|
JUGEMテーマ:小説全般
● 憐憫 / 島本理生(朝日新聞出版)
● 個人的な評価 ☆☆☆
かつて子役だった沙良は、芸能界で伸び悩んでいた。
自分の正体をまったく知らない人間に出会いたい──
そんな折に酒場で偶然出会った柏木という男に、たまらない愛しさと憐憫(れんびん)を感じる──。
愛に似て、愛とは呼べない関係を描く、直木賞作家の野心作。
(感想)
大人の恋愛小説でした。
うーん・・・でも二人の関係って恋なのかなぁ?
これといった山場もなく、平坦な印象は否めないけれど、それが逆にリアルです。
タイトルの「憐憫」。
個人的には主人公も彼も自分自身に対してそんな感情を抱いているような印象を受けましたが、
彼側の思いがまったく描かれていないので疑問が残ります。
主人公が彼と離れることにした決定打が「年齢」「老い」みたいに描かれているのも解せません。
「正しいからといって、人は後悔してはいけないわけではないのだから」という一文が妙に心に残っています。