# 厭な小説
2009.07.14 Tuesday
JUGEMテーマ:小説全般
● 厭な小説 / 京極夏彦● 祥伝社
● 1890円
● 評価 ☆☆☆☆
夫婦二人きりの家に帰宅すると、
玄関で私を迎えたのは人間とは思えない気味の悪い容姿をした子供だった・・・。
はたしてこれは幻覚か
だが、これが我が家を崩壊させる地獄のはじまりだった・・・・。
「恐怖」と「異なるもの」を描き続ける鬼才が繰り出した「不快」のオンパレード。
悪寒、嫌悪、拒絶…あらゆる不愉快、詰め込んだ日本一のどんびきエンターテインメント。
(感想)
これを読んでいたら、配偶者から「古い本?」と聞かれました。
そう、みるからに古めかしい古書のような装丁。
見た目は不気味だし、紙質もざらついてるし、紙の色もなんだかもう・・・。
よく、気づかないうちに本に虫の死骸が挟まっていることがあるけれど、
この本はあえてところどころにその虫の死骸を印刷してあります。
読者を徹底的に厭な気分にさせる演出もバッチリです。
最初から最後まで不可解な厭さが続きます。
450ページほどもあるし、読めば読むほどイヤ〜な気持ちになる。
こういう条件がそろうと、途中で読むのがいやになっちゃうはずなんだけど、
不思議なことに「読みやすい」。
いやなのにどんどん読めちゃう。このついついページを進めさせるリズム感の良さはなにっ!?
厭な人であったり、厭な物質であったり、厭な感覚であったり、
次々と厭なものが出てきては解決することなく、次の厭なものが・・・と続く。
どのお話のはじまりも特におかしなことはなく、いたって現実的。
でも、次第にその現実感がねじれてきてあっという間に不可解と不条理の世界に落ちていく。
そのじわじわ感もイヤ〜な感じ
どれも厭なんだけど、私がいちばん厭だったのは「厭な彼女」でした。
この本、たしかにイヤなんだけど、
個人的には新堂冬樹の「吐きたいほど愛してる。」のほうが私はイヤです。
グロさが少ないだけマシかも。