隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# イン・ザ・ヘブン

JUGEMテーマ:小説全般

 

 

 イン・ザ・ヘブン / 新井素子(新潮社)

 

 評価 ☆☆☆

 

「ねえ、史子ちゃん、天国って、あると思う?」

八十過ぎ、余命数週間の今日子さんは、あたしより三十も年上のお友達。

天国では「病気をしていても元気になって、なりたい年齢に若返る」というあたしに対し、

「でも、小さい頃死んじゃった子供は大きくなりたいんじゃないかしら」と妙に理屈っぽい。

話すたびに、天国はどんどん複雑な状況になっていって…。

短編10編とエッセイを収録。

 

 

 

(感想)

 

新井素子さん、久々に読んだけど、やっぱりこの自然体な文体、好きだなぁ。

軽いタッチで綴りながらも作品の大きなテーマは「生と死」「滅び」「失い」・・・・と、

決して軽く語れるものではなく、

この不思議な壮大さがこの方の魅力なのではないかと思います。

 

中でも「ここを出たら」の展開には驚かされました。こう来るっ!?

後半ではまったく違うお話になっちゃって、まるでプログレみたいと思ったりw

この短編集の中ではこれがいちばん好きでした。

| comments(0) | trackbacks(0) | 13:53 | category:    新井素子 |
# ひとめあなたに・・・
ひとめあなたに…
ひとめあなたに…
新井 素子
ひとめあなたに・・・/新井素子
角川文庫

評価 ☆☆☆☆
地球地球の余命はあと一週間・・・。
私は恋人の朗に会うために、彼の元へ行くことに決めた。
地球滅亡の混乱の中、練馬から鎌倉まで。
非現実のような現実の中で彼だけを求めて・・・。

普段、どんなにきれいごとをならべていても、
パニック時(しかも地球滅亡の危機)には人間の本質が
露見されるのだと思い、とても怖かった。

ただでさえ、いつ訪れるかわからない
「自分の死」を考えると眠れなくなる夜月がある。
それほどまでに恐れていた死が間近に迫り、
狂ってしまう人々・・・。

これってホントに人間の確信を付いている!
きっとほとんどの人がやりきれなさでそうなる。

そんな中、主人公はただ「彼に会いたい」という思いだけを抱き、
ひたむきに鎌倉へと向かう。
狂気も人の真実に違いないけど、
主人公の愛も間違いなく人の真実ですよね〜。

前に何かの本で読んだ
「人は愛するために生まれてきた」、
この言葉を主人公に見た気がしました。

新井素子、20歳の頃の作品です。
20歳でこのスケールの大きさには驚かされます。
彼女の独特の世界観は誰にも真似できない。
もっともっと書いてほしい鉛筆2作家なんですけどねぇ汗


ちなみに・・・
よく、「もし明日死ぬとわかってたら、
思いっきり好きなものを食べてから死にたい」
なんて言う人がいるじゃないですか。

私もね、これ読むまでは思ってました。
すき焼きとか寿司とか・・・。
でもねぇ、そんなのいかにナンセンスか、
本当に死が迫ってきたら食なんてどーうでもよくなるということが
はっきりわかりました汗

もしあと一週間でこの世界が滅亡するとしたら、
私は誰と、何をして過ごしたいだろう。
誰もがそれを考えずにはいられないと思います。



●この本を好きな人におすすめなのは・・・
終末のフール/伊坂幸太郎
チグリスとユースラテス/新井素子
| comments(0) | trackbacks(1) | 10:50 | category:    新井素子 |
# チグリスとユーフラテス
チグリスとユーフラテス
チグリスとユーフラテス
新井 素子
チグリスとユーフラテス/新井素子
集英社
1890円
評価 ☆☆☆☆
宇宙暦363年。
惑星ナインに移住した人類は原因不明の人口減少をたどり、
最後の子供・ルナがたったひとりナインに取り残される。
「生きること」の意味を問う超大作。

(感想)
人生の意味」という壮大なテーマを、
はるか彼方の惑星・ナインを舞台に問い掛けるSF長編。

まず、この文体に苦手意識[:ふぅ〜ん:]を持ってしまう人は多いと思いますが、
この砕けた調子の文体に似合わずテーマは大きく深いので
こらえて最後まで読んでくださいね(笑グッド

「生きていく意味」を彼女たちは必死に探した。

最後の子供として生まれたルナはナインの絶望の象徴でもあったのかもしれない。
読者もはじめからナインが滅び行くことはわかった上で読み進めていくのだけれど、
レイディ・アカリが目覚めたことによってルナの人生は思わぬほうに進んでいく。
一個人の「生きる意味」ではなく、
よりスケールの大きいこの惑星全体の意味をも作り出していく二人。
まさかこの作品の最後に感じるのが「絶望」ではなく
希望」だったとはまったく想像できなかったです。

女としても、職業人としても、とにかく読み応えのあり、
いろんな意味でインパクトのある作品でした嬉しい

ただし、もうちょっと余韻に浸りたかったのに、このあとがきはどうなんだ?
一気に現実に引き戻されてしまうので、
これから読む人はあとがきは少し時間を置いてから読んだほうがいいかもしれませんたらーっ

●この本を好きな人におすすめなのは・・・
終末のフール/伊坂幸太郎
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:39 | category:    新井素子 |
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