隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 万事快調 オール・グリーンズ / 波木銅

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● 万事快調 オール・グリーンズ / 波木銅

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆

 

舞台は茨城のどん詰まり。クソ田舎の底辺工業高校。

そこ高校には園芸同好会があるが、それは表向き。

その実態は犯罪クラブ。

メンバーは3人の女子高生。

彼女たちが育てるのは、植物は植物でも大麻(マリファナ)だった。
ユーモラスでオフ・ビートな文体が癖になる、中毒性120%のキケンな新時代小説

満場一致で第28回松本清張賞を受賞。
弱冠21歳の現役大学生による破格のデビュー作。

 

 

 

(感想)

 

読書芸人のティモンディ・前田裕太さんが

ユーチューブでおすすめ本として挙げているのを見て読んでみました。

個人的にはこういう機会でもなければ出会えないタイプの小説だと思いましたが、

ぶっ飛んでて面白かったです。

特にラストの不条理さは最高でした。

 

しかし、デビュー作というだけあって荒削りなのは否めない。

おそらく著者はラップ・映画・本などのサブカル的文化がとても好きなのだと思う。

それを登場人物の3人の女子高生にそれぞれ投影した。

その結果、田舎にはまずいそうにない変にマニアックな女の子が完成した。

私はこのキャラ設定に違和感を感じました。

 

うーん、でも「若さ」と「疾走感」で押し切られて次回作にも期待!!かな?w

| comments(0) | - | 16:43 | category: 作家名 な行 |
# ミシンと金魚 / 永井みみ
評価:
価格: ¥ 1,540
ショップ: 楽天ブックス

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● ミシンと金魚 / 永井みみ(集英社)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。

ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、

みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。

暴力と愛情、幸福と絶望、諦念と悔悟・・・

絡まりあう記憶の中から語られる、凄絶な「女の一生」。

 

 

(感想)

 

あらすじなどの予備知識なしで読み始めたので、

最初は主人公の語り口調に慣れず、状況も理解できず苦戦しましたが、

わかっていくにつれ、カケイさんの人生にのめり込んでいきました。

 

認知症のおばあちゃんから語られる壮絶な人生。

そして彼女の人生に色濃く関わった人たちの生々しい人生もその影に描かれている。

人生末期のリアルがずしんと響く一冊でした。

永井みみさん、本作がデビュー作とのことですが、

かなりインパクトのある作品で出てこられましたね。

今後もケアマネ時代の経験を生かしたような作品を書いていくのでしょうが、

最初がすごすぎて今後はどうなっていくんだろう・・・といろんな意味で注目したいです。

 

この本を読んで強く感じたのは、

認知症の方を扱う家族や介護スタッフの方には、

たとえ今は認知症で何もわからなくなってしまった人だとしても、

決して軽んじて扱ってほしくないということ。

その人にも輝いていた時代・苦労した時代があったことを意識し、

一人の人間としての敬意を持って扱ってあげてほしい。

自分もつい、お年寄りは何もわからなから・・・と、

子供を扱うような接し方をしてしまうことがあるので、

リスペクトが足りなかったなと深く反省させられました。

 

認知症の人に対する見方が変わる作品でした。

| comments(0) | - | 14:56 | category: 作家名 な行 |
# 神との対話 / ニール・ドナルド ウォルシュ

JUGEMテーマ:スピリチュアル

 

 ● 神との対話 / ニール・ドナルド ウォルシュ(サンマーク出版)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

92年、春。私生活と仕事の両面で苦しんでいた著者は、

「神」に宛てた手紙の中で、やりきれない心情と疑問をぶつけた。

書き終えてペンを放り出そうとしたその時、「神」からの回答が…。

そして著者は「神」と「対話」する。

 

 

 

(感想)

 

著者と対話しているこの「存在」が果たして神かそうでないかはいいとして、

内容は素晴らしいものだと思います。

少々難しい部分はありますが、

理解できない部分が多くても、きっと強く響く部分は見つかるはず!

それだけでも十分、価値のある本だと思います。

 

「人生は、すべて自分自身の創造」。

スピリチュアル系の方々は最近、みんなこうおっしゃっていて、

最近見たもの・読んできたものがすべてつながり、

より深く納得できました。

 

もし、大きな試練が訪れたとしても、

それが最も大きな勝利となる可能性もある。

困難からどんな自分を作り出すのかは自分次第。

どちらの方向へ行くかも自分次第。

そう考えれば、何事もチャンスと捉え、頑張れます。

この本とは別のところで、

ある方が「すべては【捉え方】」と言ってたけど、

まさにその通りなのだと思えました。

 

悲観主義をやめる。

心配。・不安・憎悪をなくす。

そんなシンプルなことだけで、人生はもっとラクに、楽しくなる!!

答えはとても単純でした。

 

あまり深く考えすぎずに、人生を楽しんでいきたいです。

 

| comments(0) | - | 15:22 | category: 作家名 な行 |
# 波形の声
評価:
長岡 弘樹
徳間書店
¥ 1,728
(2014-02-14)

JUGEMテーマ:小説全般

波形の声 / 長岡弘樹(徳間書店)

評価 ☆☆☆


人間の悪意をとことん見据えたまなざし、
心温まるどんでん返し、そして切なさはビターに!
奥の深い長岡ミステリー最新作7篇。



初読みの作家さんです。今、注目されている方ですよね。

7編のミステリー短編集。
読みやすいのでサクサクと読めますが、今一つかな〜。
途中で犯人(結末)がわかっちゃうのもあれば、
わからないままに結末まで読んでも、「ああ、そうなんだ」程度で大きな驚きがない。
ミステリーのわりにハラハラドキドキ感がありません。

よかった作品を強いて1つあげるとすれば「黒白の暦」。
社内の女性同士の無言の争いを描いていて、
女性として大いに共感できる部分があったし、
最後には胸にあたたかいものが残りました。

あえてそうしているのかどのお話にも
人と競うことや優越をつけることが出てきた気がする。意図的?





 
| comments(0) | trackbacks(1) | 13:39 | category: 作家名 な行 |
# きみはいい子
評価:
中脇 初枝
ポプラ社
¥ 1,512
(2012-05-17)

 きみはいい子 / 中脇初枝


 

   評価 ☆☆☆


ある町を舞台に、

生徒と新任教師との心のふれあいを描く「サンタさんの来ない家」をはじめ、

娘に手を上げてしまう母親とママ友との物語、

ひとり暮らしが長くなった老女と家を訪ねてきたある男の子との物語など胸を打つ作品を五篇収録。


静かにたんたんと書かれているけど、

これは現代の抱えるリアルな子育ての問題だと思う。

一度パタンと玄関のドアを閉めてしまえば、

中で何か起きているのか誰も知る由がない。

これはとても怖いことなのかもしれません。


虐待を受けた子は自分が悪い子だから殴られ、

食事も与えられないのだと本気で勘違いしているのがたまらなく切ない。

子供はそれが「愛情」なのか「虐待」なのかをきちんと理解できるほどには心が成長しておらず、

大人になったときにその悲しい記憶が大きく影響してくる。

親はそれを認識したうえで叱ったり、教育したりしなければならない。


「きみはいい子」と言ってもらえること、

頭をやさしくなでてもらうこと、

ギュッと抱きしめてもらうこと・・・・・・

子供たちにとってその温もりがかけがえのない安心と安らぎとなる。

私には子供がいないのではっきりと断言はできないけど、

子供を育てるうえできっとこれほどの大切なことはない。


親といえど人間だし、子供だって一人前の人間。

うまくいかないときやしんどいことは誰だってある。

でも、一時的な感情で激しい行動や言葉をぶつけてしまう前に、

一度立ち止まってよく考えてほしい。

それだけで子供の将来への影響が大きく変わるかもしれません。


子供への虐待は読んでいると心が痛むのだけど、

どこかに必ず助けようとする手があり、光が見える。

それがせめてもの救いでした。



| comments(0) | trackbacks(0) | 16:13 | category: 作家名 な行 |
# 傷つく人、傷つける人
評価:
信田 さよ子
ホーム社
¥ 1,470
(2013-07-26)

 傷つく人、傷つける人 / 信田さよ子

 評価 ☆☆☆


長年カウンセリングの現場に立つ著者が「傷つく」という言葉をキーワードに、

家族、友人、職場などの、さまざまな人間関係にひそむ問題とその対処法を探る。


私が求めていたのは、

他者による傷の明確な原因のわかるケースではなく、

自分や社会の現状に悩んで勝手に傷ついて苦しんでる人のケースに触れる本だったので、

この本の内容は求めていたものとはちょっと違っていたけれど、

うなづける点も多く、読んで良かったと思える本でした。


「傷つくこと」と「傷つけられたこと」の違い。

「傷ついた」と感じている人は自分が焦点になっているが、

「傷つけられた」と感じている人は他者への怒りを感じている。

この違いに愕然としたし、

最近の傾向として「傷つけたくない」と思う人が増えてきているというのにも納得。

どうやら私はこの「傷つけたくない」という傾向が強いのかもしれない。

だからいつも行動に出る前に悩んでしまう。で、結局何もできずに終わってしまう。

これが私の人間関係をめんどくさくしているのだとわかった。


「過去は水に流せない」。

だからといって、忘れられない自分はダメなのだとは考えてはいけない。

そうならないために大切なのは「誰かに聞いてもらう」こと。

批判されずに、黙って聞いてもらうこと。何回も何回も聞いてもらうこと。

誰かの力を借りて、何があったのかをきちんと自分の中で整理すること。

これをすることによって、経験が過去になっていく。


「よい人間関係を築く」

自分を否定しない友達をできるだけ多く作る。

コンパートメントをたくさん持つ。


ちょっと書きだしてみただけでも、得るものは多かった。

これを自分にどう当てはめて、変わっていけるかだと思う。

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:25 | category: 作家名 な行 |
# ユリゴコロ
評価:
沼田 まほかる
双葉社
¥ 1,470
(2011-04-02)

JUGEMテーマ:小説全般

 ユリゴコロ / 沼田まほかる(双葉社)

 評価 ☆☆☆


亮介が実家で偶然見つけた「ユリゴコロ」と名付けられたノート。
それは殺人に取り憑かれた人間の生々しい告白文だった。
創作なのか、あるいは事実に基づく手記なのか。そして書いたのは誰なのか。
謎のノートは亮介の人生を一変させる驚愕の事実を孕んでいた。



人を殺すことの快感にとりつかれた人間の告白ノートを軸に展開する作品。
とにかく、この告白の部分が薄気味悪く、作品中に漂っている空気すら始終不気味。

最後の展開には驚愕です。
私にはまったく想像のしていなかった大どんでん返しのラストでした。
ネット上には「感動した」という声が多かったですが、
私は感動よりもドロドロした気味の悪さだけが印象に残ります。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:22 | category: 作家名 な行 |
# さよならドビュッシー
評価:
中山 七里
宝島社
¥ 1,470
(2010-01-08)
コメント:このミス大賞・・・しかし、ミステリーとして評価するとなると疑問も残る。

JUGEMテーマ:小説全般
 ● さよならドビュッシー  / 中山七里
 ● 宝島社
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆
ピアニストを目指す16歳の遥は両親・祖父・おじ・いとこのルシアとともに幸せな生活を送っていたが、
その幸福な日々はある日、当然終わりを迎える。
両親とおじの留守中に火事に巻き込まれ、祖父とルシアは命を落とし、遥だけが生き残ったものの、
全身に大きな火傷を負ってしまったのだ。
しかし彼女は夢を諦めず、猛レッスンとリハビリのおかげでピアノコンクールの出場権を獲得する。
だが、彼女の努力をあざ笑うかのように不吉な出来事が次々と起こりはじめ・・・・。
第8回「このミス」大賞受賞作


(感想)

「このミス」の大賞受賞作です。
本格的なミステリーというよりは、困難に負けずに夢を追う少女の奮闘の方が際立ち、
ミステリーと青春テイストの両方を併せ持った作品です。

謎ときの面白さはイマイチだった。
だって犯人やアヤシイ箇所を指し示すかのように、
「この人を怪しみなさいよ!」みたいなヒントを不自然なほどにはっきり強調してあるんだもん・・・。
なんだか興ざめしちゃいました
特に「ある人物」の存在ははじめから明らかに不自然、最後に何かあるのバレバレ
音楽の専門的な話やピアノの技法に関してはちょっと深く描きすぎ。
ここまでこだわってきっちり書かなくても十分だと思う。

引き込まれ、読ませる力はあります。
もしかしたらミステリーじゃなく、
「困難に負けず、夢をつかもうとする女の子の青春モノ」にしちゃった方が良かったのかも。
きっとこの人、ミステリにこだわらず、
さわやかな青春モノも書ける作家になることは間違いなし
どんな作家になっていくのか今後が楽しみですねぇ
| comments(0) | trackbacks(1) | 16:11 | category: 作家名 な行 |
# きのうの神さま
評価:
西川 美和
ポプラ社
---
(2009-04)
コメント:医療をテーマにした短編集

JUGEMテーマ:小説全般
 ● きのうの神さま / 西川美和
 ● ポプラ社
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆
『ゆれる』で世界的な評価を獲得し、今、最も注目を集める映画監督が、
日常に潜む人間の本性を渾身の筆致で炙りだした短編集。
『ディア・ドクター』に寄り添うアナザーストーリーズ。


(感想)

映画「ディア・ドクター」の原作本かと思いきや、そうではありません。
「ディア・ドクター」という短編も収録されてはいるんだけど、違う話みたいだし、
まぁ、地域医療にかかわる人を題材にした作品とでもいうのでしょうか。

田舎に住んでいる人がどこか具合が悪くなったとしても、
都会のようになんでもかんでもすぐに近くの病院で診てもらえるわけではありません。
その点はとても不便で心配も多いのだけど、
でも、子供のころから同じ先生にかかれば、おのずと医師と患者の間で信頼関係や親しみもうまれる。
田舎に住んでいる私だからこそ、
著者は地域医療の現状を丁寧に取材し、真摯に描いていることが感じられました。

地域の医療をあらゆる角度からみた、静謐な作品です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:51 | category: 作家名 な行 |
# 酒にまじわれば
評価:
なぎら 健壱
文藝春秋
¥ 1,450
(2008-07)
コメント:粋な酒飲み本☆

JUGEMテーマ:エッセイ
● 酒にまじわれば / なぎら健壱
● 文藝春秋
● 1450円
● 評価 ☆☆☆☆☆
酒には数々の味わいと様々な酔い心地がある。
グラスの中に世界があり、ジョッキの中に楽園があり、お猪口の中に人生を見つめる。
多彩な才能を発揮する、異色のシンガー・なぎら健壱の酒食エッセイの最高傑作。


(感想)

お酒にまつわる2〜5ページくらいの短いエッセイが詰まっています。
なぎら健壱さんは絶対に粋なお酒の飲み方をしてる人でしょう
だからこの本、面白くないはずはないと思って飛びついたのでした。
こういう本に目をつける自分が好きさ

お酒の席って酔っ払っちゃっているせいか、
信じられないような出来事に遭遇することも多いけど、
なぎら健壱くらいの酒飲みのプロになるとそんなエピソードのすごさもハンパじゃない。
思わず吹き出すようなエピソードもあるし、
「人っていいなぁ」とホロリと来るようなものもあり。
物事をよく観察している人だから、面白いものを見つけるアンテナの感度がいい
だからこの本は面白い
きっとお酒やおつまみの味だけじゃなくて、
店の雰囲気やそこで起こった出来事や会話の内容まで
すべてを含めて「飲む」ことを楽しんでいる人なんだと思う。
こういう人に愛される酒場こそがほんとうにいいお店と言えるんじゃないかなぁ。

驚いたのはね、なぎらさんって大衆的な居酒屋でホッピーでも飲んでそうなイメージでしょ?
でもそういうのだけじゃなく、ウイスキーもワインもなんでもいけちゃうみたいなんだな。
そういうところがほんとにお酒がすきなんだなーと感じて逆に良かった

この本の中によく出てくる「すがれた」という言葉、私は意味を知らなかった。
すぐに辞書で調べたけど載ってなくて、ネットで調べてみると
盛りがすぎて衰えはじめる」って意味らしい。
あー、なんか味のある言葉だわ。なぎらさんらしいわ。
この言葉、なんか気にいったから私も使わせてもらおう

すっごい面白かったー。
私もこんな粋でかっこいい酒飲みができるようになりたいわ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:48 | category: 作家名 な行 |
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