話をしていても人によって見方・感じ方はまったく違い、
人の本質の不透明さが興味深かったです。
しかもそのインタビューもだんだんエスカレートしてきて、
あとになればなるほど不快な話がでてくるたらーっ
不快指数は120%越えあせあせ
それこそが著者の狙いなんだろうけどさぁ。

出身地・学歴・育ち・・・
人の価値をこんなことで評価するのはとにかく愚かの一言に尽きるけど、
この事件の根本にあるのは すべてこういった歪んだ羨望感や嫉妬。
そんな心の汚らわしさこそが「愚行」ならぬ「愚考」。

本筋である一家惨殺事件。
冒頭に出てくる幼児虐待の小さな新聞記事。
合間に挟み込まれた女性が兄に語りかける独白。
この3点の関連性が最後の最後でキレイに合致した時は 不快ながらも爽快でした。


●この本を好きな人におすすめなのは・・・
Q&A/恩田陸
グロテスク/桐野夏生
| comments(2) | trackbacks(1) | 12:14 | category:    貫井徳郎 |
Selected Entry
Categories
Archives
Profile
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
にほんブログ村
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
Search this site
Sponsored Links