# i アイ
2017.05.25 Thursday
JUGEMテーマ:小説全般
i アイ / 西加奈子(ポプラ社)
個人的な評価 ☆☆☆☆
「この世界にアイは存在しません。」と入学式の翌日、数学教師は言った。
ひとりだけ、え、と声を出したのはワイルド曽田アイ。
その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
ある「奇跡」が起こるまでは――。
(感想)
西加奈子さんが内面に抱える孤独感やアイデンティティが
この作品を書かせたんだと思います。
この人が書くからこそ説得力のあるテーマなのではないでしょうか。
不自由なく、幸福に暮らせることに罪悪感を持つ必要はありません。
何が大事かというと、
たとえ何も行動を起こせなかったとしても、「知ること」「感じたこと」。
この感情はその人を形作るうえでとても意味のあることだと思います。
個人の力だけでは、世界を変えることはできないけど、
こういう意識を持つ人がじわじわと増えていくことによって、
世界はいい方向へ動くのではないかと信じたいです。
あと、本編とは関係のないことですが、
又吉や中村文則に帯を書いてもらったのは失敗だと思います。
このへんのメンバーの仲良しアピール、もういいかげん食傷気味なんですけど・・・。