# 袋小路の男
2007.02.15 Thursday
袋小路の男
絲山 秋子
●袋小路の男/絲山秋子
●講談社
●1365円
●評価 ☆☆☆
「あなた」とは指一本触れないままの12年間。
袋小路に住む男にひたすら片思いを続ける女を描いた究極の純愛小説。
川端康成文学賞受賞の表題作を含む3篇を収録した短篇集。
(感想)
この本の中にこんな一節がある。
≪あなたは好きな人と一夜を共にして別れるか、何もないまま毎日会い続けるか≫
恋をしたら、その人と体の関係を含めた恋愛をしたいと思うのが自然だけれど、
ごくまれにそう思わない恋をすることがある。
セックスという行為でその人を汚すことをせず、
その人と二人で歩く未来よりも、
今のこの微妙な距離感をずっと保ちながら、
永遠にそばにいたいと思うような・・・。
二人の関係は、友情とも恋愛ともいえない。
言葉では言い表せない二人にしかわからない関係。
この12年、それぞれにパートナーがいた時期もあったけど、
お互いの中で常に特別な存在として位置していたのは恋人ではなく誰・・・
友情と恋愛の間にある袋小路に迷い込んでしまった男と女。
ここから抜け出すのが二人にとって幸福なのか、
それは人それぞれ受け止め方は違いますが、
私はこんな愛し方もかっこいいなと思いました。