JUGEMテーマ:小説全般
冬の光 / 篠田節子(文藝春秋)
評価 ☆☆☆
四国遍路を終えた帰路、冬の海に消えた父。
企業戦士として家庭人として恵まれた人生、のはずだったが…。
死の間際、父の胸に去来したのは、二十年間、愛し続けた女性のことか、それとも?
足跡を辿った次女が見た冬の光とは―
(感想)
四国巡礼の旅に出るが「結願」の帰途、冬の海に身を投げて自死した父・康宏。
父の足跡を追い、父の死の謎を解き明かそうとする次女・碧。
それぞれの視点から真実を描いていくスタイルの作品です。
何を思い、どう生きるかなんて自分自身のことですらよくわからない人がほとんどなのに、
自分以外の誰かのそれを100%理解するなんて不可能。
康宏目線で考えれば彼の人生を許す気になれなくもないが、
康弘の心の内は妻や長女に届くことはなく、
彼女ら目線で見れば「最低な夫(父)」以外の何者でもない。
・・・やはり気持ちは届けなきゃ意味がないと痛感。