隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# どこから行っても遠い町
評価:
川上 弘美
新潮社
¥ 1,575
(2008-11)
コメント:どこから行っても遠いような、近いような・・・

JUGEMテーマ:小説全般
●  どこから行っても遠い町 / 川上弘美
●  新潮社
●   1575円
●  評価 ☆☆☆
家族ではない二人の男が奇妙に同居する魚屋
女にだらしのない父親と次々と入れ替わる父親の恋人を見て大人になっていく少年、
裸足で男のもとへ駆けていった魚屋の死んだ女房・・・
東京の小さな町の商店街を舞台に、
そこに生きる人々のひそやかなあやうさと幸福を描く連作短編集。



(感想)

近くにありそうで、でもきっとどこにもない・・・そんな商店街。

商店街にある魚屋さん、肉屋さん、八百屋さん、小料理屋さん、
そしてそこを利用する買い物客の人たち・・・。
「あけみ」さんみたいな女の人はどこの町にも必ずいそう(笑)
“ロマン”のようなお店も日本中に数え消えないほどあるだろう。
でも、ひとつの町を形作る小さな要素の一つ一つにはそれぞれの物語があり、どれも違う。
何気ない表情で魚の切り身を買っていく平凡そうな人にもその人だけのストーリーがあるのだ。
そんな粒のかけらを切り取った作品です。

特別、印象に残るようなエピソードの詰まった作品集ではない。
でも、それが平凡な人の人生を素朴に切り取っているような気がして逆にリアリティありました。

最後の1ページが妙に沁みる〜
「あたしの人生、捨てたものじゃなかったです。」
何気なくても、こんな風に感じられる感性を持っていたい。

私の住んでいる町にも、私が子供の頃には確かに活気があり賑わう商店街がありました。
毎日、夕方になると買い物に出かけ、商店街で買えないものはないほどだったのに、
今、その商店街はすっかりシャッター通りとなって寂びれ、
交通手段がない老人たちが利用するだけとなってます。
だからこの本のように魚は魚屋で、肉は肉屋で、野菜は八百屋で買い、
買い物によって町の人たちと親しくなっていくような暮らしが私にはとってもうらやましい
古き良き、そして、なくしたくない日本の風景を描いた作品とも言えますね
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:37 | category:    川上弘美 |
# 風花
風花
風花
川上 弘美
風花/川上弘美
集英社
1470円
評価 ☆☆☆
のゆりは33歳。夫の卓哉と結婚して7年。
子供はいないけど平穏だった日々が、ある一本の電話電話で破られる・・・。
日常が色あせてゆく過程を静かに描く恋愛小説。



(感想)
夫の浮気が発覚し、離婚まで切り出されて普通なら修羅場なのに、
なぜかゆらゆらとのんびり生きている主人公の「のゆり」。
「絶対別れたくない!」なんて言ってるわりに、
彼女が夫をそれほど深く愛しているようには感じない。
年の近い叔父と仲が良く、二人だけで温泉旅行に行ったり、
年下の男の子と親しくなって、お茶ホットコーヒーしたりホテルに誘われたり、
彼らに恋愛感情があるのかどうかは知らんけど、
女性から見たら「なんなの〜この女どんっ」みたいな主人公。

読者は慰謝料とって別れちまえ!とか、
旦那も相手の女もめちゃくちゃにしてしまえ!とか、
まったく動かないのゆりにイライラするでしょう。
でも、現実ってこんなものなのかもしれない。
どうすることもできなくて、前にも後ろにも進めなくて、
ただ「うまくいってた頃のように戻りたい」と思いながら時間だけが過ぎていく。
もしかしたらこれって、すごーく現実感のある作品なのかもしれない。
別れって劇的じゃなく、こんなふうに静かに受け入れていくものなのかも。

追えば逃げられ、追われると逃げる。
そんな二人だったけど、最後ののゆりの選択はたくましかったな。
それまでは同性としてのゆりが嫌いだったけど、
最後には見直しましたよニコニコ
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:00 | category:    川上弘美 |
# 蛇を踏む
蛇を踏む
蛇を踏む
川上 弘美
蛇を踏む/川上弘美
文春文庫
410円
評価 ☆☆☆
藪で、蛇を踏んだ。
「踏まれたので仕方ありません」と声がして、蛇は女になった。
そして「あなたのお母さんよ」と、部屋で料理ディナーを作って待っていた…。
若い女性の自立と孤独を描いた芥川賞受賞作「蛇を踏む」。
その他「消える」「惜夜記」の二作を収録。




(感想)
「蛇を踏む」は≪ミドリ公園に行く途中の藪で、蛇を踏んでしまった。≫
「消える」は≪このごろずいぶんよく消える。≫
「惜夜記」は≪背中が痒いと思ったら、夜が少しばかり食い込んでいるのだった。≫

・・・と、三編ともいきなり「!?」と思わせるはじまり。

あまりにも抽象的な内容に、
最初から最後まで頭の中の「!?」は消えなかったのですが、
これが川上弘美の魅力なんですよねー、つまり確信犯猫2

あとがきで本人自身がこれを“うそばなし”と言っているし、
真剣に作品の主題を考えるようなことをするのはヤボなのかも。
きっと不思議だけどどこかザラザラした、妙な世界観を
理解じゃなく感覚をで楽しむような、そんな作品なのです。

意味はまったくわからなかったんだけど、
「惜夜記」の中の「キウイ」って話が妙にツボで好きでしたぴかぴか
キウイの“わからないか、さあわからないか”ってセリフ、
当分の間は私の中で頻繁に使われそう(笑)

この人の頭の中はどうなってるんだろう?
現実のこの世界の中で、うまく生きていけてるんだろうか・・・。
とにかく類まれなる発想力には拍手☆
| comments(4) | trackbacks(0) | 11:37 | category:    川上弘美 |
# 真鶴
真鶴
真鶴
川上 弘美
真鶴/川上弘美
文藝春秋
1500円
評価 ☆☆☆
失踪した夫の日記には「真鶴」という文字が残されていた。
“ついてくるもの”にひかれて「真鶴」へ向かう主人公・京。
夫は「真鶴」にいるのか?
京は一人、真鶴へと向かう・・・。



(感想)
「夜の公園」を読んだ時に、
川上さんの世界と「不倫」があまりにもつながらなくて、
こういうテーマは描いてほしくないなと思った。

けど、今回も同じく不倫が描かれてあっても、
不思議と川上ワールドにしっくりと収まっている気がする。
「夜の公園」は実験的な試みで、
そこを経てこの「真鶴」が書かれたのかも・・・と勝手に解釈することにしますニコニコ

京の心に今でも残る冷ややかなもの。
“ついてくる”女の存在の意味。
思春期の娘は幼くあどけない姿をみせることもあれば、
手の平を返したように冷たくもなる。
そして時折漢字表記するべき箇所がひらがなになっていたりする。
これは京の夢なのか、真実なのか、
とにかくバランス感覚の危くい小説で、判断が揺さぶられます。

とても沢山使われている「にじんでいる」という表現も、
辞書に載っているような正しい意味でなく、
川上さん流の表現で、その時その時によって違う使い方をされている。
この「にじんでいる」をどう解釈しようか悩みます。
ワタシ的には【主人公の心にぽかんとあいた空洞】みたいなことかと解釈してみたけど、
どうしても合わない箇所も多くあせあせ
ちょっと読み込みが足りなかったかもしれません。

最後に京たち家族、つまり女3人が
寒天を煮とかして、杏仁豆腐を作る場面はよーく考えるとすごく怖い。
プルンプルンで安定感のない食べ物・・・。
光が差したようなラストではあったけど、
杏仁豆腐の不安定さが彼女達の心の均衡の不安定さをうまく表現しているようで・・・。
| comments(0) | trackbacks(1) | 14:24 | category:    川上弘美 |
# 東京日記 卵一個ぶんのお祝い。
東京日記 卵一個ぶんのお祝い。
東京日記 卵一個ぶんのお祝い。
門馬 則雄,川上 弘美
東京日記 卵一個ぶんのお祝い。/川上弘美
平凡社
1260円
評価 ☆☆☆☆
「本書は、本当日記です。
少なくとも、五分の四くらいは、ほんとうです。」
川上弘美ならではの、エッセイとも小説ともつかない、
おかしみとシュールさの入り混じった世界が広がる本。
川上的世界のエッセンスがたっぷりつまったファンの期待にこたえる一冊ぴかぴか



(感想)
川上さんらしい“ほわーん”とした独特の世界が広がる本です。

「卵一個ぶんのしあわせ」。
夕御飯ディナーの時に今日一日の出来事を思い出し、
ちょっと幸せな気分になれる日もあれば、
シュンとしてしまう日もある。
元気な自分にもしょんぼりしてる自分にも
おかずに一品、卵をサービスしてあげる。
それだけで何となくハッピーになれる。
そんなささやかな生き方っていいなぁニコニコ
そういう喜びを大切に生きていたいなぁるんるん
ああ・・・なんて素敵なタイトルなんだろうぴかぴか

あとがきに
「本書は、本当日記です。少なくとも、
五分の四くらいは、ほんとうです。」

とあるけれど、本当かな!?

シュールでくすっと笑ってしまうようなおだやかな日常。
こんな日々を穏やかに過ごしている人もいるんだ〜ニコニコ
なんだかほのぼのした気分になりますムード

思考にも言葉の選び方にもおかしみを感じ、
日記の文末を飾る一文のシュールさもたまらない!!
それらが力の抜けたイラストと最高にマッチしていて、
妙な具合に心地いいエッセイでしたおはな
| comments(0) | trackbacks(1) | 11:43 | category:    川上弘美 |
# 古道具 中野商店
古道具 中野商店
古道具 中野商店
川上 弘美
古道具 中野商店/川上弘美
新潮社
1470円
評価 ☆☆☆☆
東京の西の近郊の小さな古道具屋・中野商店。
そこでアルバイトをする「わたし」。
ダメ男感漂う店主・中野さん。
きりっと女っぷりのいい姉マサヨさん。
わたしと恋仲であるようなないような、むっつり屋のタケオ。
どこかあやしい常連たち…。
不器用でスケールちいさく、けれど奥の深い人々と、懐かしくもチープな品々。
中野商店を舞台に繰り広げられる恋、友情。
幸福感あふれる最新長篇。



(感想)
骨董的な価値はなく、
いわゆる“ガラクタ”的な品々を扱う
中野商店の面々の恋愛模様を描いた連作集です。

店主の中野さん。
中野さんの姉のマサヨさん。
従業員のヒトミとタケオ。
この4名で回っている中野商店での出来事をヒトミの視点で描いています。

よく考えてみると、中野商店の人々は
熟年の恋愛だとか不倫だとか職場恋愛だとか
ドロドロとディープな恋愛失恋ばかりをしているのですが、
不思議と重さや不潔さは感じられません。

きっとこれは川上弘美さん独特の繊細でぽわーんとした世界観が
功をなしているのだと思います。
私までもが中野商店の一員となったような居心地のよさを感じました揺れるハート

最後の展開もとっても良かった。
このままでは終わってもらっては心残りだ・・・と思っていた私の心に
十分に満足できるプレゼントを残してくれた。
非常に後味の良い作品でしたラッキー
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:17 | category:    川上弘美 |
# 夜の公園
夜の公園
夜の公園
川上 弘美
夜の公園/川上弘美
中央公論新社
1460円
評価 ☆☆☆
リリは夫の幸夫があまり好きではない。
かつては大好きだったはずなのに・・・
愛してさえいたはずなのに・・・
二組の不倫カップルの奇妙な繫がりに深く分け入る川上弘美の新たな世界。

(感想)
たしかに商品説明どおり「川上弘美の新しい世界」。
でも、それはいい意味ではなく悪い意味で。

もっとこうほわーんとしてて、
ネジが一箇所緩んでるようなそんな世界を読みたかった。
「不倫」を描くにしても生々しいものではなく
薄いベールに包まれたようなつかみどころのない描き方をしてほしかった汗

他の方も書いておられますけど、
登場人物がみんな好きになれません失恋
全員が全員、自分が何をしたいのかがわからなく、
ただ流されているような人ばかりたらーっ
話にメリハリがないんです。

春名とリリ、どっちにも共感しがたい。
川上さんのファンは女性が多いと思いますが、
このキャラクター、女性には反感を買うと思いますよ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:53 | category:    川上弘美 |
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