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蜜蜂と遠雷 / 恩田陸(幻冬舎)
評価 ☆☆☆☆☆
3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。
養蜂家の父とともに各地を転々とし自宅にピアノを持たない少年・風間塵15歳。
かつて天才少女として国内外のジュニアコンクールを制覇し、
CDデビューもしながらも長らくピアノが弾けなかった栄伝亜夜20歳。
音大出身だが今は楽器店勤務のサラリーマンでコンクール年齢制限ギリギリの高島明石28歳。
完璧な演奏技術と音楽性で優勝候補と目される
名門ジュリアード音楽院のマサル・C・レヴィ=アナトール19歳。
彼ら以外にも数多の天才たちが繰り広げる競争という名の自らとの闘い。
第1次から3次予選そして本選を勝ち抜き優勝するのは誰なのか?
(感想)
恩田さんの作品を読むのは何年ぶりだろう。
ここ数年は新刊の紹介文やあらすじを読んでも「なーんか読みたい感じとは違うな」と思うことが多く、
ずいぶんとご無沙汰してしまったけど、やっと来た!
恩田さんのこういう作品、待ってました!!
「チョコレートコスモス」が好きな人はきっと気にいると思います。
私のように音楽の知識がまったくない人でも楽しめます。
ピアノのこともわからないし、出てくる曲もまったく知らないので、
はじめはついていけるか不安だったんだけど、
登場人物の情熱にやられちゃうと、知識のなさなどまったく気にならなくなります。
音楽が人と人とをつなぎ、
競い合うことよりも切磋琢磨して高め合うことの素晴らしさ。
音楽で表現できる無限の可能性。
演奏者が思い描いたその曲のイメージする世界観が、
まるで物語や映像のように聴衆の頭の中にパーッと浮かんでくるってどんな体験なんだろう?
こんな風に音楽を聞いたことのない(聞けない)私にはまったく未知の世界。
こんな風に音楽を楽しめる人を羨ましくも感じました。
最近、読んだ中でこれほど寝食忘れて読んだ本はありません。
2段組み約500ページを自分ではありえないくらいの早さで読んでしまいました。
ところで、本の最後に「審査結果」がバッチリまとめて書いてあるのでお気を付けください。
最後まで知らずに楽しみにしておきたい方は、
くれぐれとパラパラ〜ッと最後のページを開いてしまったりしませんようにw