隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 母の待つ里 / 浅田次郎
評価:
価格: ¥ 1,760
ショップ: 楽天ブックス

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● 母の待つ里 / 浅田次郎(新潮社)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

庭も故郷も持たない人々の元に舞い込んだ〈理想のふるさと〉への招待。

半信半疑で向かった先には奇跡の出会いが待っていた。

雪のように降り積もる感動、全く新しい家族小説にして永遠の名作誕生!

 

 

 

(感想)

 

富裕層が高額で「疑似ふるさと」を体験するという驚くべきストーリー。

実家の両親のすぐそばに暮らしている地方在住の私には考えられないお金の使い方ですが、

すでに両親を亡くし、田舎を持たない富裕層にとっては魅力的なサービスなのかもしれません。

彼らのような成功者であっても、心のどこかには満たされない寂しさがあり、

その一方で、若者が都会へ出て過疎化が進み、

これといった産業もない地域でこのようなサービスに従事する村人がいることにも物悲しさを覚えます。

しかしたとえ嘘のふるさとであっても、

ここを訪れた人が感じたなつかしさと母のあたたかさは本物。

そしてちよさんが彼らから受け取った愛も本物。

最後は悲しいけど、心温まるお話でした。

 

四季折々の美しさや日本の原風景は、そこに思い出のない人の心にも刺さる。

それは日本に生まれて誇らしいと思えることのひとつです。

このような風景は絶やさずに残していかなければならないと改めて実感しています。

| comments(0) | - | 10:39 | category:    浅田次郎 |
# ハッピー・リタイアメント
評価:
浅田 次郎
幻冬舎
¥ 1,575
(2009-11)
コメント:「天下り」ブラックユーモア小説

JUGEMテーマ:小説全般
 ● ハッピー・リタイアメント / 浅田次郎
 ● 幻冬舎
 ● 1575円
 ● 評価 ☆☆☆
定年を四年後に控えたしがない財務官僚・樋口慎太郎と愚直だけが取り柄の自衛官・大友勉。
二人が突如再就職先として斡旋されたJAMS(全国中小企業振興会)は、
元財務官僚の理事・矢島が牛耳る業務実体のない天下り組織。
その体質に今イチ馴染めない樋口と大友は、
教育係となった秘書兼庶務係の立花葵から、ある日、秘密のミッションを言い渡される…。


(感想)

なんつー、濃ゆい表紙
まぁ、この表紙見てもらうとわかるように軽妙でブラックユーモアたっぷりの小説です
世の中で目の敵にされている「天下り」。
普通にまじめに生きてる私たちにしてみれば絶対に許せない制度なのだけど、
そこを面白おかしく軽〜く描いているあたりが浅田さんらしい

普通の感覚を持っている人ならほとんど仕事らしい仕事がないのに
高給がもらえる天下りなんて良心がとがめてあたりまえ。
だから慎ちゃんとベンさんはやらなくたっていいのに、
時効が過ぎ、返済義務のない借金の取り立てに走り回ることにした。
でも、返せない人を追い詰めたりしない。
返せるくらいに稼いでいる人からだけ貰うんだから痛快です。

お金が絡みながらも、
主要キャラ3人がお金に対してギラギラした執念を持ってないのがいい。
その姿勢はあくまで淡白。
そこに本当の幸せの意味が隠されていそうです。

けど、どうしてだろう・・・?
読んでも読んでも、序章を読んでいるような気がしてて、
いつまでたっても本編に入らないな、と思っているうちに終わってしまった。
最後も小気味いい展開になっているはずなのに、なぜか爽快感がなかった。
なんなんですかね、この気持ち・・・。
慎ちゃんやベンさんと同世代のおじさんたちが読んだら、
感じ方は違うのかな?

いちばん笑ったのは
「人間誰しも、年齢とともに垢抜けてくるのは焼香の作法と屁の音である。」ってとこだな。
屁よりも、焼香の方で(笑)

噂によると・・・
プロローグの、浅田さんの家にJAMSの担当者が来たというエピソードはほぼ実話とか
この体験をもとにこの作品が生まれたっていうから、
世の中、何がどこにつながるかわからないものですね〜。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:52 | category:    浅田次郎 |
# 夕映え天使
評価:
浅田 次郎
新潮社
¥ 1,470
(2008-12)
コメント:「終わり」と「旅立ち」のグッとくる短編集

JUGEMテーマ:小説全般
● 夕映え天使 / 浅田次郎
● 新潮社
● 1470円
● 評価 ☆☆☆☆
さびれた商店街で父と息子が営む小さな中華料理店
ある日、「住み込みで働かせてください」と飛び込んできた天使のような女・純子は
線香花火のように儚い思い出を俺たちに残し、突然消えてしまった。
特別な一日の普通の出来事、日常の生活に起こる特別な事件を綴るグッとくる短編集。
 


(感想)
浅田さんお得意の、熱いもののこみ上げてくる短編集。
私の方でも読む前から「泣くぞー」「感動するぞー」みたいな心持ちで挑みました(笑)

全6編。どれも終わりや旅立ちをテーマにしています。
人の心に訴えてくるようなものがあり、静かな感動がありました。
どんな人にも、普通の日々の中にも、特別に大切にしたいものってある。
他人からみれば些細な出来事であっても、その人にとってはかけがえのない一瞬ってあるよなぁとしみじみ。
こういうことを大事に感じれるような感性を持っている人間でありたい。

浅田さんらしくなくて意外だったのが「特別な日」。
定年を迎えたサラリーマンのお話かと思いきや・・・・意外な展開。
浅田さんらしくないカラクリだけど、物事の終わりを迎える静けさが妙に沁みる

短編はもともと好きじゃないけど、浅田さんは短編で読みたい作家です。
しっかりと文章として書かれていない部分に、
ほんとうの感動の詰まっている作品だと思います。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:28 | category:    浅田次郎 |
# はじめての文学  浅田次郎
はじめての文学 浅田次郎
はじめての文学 浅田次郎
浅田 次郎
はじめての文学 浅田次郎/浅田次郎
文藝春秋
1300円
評価 ☆☆☆☆
私の小説はわかりやすい。
わかりやすく書くことをこころがけているから、自然にそうなる。
「俗」であっても「低」でない自信はある。
読めば、生きる勇気が湧いてくるラッキー
浅田次郎の世界にようこそ!!




(感想)
浅田次郎の世界は心にしみいり、優しい。
はじめて浅田文学に触れる若者たちへ捧げる作品集です。

5編の短編を収録。
中でも、ファンタジーの要素も感じさせる「シエ」が好き。
小さい頃から、ずっと一人でがんばってきた30代の女性。
ひとつひとつを自分で積み上げてきたのに、
最後の幸せ「結婚」だけは他人にもらわなくてはならないということに納得できず、
結婚に踏み切れない女性です。
彼女は「ひとりで頑張ってきた」というけれど、
言葉の端々に決して一人では生きられなかったことが窺える。
幸せってなんなのかしみじみと考えちゃいますニコニコ
不思議な動物・シエとの別れが悲しくもあたたかいおはな

途中で結末が予想できたとしても、
気持ちよく読み終えることができる。
それが浅田文学の素敵なところでするんるんるんるん
| comments(2) | trackbacks(0) | 16:01 | category:    浅田次郎 |
# 月島慕情
月島慕情
月島慕情
浅田 次郎
月島慕情/浅田次郎
文藝春秋
1500円
評価 ☆☆☆
三十を過ぎた吉原の女郎・ミノにふってわいた“幸運”。
しんそこ惚れていた客が自分を身請けしてくれることになり、
やっと幸福をつかみかけたのもつかの間、
その幸福の影で不幸になる人がいると知ったミノは・・・。
自分にふさわしい幸せを見つけた彼女の人生の選択とは? 
“感動無限大”短篇集。



(感想)
浅田次郎さんお得意の「ちょっと泣けるポロリいい話」を集めた短編集です。
どのお話もジーンとした余韻を残します。

なかでも表題作の「月島慕情」には熱いものが込み上げてきました。
誰かが幸福になるということは、
その影で涙し、悲しい思いをしている人が必ずいるということ。
その時に人として自分の幸福を選ぶのか、他人の幸福を選ぶのか・・
ここでどちらを選べるのかに人間の資質が見えます。

幸福と不幸は常に背中あわせ。
その罪滅ぼしは、自分の幸福の影で涙した人の分も幸福になることでしか
果たせないのかもしれない(きれいごとかもしれないけどたらーっ

「めぐりあい」で主人公と一緒になることができなかった男性の誠意なんか
まさにそれでしょ。

「あたし、あんたのおかげで、やっとこさ人間になれたよ」という
ミノの言葉の深みに泣けました。
| comments(6) | trackbacks(2) | 11:01 | category:    浅田次郎 |
# 壬生義士伝(上)(下)
壬生義士伝〈上〉
壬生義士伝〈上〉
浅田 次郎
壬生義士伝〈上)(下)/浅田次郎
文藝春秋
1600円
評価 ☆☆☆☆☆
「死にたぐはねぇから、人を斬るのす」
壬生浪と呼ばれた新選組にあって、
ただ一人庶民の心を失わなかった吉村貫一郎の非業の生涯。

(感想)
新選組の中でただ一人、
庶民の心を失わなかった隊士・吉村貫一郎の生涯を、
ゆかりの人物たちが語るという形の歴史小説。

上巻ではそうでもなかったのですが、
下巻では何度あつい涙を流したかわかりません悲しい

脱藩は武士の罪じゃが、わが子を飢えで死なすのは人としての罪
こんな志を持っていた隊士は他にいたのでしょうか?

彼は「新選組隊士」「武士」である前に「父親」だった。
戦いに用いるのが刀ではなくなっただけで、
今も昔も父親とは家族を命がけで守るもの、ということに変わりはありません。
この本は家族を持つお父さんたちに読んでほしいです。
本来の父親の姿が、ここにはあると思います。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:09 | category:    浅田次郎 |
# 地下鉄に乗って 特別編
地下鉄(メトロ)に乗って―特別版
地下鉄(メトロ)に乗って―特別版
浅田 次郎
地下鉄に乗って/浅田次郎
徳間書店
1680円
評価 ☆☆☆

奇跡が地下鉄に乗ってやってくる・・・・。
現代と過去を行き来する愛と冒険のファンタジー、
真次は過去の自分と家族を救うことができるのか・・・・?

(感想)
通常版とこの特別版の違いは
特別版の終盤に書き下ろしのエッセイが収録されていることなんだと思います。

はじめは現代から過去に行き来する時間壁掛時計の変化に翻弄され、
流れをつかむのに苦労しました汗
が、後半になると慣れるし、
話がだいぶ整理されてくるのでぐっと面白みが増してきます。

主人公の真次が過去にタイムスリップする一方、
どうやら愛人のみち子も同じような経験をしているらしい。

真次の家族の過去を探しにいく時間旅行のはずなのに、
なぜみち子までもが・・・・?

その理由がわかったときは
みち子と同じ女性として熱いものがこみ上げてきました。
父と息子達の物語と思いきや、
みち子の真実がわかった瞬間に物語の見方が変わってしまうのです。
最後、私の中で真の主人公はみち子に変わってしまいました。

現実に疲れ、
過去に後悔を残す大人達へ捧げたい
大人のための童話です。

この本が好きな人におすすめなのは・・・
「スキップ」「ターン」「リセット」/3冊とも北村薫
トキオ/東野圭吾

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:55 | category:    浅田次郎 |
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