# ビザール・ラヴ・トライアングル
2008.01.31 Thursday
ビザール・ラヴ・トライアングル
浅倉 卓弥
JUGEMテーマ:読書
●ビザール・ラヴ・トライアングル/浅倉卓弥
●文藝春秋
●1500円
●評価 ☆☆☆
たとえこの世界から肉体が失われても、想いまで消えてしまうことはない。
失った人への想いを忘れることも、消す必要もない。
日常に起こる不思議な出来事を繊細な筆致で描いた短篇集
(感想)
死者がこの世に残した深い想いを受け取ったり、
失った人への想いを抱えて生きていく人々を描く短編集です。
ホラーっぽいものもあれば、ハートウォーミングなものまで
一言で死へまつわる短編集と言っても様々な切り口の話がそろってます。
失ってしまった人の記憶やその人への想いは
時間が薄めてくれるものなのだろうか。
けど、だからといって消滅させていいものではなく、
いつまでも大切に大切にしていかなければならないもの。
でも、決して自分の一方的な想いだけでなく、
その人がどんな想いで、何を残して逝ってしまったのかも考える優しさも必要だ。
浅倉卓弥さんの本は正直言っていつも退屈です。
のめり込ませてくれるような面白さはない。
けど繊細で、美しい文章を書く人でだからつい手にしてしまうんですよねぇ。
私が弟を失って3週間が経ちます。
どんな内容なのかも知らずに手に取った本だったけど、
そんなタイミングでこの本を読んだことにはなんだか意味がありそう。
何かが私にこれを読ませてくれたのかもしれない。
この本はこんな経験をした私がこれからどう生きるのか、
そして逝ってしまった弟に対して
私が何をしてあげられるのかを考えるきっかけになりそうです。
表題作の「ビザール・ラヴ・トライアングル」にこんな文章がありました。
「生きている者にはどれほど逃れたくても明日が襲ってくる。」
何があっても、そして何もなくても私たちは生きていかねばならない。
それだけは事実です。
これからをどう生きるかは自分次第にかかってるんですね。