隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 不時着する流星たち
評価:
小川 洋子
KADOKAWA
¥ 1,620
(2017-01-28)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 不時着する流星たち / 小川洋子

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

世界のはしっこでそっと異彩を放つ人々をモチーフに、

その記憶、手触り、痕跡を結晶化した珠玉の十篇。

現実と虚構がひとつらなりの世界に溶け合うとき、

めくるめく豊饒な物語世界が出現する―。

 

 

 

(感想)

 

どこか風変わりで静謐な世界。

小川洋子さんにしか出せない世界観。

抽象的で、物語の舞台も主人公の性別もはっきりしない作品もあり、

物語の世界に入り込むのはなかなか難しいです。

片手間では読めません。

ちゃんと読書の時間をとって、

「じっくり読むぞ」と向き合える時に読むべき本です。

 

なかでも「若草クラブ」はモチーフになっているエリザベス・テーラーも

若草物語という作品もよく知っていたので入り込みやすかったです。

 

いちばん好きなのは「手違い」。

死のはかなさと生のきらめきの対比が美しかったです。

| comments(0) | trackbacks(0) | 16:33 | category:    小川洋子 |
# 琥珀のまたたき
評価:
小川 洋子
講談社
¥ 1,620
(2015-09-10)

JUGEMテーマ:小説全般

 琥珀のまたたき / 小川洋子(講談社)

 評価 ☆☆☆☆


妹を亡くした三きょうだいは、ママと一緒にパパが残した古い別荘に移り住む。
そこで彼らはオパール・琥珀・瑪瑙という新しい名前を手に入れた。
閉ざされた家のなか、三人だけで独自に編み出した遊びに興じるうち、
琥珀の左目にある異変が生じる。
それはやがて、亡き妹と家族を不思議なかたちで結びつけるのだが…。



(感想)

面白いとか面白くない以前に「味わう」小説だなという印象です。

言ってしまえば「母親によって監禁されていた姉弟たちのお話」なんです。
でも、小川洋子さん独特の世界観にかかれば、
そんな状況も静謐な出来事かのように描かれてしまう。
美しく、他の作家には決してマネのできない「味」「品」そして「毒」・・・。
読者をたまらなく酔わせます。

彼らは閉じ込められることになんの不満も不安も抱いていなかった。
それどころか、図鑑と己の想像力でイマジネーションの翼を広げ、
どこまでもどこまでも広い世界を伸び伸びと冒険していた。
だから読者はこのお話のはらむ「狂気」をついつい忘れがちになる。
それがすごい。

最終的に監禁生活は終わることになるのだけど、
どのような経緯でそうなったのかがまったく描かれていないのがミソ。
想像力を刺激するし、心にいつまでもザワッとしたものが残ります。
いい意味で「読後の後味の悪い作品」でもありました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:13 | category:    小川洋子 |
# ことり
評価:
小川 洋子
朝日新聞出版
¥ 1,575
(2012-11-07)

JUGEMテーマ:小説全般

 ことり / 小川洋子(朝日新聞出版)

 評価 ☆☆☆☆☆
 


「小鳥の小父さん」と呼ばれた小父さんの一生を綴るお話し。
ポーポー語しか話せないお兄さん、あたたかな園長先生、ポーポーを売る薬局の店主・・・。
小父さんにかかわった人は少なく、多くを持っている人でもなかったけど、
小父さんは大切なものだけをそばに置いて、丁寧にひたむきに生きている人でした。
このシンプルさ・・・これこそが幸せなのかな〜ってしみじみと思える。
小父さんは人生の経験値はおそろしく低いけど、
でも満ち足りた人生を送ったことに間違いないもの。
いろんなことを経験したり、濃い人生を送りたいという気持ちはあるけど、
こういうものを読まされるとはたしてそれが幸せなのか?と深く考えてしまいます。

最後まで読み終わった後に最初の数ページを読み返してみたくなるはずです。
きっと最初に読んだ時とはまったく違う風にとらえられると思います。

小川洋子さんの世界が好き。静謐で澄みきっている。
繊細で大切にいたわるように読みたい。
また大切な本が1冊増えました。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:35 | category:    小川洋子 |
# 最果てアーケード
評価:
小川 洋子
講談社
¥ 1,575
(2012-06-20)

JUGEMテーマ:小説全般
   
 評価 ☆☆☆☆


そこは世界でいちばん小さなアーケード。
もしかするとアーケードというより、
誰にも気づかれないまま何かの拍子にできた世界の窪み、と表現した方がいいのかもしれない。
風変わりな品々を扱う店主と、理由あってそこに集まる客たちのささやかで不思議な日常を
そのアーケードで配達の仕事をする少女の目で語る幻想的な物語です。

義眼、遺髪レースから、
古い絵葉書、古い衣類からとったレースまでここで売っている物は不思議なものばかり。
死と寄り添うように繊細に静かで、息をひそめるように読みました。

思い出を思い出に出来ずに生きるって、決して悪いことではないはずなのに、
でも、前をむいて生きていかなきゃってよく言われるでしょ?
そんなときに避難場所のようにすがりたくなるような本ですよね・・・。

表紙のイラストが物語の世界観とマッチしていてとても素敵。
ドキドキもハラハラもないけど、一文一文が美しく、味わうように読みたい一冊です。


| comments(0) | trackbacks(0) | 10:51 | category:    小川洋子 |
# カラーひよことコーヒー豆
評価:
小川 洋子
小学館
¥ 1,260
(2009-11-26)
コメント:やわらかくて、静かに生きている・・・しみじみエッセイ集

JUGEMテーマ:エッセイ 
 ● カラーひよことコーヒー豆 / 小川洋子
 ● 小学館
 ● 1260円
 ● 評価 ☆☆☆
雑誌『Domani』に2年間にわたり連載したエッセイに書下ろしを加えた待望の単行本化。
スポットライトが当たる人の周縁で密やかに、
でもしっかりと生きる人々への深い愛と感謝の気持ち。
泣きたいほど優しい気持ちになれる、愛に充ちたエッセイ集。


(感想)

やわらかくって、物静かで、静謐で・・・。
やっぱりあの独特な不思議世界を書かれる小川さんらしいなって思う一方、
ちょっと意外な一面も見られる楽しいエッセイ集
「ああ、そういうことってあるよねぇ」としみじみ共感できるようなお話がたくさんありました。
【大人の女性とは】の章なんてわかるわー。
こんな大人になりたいよね。
目立たなくてもいいから、当たり前のことをちゃんときちんとできる人になりたい。

もう何年もお祭りに行ってないから知らなかったけど、
カラーひよこってもう過去のものなんだ・・・。
あれ、私は買ったことないけど、大きくなると白いとことカラーが残っているとこがある
気持ち悪いニワトリになるんですよね・・・。
知り合いの家にいて、すごい気持ち悪かったのを強烈に覚えています
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:25 | category:    小川洋子 |
# 猫を抱いて象と泳ぐ
評価:
小川 洋子
文藝春秋
¥ 1,780
(2009-01-09)
コメント:美しく、繊細、崇高な作品でした

JUGEMテーマ:小説全般
● 猫を抱いて象と泳ぐ / 小川洋子
● 文藝春秋
● 1780円
● 評価 ☆☆☆☆☆
上唇と下唇がくっついた状態で生まれてきた少年は寡黙な子供に成長し、
住居として改造したバスに住む太った男性に出会い、
人生のすべてとなるチェスを学ぶ。
体が小さく、チェス盤の下に潜り込んでチェスが指せない伝説のチェスプレーヤー・リトル・アリョーヒンのささやかな奇跡。



(感想)
美しく、繊細。崇高な作品でした。
読んでいる間、素晴らしい時間を味わわせてもらったような気がします。

チェスのやり方なんてまったくわからないんだけど、そんなことは気にならない。
むしろ、黒と白の8×8の世界で描かれる鮮やかな駒の動きに引き込まれていく・・・。
これは「博士の愛した数式」で数学の美しさに魅せられたあの感動に似ています。

主人公のリトル・アリョーヒンは上唇と下唇がくっついた状態で生まれてきました。
手術で切れ目を入れて、初めて産声を上げたのだけど、
その切れ目のむき出しになった肉の部分に脛の皮膚を移植したおかげで、
そこから毛が生えているという変わった風貌の少年になってしまった。
口が閉じた状態で生まれてきたせいか、寡黙な少年となり、
チェスと運命の出会いをしてからは、チェスが彼の人生のすべてとなります。

何かとてつもなく愛せるものを見つけた時、
リトル・アリョーヒンのように自分を激しく主張せずに、
つつましやかに愛することがはたして私にはできるのか。
これはとても難しいことだけど、彼のように世界を壊さずに汚さずに、
影となって謙虚に愛することこそが本当に愛し方であり、美であると思えた。
こういう人こそ尊いのだろうな。

老婆令嬢の言葉・・・・。
「自分のスタイルを築く、自分の人生観を表現する、自分の能力を自慢する、自分を格好良く見せる。
そんなことは全部無駄。何の役にも立ちません。
自分より、チェスの宇宙の方がずっと広大なのです。
自分などというちっぽけなものにこだわっていては、本当のチェスは指せません。」
これってチェスに限らず、人生にも言えることだよなぁ。
「最強の手が最善とは限らない」というのも深いっ

大きくなりすぎてデパートの屋上から降りることができなくなった象・インディラ
“大きくなりすぎる恐怖”がこの作品の大きなテーマになっているのだけれど、
それは体の大きさだけでなく、心の問題でもあるんだろうなぁ。

最後は頬に一筋の涙がこぼれていました。
静かに泣けて、大きな余韻の残る作品。
今年のベスト10に大きくかかわってくること必至
「小川洋子の最高傑作」といわれてますが、それも言い過ぎではないと思います
| comments(2) | trackbacks(0) | 08:29 | category:    小川洋子 |
# 夜明けの縁をさ迷う人々
夜明けの縁をさ迷う人々
夜明けの縁をさ迷う人々
小川 洋子
JUGEMテーマ:読書

夜明けの縁をさ迷う人々/小川洋子
角川書店
1365円
評価 ☆☆☆
僕が流し打ち野球の腕を上げたのは
三塁側ファールグランドでいつお逆立ちの練習をしていた
曲芸師のおかげだった。
思いきりバットを振って、強いライナーが三塁側に飛んで、
もし曲芸師さんに当たったら・・・。
曲芸師と少年の交流を描く「曲芸と野球」他、
どこか奇妙ですこし哀しい人々を、
手のひらですくうように描いた珠玉の作品集。



(感想)
9編の短編集です。
どんどん読み進めたくなるような面白さはありません。
でも、情景を思い浮かべると不思議な美しさがあります。

少年たちが野球をする側で、
椅子を互い違いにいくつも組み合わせて練習をする曲芸師。

エレベーターボーイとしての職務を果たすのに
ぴったりなサイズで体の成長が止まってしまったエレベーターボーイ。

一言でいうと「絵になる」短編集です。
小説を楽しむってこと以外に、
ちょっと風変りな絵画展を鑑賞するような味わいがあるのです。

ただ美しいとか怖いんじゃなく、
ブラックユーモアのようなスパイスの効いた恐怖とでもいうのでしょうか。
小川洋子さんならではのシュール感。
独特の空気が不気味で、でもどっか面白みもあって・・・。
夜明けの縁・・・ギリギリの境界線を漂うような不思議な感覚に酔えました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:41 | category:    小川洋子 |
# はじめての文学  小川洋子
はじめての文学 小川洋子
はじめての文学 小川洋子
小川 洋子
はじめての文学 小川洋子/小川洋子
文藝春秋
1300円
評価 ☆☆☆
『博士の愛した数式』で一躍多くの読者の心をつかんだ小川洋子。
そのほとんどの著作が翻訳出版されているフランスでも人気は高く、
本書にも収められた「薬指の標本」はフランスで映画化もされているカチンコ
夢か現実か、静かに透き通った迷宮にも似た世界で繰り広げられる不思議な出来事。
小川洋子の世界のエッセンスを味わう短篇五作収録。



(感想)
「冷めない紅茶」
「薬指の標本」
「ギブスを売る人」
「キリコさんの失敗」
「バックストローク」の5編を収録。

たまに味わいたくなるんだよねぇ、小川洋子さんの独特の世界観。

小川洋子さんの世界って一つ一つの描写が繊細で、
指先で優しく触れないと壊れてしまいそう。
まるでレースの薄いカーテン越しにその世界を見ているよう・・・。
フランスなどで人気があるのにもうなずけますニコニコ
日本じゃない、ヨーロッパかどこかのような雰囲気があるんですよねぇおはな

でもその中にわずかに残酷性やエロスも感じ、
もしかしたら本当に書きたいのはこっちなんじゃない?ってほどに
強烈な印象を残します。
なんだかわからないままに終わってしまうんだけど、
それが当然のことのように思えて納得できる。
この人の作品にははっきりとした結末は不要なのではないでしょうか。

本編の中に小川洋子さんを表現したかのような
ちょっと気になる文章があり、思わずうなってしまいました。
(私の勝手なイエージですが汗
興味ある方は探してみてくださいぴかぴか
| comments(0) | trackbacks(3) | 12:36 | category:    小川洋子 |
# 海
海

小川 洋子
海/小川洋子
新潮社
1365円
評価 ☆☆☆
キリンはどんなふうに眠るのだろう。
昨日までは知らなかった誰かと触れ合い、
思い出や秘密を共有することの美しさの不思議・・・。
「博士の愛した数式」の前後に書かれた美しくも深い
7つの短編集。



(感想)
7つのうち、「銀色のかぎ針」と「缶入りドロップ」は
それぞれ3〜4ページ程度の短いお話です。

すべての話に共通するのは、
主人公が昨日までは知らなかった誰かと出会い、
その人の触れ合うことによって、
大切な思い出であったり、時間であったりを共有すること。

小川洋子さん独特のつかみどころのない、
空中を浮遊するような不思議なお話ばかりニコニコ
描写も美しく、じっくりどっぷり世界観に浸れます。

いちばん素敵だったのは「バタフライ和文タイプ事務所」。
硬質に、間接的に、性を描いた作品。
ただタイプを打つ音だけが鳴り響く静けさと、
タイプを打ち指先の動き。
「性」と「静」の美しさ、
大人じゃないとわからないいやらしさがあるっっ!!
でも、それが下品じゃなくすごく上品なの。
むしろ、とっても美しいポッ

表題作の「海」に漂う不思議な空気も好き。
小さな弟はこの世でただ一人、「メイリンキン」という楽器の演奏者。
その音色がどんなものなのか想像し、
しばし夢心地に浸れるような味わい深い作品でした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:20 | category:    小川洋子 |
# 密やかな結晶
密やかな結晶
密やかな結晶
小川 洋子
密やかな結晶/小川洋子
講談社文庫
720円
評価 ☆☆☆☆
記憶狩りによって消滅が静かにすすむ島の生活。
人は何をなくしたのかさえ思い出せない。
何かをなくした小説ばかり書いているわたしも、
言葉を、自分自身を、確実に失っていった・・・・。

(感想)
ストーリーを説明するのが非常に難しい作品ですね汗
抽象的でつかみにくくはあるけれど美しい作品でしたニコニコ

全体の持つ静かで空気の澄んだようなイメージは
村上春樹さんの「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」に似ている気がします。

「忘れる」
「記憶を失う」
「認識できなくなる」


この3つの違いを考えてみると、
この作品の中で起こる「認識できなくなる」がいちばん切なくはかない。
より一層の喪失感があります。

ぼんやりと自分までもが世俗から切り離されたような雰囲気の中で読みすすめましたが、
ラストは意外にも希望に満ちてましたぴかぴか
爽快で後味がよかったです。
これはハッピーエンドと捕らえていいのでしょうかラッキー
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:31 | category:    小川洋子 |
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