隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# □
評価:
阿部 和重
リトル・モア
¥ 1,470
(2013-05-08)

 □ しかく / 阿部和重


 評価 ☆☆☆



魚貝ササミを蘇らせるためには、

365日以内に特定の4つのパーツをそろえなければならない。

4つのうち、1つでも欠けていたら蘇らせることはできない・・・・。

突如もたらされた奇妙で厄介なミッション。

巻き込まれた男は恐怖と狂気の先にどんな光景を見るのか。



うーん、またけったいな物を読まされちゃったな(笑)

一言で言ってしまえば・・・“くだらない”?

あ、ここで言う“くだらない”はもちろん褒め言葉です!

この言葉のチョイス・文体・・・一筋縄でいかない感じが大好き。

さすがです。


今回は一応、「ホラー」ということになっているんだけど「ホラー」いうより「スプラッター」?

グロ系です。

気味悪いから食事しながら読むには適しません。

最後はシュールすぎてポカーンだったなぁ。

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:45 | category:    阿部和重 |
# Deluxe Edition
評価:
阿部 和重
文藝春秋
¥ 1,470
(2013-10-28)

 Deluxe Edition / 阿部和重(文藝春秋)

 評価 ☆☆☆


米軍によるビンラディン殺害、若者による団塊世代おやじ狩り、津波、原発事故・・・。

現実をアグレッシブに取り入れつつも誰も見たことないシュールでブラックな世界。

9.11‐3.11。時代を撃ち抜く超小説集。  


阿部和重の最新短編集。

いろんなところで発表したものを1つにまとめた作品のようですね。

いかにも阿部さんな世界観。

物騒でウィットに富んでいて、センスのいい文章を書く人だと思う。

うーん、でもやっぱり阿部さんは長編の方が好きです。

1つ1つのお話しが短すぎてもったいなかった!



| comments(0) | trackbacks(0) | 13:31 | category:    阿部和重 |
# 和子の部屋  小説家のための人生相談
JUGEMテーマ:読書
 ● 和子の部屋 小説家のための人生相談  / 阿部和重
 ● 朝日新聞出版
 ● 1785円
 ● 評価 ☆☆☆☆☆
いま小説家は何に悩んでいるの? 
阿部和重さんが「和子」となって、当代きっての女性の書き手10人の切実な人生相談に答えます!
小説家が「人生を語る」と「小説を語る」ことになるという、いまだかつてない対話の数々。
小説家になりたい人にとっては実践的な創作論として、
小説家を知りたい人にとっては本音が垣間見えるガールズ・トークとして、
一冊で二度おいしい対談集。



(感想)

角田光代さん、江國香織さん、川上未映子さん、金原ひとみさん、朝吹真理子さん、
綿矢りささん、島本理生さん、加藤千恵さん、川上弘美さん、桐野夏生さん・・・。

やー、ビッグネームから注目の若手までバラエティにとんだすごい顔ぶれ
阿部和重さんが「和子」となり、
10人の女性作家のお悩み相談に挑むという企画なのだけど、
まじめに答えてるかと思えばぶっとんだ発言が出てきたり、
笑ったり感銘を受けたりとにかく楽しめる。
特に角田光代さんとの対談からは
普段から親しいんだな、仲いいんだなっていう空気がリアルに伝わってくるし、
いちばん笑ったのは川上未映子さんのお悩みに対して
“お父さんのコスプレをしてみなさい”って言ってしまうとこ 
思わず吹き出しちゃったけど、核心には迫ってて、決してふざけてるわけじゃない。
こういう発想力もすごいなぁ。

どの作家さんも言葉の選び方やセンスはさすが私達一般人とは違う
普段考えていることも奥が深い。
若い作家さんはわりと私達に近いような悩みを持っていてまるでガールズトークみたい
金原ひとみさんって意外と普通の人なのね。
綿矢りささんなんて本当にそのへんにいるような女の子みたい。
でも、生き方や考え方がはっきりと作品に反映されているような方もいて、
特に川上さんにはそれを強くかんじました。

“言葉しか信じられない”という江國香織さん。
それに対してまったく逆の答えを返す阿部さんが印象的でした。

この10人の中で朝吹さんと加藤さんの作品はまだ未読なので、
近いうちに読まなきゃ
島本理生さんが佐藤友哉さんとまた結婚されていたのは知りませんでした。
一度離婚した相手と再婚なんてあるんですね〜。
おめでとうございます

うーん。
この企画、もっともっと別の作家さんのも読みたいなぁ。
第2弾が出ることを期待しています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:40 | category:    阿部和重 |
# ピストルズ
評価:
阿部 和重
講談社
¥ 1,995
(2010-03-24)
コメント:神町シリーズ第2弾!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● ピストルズ / 阿部和重
 ● 講談社 
 ● 1995円
 ● 評価 ☆☆☆
「若木(おさなぎ)山の裏手には、魔術師の一家が暮らしている――」
山形県東根市神町で書店を営む石川は、
あるキッカケから、町の外れに住む“魔術師一家”と噂される人々 に接触する。
その名は菖蒲(あやめ)家。
謎に包まれた一族の秘密を探るべく、
石川は四姉妹の次女・あおばにインタビューを敢行するのだが……。
そこで語られ始めたのは、一族の間で千年以上も受け継がれた“秘術”にまつわる目眩めく壮大な歴史だった。
そして秘術の後継者である末娘・みずきが引き起こしてしまった取り返しのつかない過ちとは ??



(感想)

ついに出た!神町シリーズ第2弾!
実在する町・神町・・・。
阿部和重さんの故郷でもあるこの小さな田舎町は、
私が住んでいるところから車で20分ほどのところにあります。
主人公のモデルとなった本屋さんはちゃーんと実在するし、
作中に出てくる地名やお店の名前も実在するものが多いので、
阿部さんの作品は私にとってすごくイメージしやすく、楽しく読める
あの小さな町のどこかで、あんな事件やこんな事件が起きてると想像するだけでドキドキします。
よくも、「神町」ってキーワード1つでこんな作り話が妄想できるな・・・すごいぜ。

けど、面白さはいまひとつ。
面白くなりそうな予感はするものの、突き抜けない。
壮大に大きな風呂敷を広げてみたものの、きれいに畳むことができなかったような。
濃い登場人物が多いわりに稼働率低くてもったいない。

自分の地元を妄想でこんなに汚して、おもちゃにして、
地元には不愉快に思っている人もいるとかいないとか・・・。
どうしてここまで神町にこだわる???
疑問持ちながらも、このかたくなといえるほどのゆがんだ愛情・・・私はいつまでもこの妄想にお付き合いしたいと思ってます

今作は「シンセミア」事件から6年後であり、主人公はあの事件の傷をいまだに抱えてるし、
「グランドフィナーレ」や「ニッポニアニッポン」の世界にもつながっていて、
阿部さんの作品を読んでいる者にとっては二度も三度もおいしい
逆にこの本を“はじめての阿部和重”にしてしまうと楽しさは半減
絶対におすすめしません。

ふ〜。それにしても長かったぜ665ページ。
途中、ある一部分だけが説明的でつまらなくて、読了まで時間がかかりました。
文体は以前ほど堅苦しくなかったような??
あのかたい文章でおかしげなことを書くところが好きだったのに(-_-)
ま、へんな作家であることに変わりはないが。
| comments(2) | trackbacks(1) | 15:32 | category:    阿部和重 |
# ミステリアスセッティング
ミステリアスセッティング
ミステリアスセッティング
阿部 和重
ミステリアスセッティング/阿部和重
朝日新聞社
1575円
評価 ☆☆☆☆☆
ある老人が子供たちに語った一人の少女の運命――。
吟遊詩人になることを夢見て、
ムードを愛してやまなかった女の子・ハムラシオリ(でも音痴たらーっ)。
痛いほど純粋な少女はなぜ、
こんなにも過酷な人生を歩まなければならなかったのか・・・。
あまりにも無慈悲な新世代のピュア・ストーリー。


(感想)
阿部和重さんがはじめて女の子女が主人公の小説を書きました。
彼女は吟遊詩人を夢見る、
動物猫が大好きな純粋無垢な女の子。
この作品の存在は、
女性の阿部和重ファンにとってはとても嬉しいはずわーい
いつもとは比べ物にならないほどに「女子向き」ですぴかぴか

そんな嬉しさもあってか、
これまでの著作の中では1,2位を争うくらいに好きな作品になったかも猫2

女性を主人公にしたというのはとても大きいことのようで、
今までの阿部作品にはない繊細さと優しさがある。

主人公のシオリはどんなに過酷な状況に置かれても、
決して人を恨むということをしない。
むしろそういった発想を持たない。
彼女が悲しい思いをしてしまうのは、
純粋さ故に人を信じすぎて、人に利用されてしまうから。
汚れのなさが自らを不幸へ追い込んでしまう
姿が痛々しいモゴモゴ
最後の彼女の選択は本当に彼女らしすぎて呆れちゃうほどあせあせ
でも私はこんな生き方しかできなかったバカなシオリが大好きラブ

後半はスーツケース爆弾なんて物騒なものが彼女を翻弄し、
どんどん破滅へと向かっていくのだけれど、
ラストは穏やかで美しかったなぁニコニコ
シオリの悲痛だけど優しい泣き声が耳に届いてきそうで・・・。

ただし、ちょっと気になったのは
他の阿部作品より明らかに「読みやすい」こと。
大爆笑とはいかないけれど、
読者が思わずニヤリと薄い笑みをこぼしてしまうような
独特の堅苦しい言い回しが今回はあまり感じられない。

主人公が純真無垢な少女だから
あえて堅苦しさのない書き方をしたのかなぁ!?
作品の世界観を考えればこれで正解なのかもしれないけど、
コアな阿部ファンとしては少し物足りなさも感じましたあせあせ


ちなみに・・・
この作品の刊行を記念した阿部さんの
サイン会 & トークショーに行ってきました。
その話は別ブログ(http://blog.livedoor.jp/bird8823/)、12月18日の記事で。
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:55 | category:    阿部和重 |
# グランド・フィナーレ
グランド・フィナーレ
グランド・フィナーレ
阿部 和重
グランド・フィナーレ/阿部和重
講談社
1470円
評価 ☆☆☆☆
主人公はは30代のロリコン男。
小学生の娘を溺愛しているのだが、
愛情が行き過ぎてしまっている部分もある。
ある日、妻にその「行き過ぎている」決定的な証拠を見つけられてしまい、離婚失恋
愛する娘に会えなくなり、
故郷の神町へと傷心帰郷した男はここで二人の少女に出会う・・・
おわり、それとも始まり・・・?
二人の少女と一人の男を巡る新たなる「神町」の物語。
第132回芥川賞受賞作。


(感想)
文章鉛筆2は堅苦しくて読みにくい印象なんだけれど、
独特の言い回しで笑いを誘う阿部和重の世界。

この作品はもちろん、
阿部さんの作品の多くの舞台となる「神町」・・・

私の住むところに近くなじみのある町だけに、
それだけで阿部和重は私にとって特別な意味をもつ作家です。

地域の特色というものがよく出ています嬉しい
さびれている商店街の様子や、
地域の人との繋がり方などは現実のリアルな神町そのもの。
実在する施設の名が多数登場し、
神町をよく知るものでないと絶対わからないような細かいライフスタイルまで
しっかり描写されています。

阿部さんの描く主人公は、
どの作品を見ても決して立派な大人とはいえない人たちばかり。
何かに夢中になっているんだけど、
その対象や矛先に確実なズレのある大人たち・・・。

この作品で芥川賞を受賞したことで、
この作品で初めて阿部さんの作品を読むという方はとても多いと思います。
決して道徳的な作品ではありません。
目をそむけたくなる描写もあるかもしれません。
けど、たしか芥川賞が決定した時期のほんのちょっと前に
奈良の女の子の殺害事件という衝撃的な事件がありました。
この事件で世間が騒いでいる最中に、
それでもこのロリコン男のお話を芥川賞に選んだ審査員たちの
決意とリスク・・・。
作品の良し悪しに社会の出来事は関係ないとはいえ、
社会が怒りに燃えている中で、
それでもあえてこの作品に大きな賞を与えた意味・・・。
それを考えてみるだけでも読む価値はあると思います。

なお、「グランド・フィナーレ」の作中に
≪トキセンターでの事件≫とか≪水害≫などといったキーワードがありますが、
これは阿部さんの他の著書「ニッポニアニッポン」「シンセミア」の内容とリンクした記述です。
なるべくなら先にこの2作品(特に「ニッポニアニッポン」)を読んでおくことをおすすめします。


●この本が好きな人におすすめなのは・・・
ニッポニアニッポン/阿部和重
シンセミア(上)(下)/阿部和重
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:07 | category:    阿部和重 |
# プラスティック・ソウル
プラスティック・ソウル
プラスティック・ソウル
阿部 和重
プラスティック・ソウル/阿部和重
講談社
1680円
評価 ☆☆☆
何の面識もないアダチ、イダ、ウエダ、エツダの4人が
出版社から持ちかけられた依頼は、ゴーストライター鉛筆2となり、
共同で一つの作品をうみだしてほしいということ。
これは妄想?現実?
4人が向かう先にあるのは狂気なのか――。

(感想)
発売は今年の3月なんだけど、雑誌連載されていたのは1998〜2000年。
だから決して阿部さんの新作というわけじゃありません。
そのせいか最近、薄れつつある阿部作品独特の堅さが残ってる気がしました。

面白いのは語り手がめまぐるしく変わる点です。
章ごとに変わるのであれば珍しいことは何もないけど、
これは唐突に三人称・一人称・さらには別人へとコロコロ変化するびっくり
しかも不思議なことにそれが読みにくくはなくて、案外自然なのびっくりびっくり
明確な答えのないお話しだけど、
映画好きな阿部さんらしいミニシアター系の映画カチンコみたいな粋な香りがしましたニコニコ

プラスティック・ソウル」というタイトルにかけて、
カバーはプラスティック製です☆イケテル
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:03 | category:    阿部和重 |
# シンセミア(上)(下)
シンセミア(上)
シンセミア(上)
阿部 和重
シンセミア/阿部和重
朝日新聞社
上下巻とも各1785円
評価 ☆☆☆
20世紀最後の夏、神の町で何が起きたのか?
占領下の血塗られた歴史と三つの事件が同時多発的に炸裂する現代小説の問題提起作。
阿部和重が故郷に贈る奇作!

(感想)
阿部和重史上になかったほどの長編!
実を言うと私はこの本の舞台であり、
阿部先生の故郷でもある「山形県東根市神町」にごくごく近いところに住んでます。
つまり、この小説の中で若者の溜まり場と化してるボーリング場にはよく行くし、
彩香の行ったジャスコ2階の書籍コーナーではよく本読書を買う・・・
というふうに神町周辺の地理には非常に詳しいんです。

このへんの人たちは、神町というと自衛隊の街というイメージを持っています。
ほんと、それだけの町です。

それなのにあの神町がびっくりあの神町がびっくり
ここまで次々といろんな事件や災難に見舞われるとは
まるで地獄絵図泣き顔を見るようです。
本当に「あの神町が・・・神町がひやひや」とアワアワしながら読んだんですあせあせ

はは(笑)
神町に住んでる人はこれを読んでどう感じるんだろう。

少なくてもいい気分はしないんじゃないかなー。

ここまで故郷をめちゃくちゃに描く阿部和重の意図はいったい何なんでしょ?
ゆがんだ愛情なのでしょうかどんっ

覚えきれないほどに登場人物が多いので、
巻頭の人物紹介のページには本気で助けられました。
(これがないと絶対ムリ汗

●この本を好きな人におすすめなのは・・・
阿部和重作品全般!!
とにかくほとんどの小説に神町がでてきます。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:35 | category:    阿部和重 |
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