隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 光のない海
評価:
白石 一文
集英社
¥ 1,890
(2015-12-04)

JUGEMテーマ:小説全般

 光のない海 / 白石一文(集英社)

 評価 ☆☆☆


建材会社の社長を務める高梨修一郎。
50歳を過ぎ、心に浮かぶのは過去の秘密と忘れがたい運命の人・・・・・・。
個人と社会の狭間にある孤独を緻密に描き、
成熟した大人に人生の意味を問う長編小説。




(感想)

人生の意味や運命に関する物語であるという点に関しては、
いつもと変わらないブレない白石一文であると思う。
だけど今回は主人公が男性ということもあり、いかにも男性的な話で、
主人公よりも若い世代の女である私にはほんの少し重厚すぎるように感じました。
個人的にはもう少し「運命」や「恋愛」の要素を含んだ白石作品の方が好みです。

深く心に残りそうな一文がありました。
それは・・・
どんな人間のいのちも、それ一つでは立っていられないのかもしれない。
私たち一個一個のいのちは、別の一個一個のいのちによって支えられて
初めていのちとして存在していくことができるのかもしれない。
・・・という部分です。

最後に主人公に「社長さーん」と呼びかけているのは、もちろんあの人ですよね?
安易な展開に落ち着いちゃうのかもしれないけど、
主人公を支えるのはあの人であると私は信じたい。
そうであれば、この重苦しい物語にも一筋の光が見えますもんねっ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:13 | category:    白石一文 |
# ここは私たちのいない場所
JUGEMテーマ:小説全般

 ここは私たちのいない場所 / 白石一文(新潮社)

 評価 ☆☆☆☆


芹澤は大手食品メーカーの役員。
順風満帆な会社員人生を送ってきたが、三歳で命を落とした妹を哀しみ、結婚もしていない。
ある日、芹澤は鴨原珠美という元部下と再会し、関係を持つ。
それは珠美の策略であったのだが、
彼女と会う時間は諦観していた芹澤の人生に色彩をもたらし始めた。
喪失を知るすべての人へ・・・光と救いに満ちた最新書き下ろし長編。



(感想)

相変わらずの安定の白石節ですな。
哲学的で小難しいところもあるけど、ブレないところがやっぱ好きだなぁ。
人生や人との絆のことを、頭ん中でグルグルと考えちゃうあたりが私に似てるんだ。
私は好きだけど、
読めば読むほど“好き嫌いがはっきりわかれる作家”という印象が強くなりますねw

釈尊やイエスが肉欲を戒め、聖職者に性交を禁じているのは
「人類の存続を全否定しているから」という解釈にはびっくり仰天したけれど、
主人公の社会での立ち位置が変わると、
それは「子供を作るな」と言っているわけではなく、
むしろ「大人になるな」「可能な限り子供でいなさい」と説いているのではないか?という考えに変化していきます。
独身で子供もいない主人公とは少し違いはあるけれど、
私も結婚はしてるけど子供はいません。
その件に対して負け意識はないし、
それならそういう生き方を謳歌しようという気持ちで生きているけれど、
主人公のこの解釈には救われる気がしました。

淡々としているようで、実は奥が深すぎるほど深いです。
特に主人公と珠美の場面が好き。これぞ大人の恋愛だと思います。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:34 | category:    白石一文 |
# 愛なんて嘘
評価:
白石 一文
新潮社
¥ 1,728
(2014-08-22)

JUGEMテーマ:小説全般

愛なんて嘘 / 白石一文(新潮社)

評価 ☆☆☆☆


かつての恋人を探し続ける女。死んだ親友の妻に同居を強要された男。
離婚し、それぞれ再婚しても二人で添い遂げる約束をし続ける夫婦。
自己愛という究極の純愛を貫く六つの短編集。



(感想)

理性的ではない道を選んでしまう6人の女性を描く短編集。
社会一般的な感覚にとらわれずに、自分の気持ちにストレートに突き進むあたり、
これぞ私が求めている大好きな白石さんらしい作品集です。
でも、苦手な人は苦手なんだろうなぁ。好き嫌いのはっきりわかれる作家ですよね。

まわりに何を言われようが、その道が間違っていようが、自分に正直に生きたい。
そう強く思っている人もいれば、
今置かれている環境を衝動のようにポイッと投げ出してしまう人もいた。
現実で本能のまま生きるのは難しく、そんな度胸もないので、まるでおとぎ話のように読みました。
いろんな意見があると思うけど、この人達にとっての幸せはコレなんだと思う。

彼女達の未来が気になって仕方ない。
後ろ髪を引かれるような気持ちが残ります。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:52 | category:    白石一文 |
# 神秘
評価:
白石 一文
毎日新聞社
¥ 2,052
(2014-04-26)

JUGEMテーマ:小説全般

神秘 / 白石一文(毎日新聞社)

評価 ☆☆☆☆


五十三歳、大手出版社役員の菊池。
医師の妻とは五年前に離婚して、双子の娘たちも独立、
再びの独身生活を謳歌していた。
同期の出世頭で、次期社長と目されていたが、
ある日末期の膵臓がんに冒されていることがわかる。
医師から「余命一年」を宣告されたが、治療を受けることはせず、直感に従って神戸に移住し…。



数年前に悲しい経験をしてから、
私は闘病モノ(特に癌)に関する作品に触れることを意識的に避けてきました。
しかし今作は好きな作家の新作ということで内容も確認せずに読み始めてしまい、
すぐに主人公が癌に侵されていることを知り、
一瞬読むのをやめようかと思いましたが、
いつまでも避け続けるわけにもいかないし・・・・。
思いきって読んでみようと決めました。

前作の「彼が通る不思議なコースを私も」あたりから
私の好きな白石さんの世界観が戻ってきたような感じがしていたけど、今作はそれ以上。
この作品に描かれる不思議な「縁」はできすぎている感があることは否めない。
これを非現実的と捉えてしまったらそれまでだけど、
人生において「縁」というものがいかに重要であるかをひしひしと感じました。
やはり白石さんの作品には考えさせられるものが多く、
生きる上で重要なことに気づかされます。

あまりつらい思いをせずに読み終えることができたのは、
主人公の病気に対する姿勢が「闘病」や「治療」ではなく、「治癒」だったからだと思います。
最近は手術や抗がん剤投与などで1日でも長く生きようとすることだけが
この病気との向き合い方ではなくなってきました。
穏やかにゆるやかに向き合うことで、
自然にありのままに残りの人生を過ごす選択をされる方もたくさんいる。
死を目前とし、はじめて自分のこれまでの人生を振り返って考えることによって、
自分の死生観・人生観が見えてくる。
これはまさに死を目前にした達観の境地。
いつか自分に間もなく訪れる死を意識する時がきたら、こんな風に自分に素直に日々を丁寧に生きたい。
ジタバタするのはナシにしたい。そう思わずにはいられません。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:09 | category:    白石一文 |
# 彼が通る不思議なコースを私も
JUGEMテーマ:小説全般


彼が通る不思議なコースを私も / 白石一文(集英社)
 


評価 ☆☆☆☆


友人がビルから飛び降りようとしている現場で、

霧子は黒ずくめの不思議な男と出会った。

彼の名前は椿林太郎。学習障害児の教育に才能を発揮する、

優秀ですこし変わった小学校教師。

霧子は彼に魅かれていくが、実は彼には知られざる能力があって・・・。


白石さんの作品はここ何冊かはな〜んとなく不発な感じだったけど、

今回のはよかったなぁ。

“彼が通る不思議なコース”とは、“特殊能力”を持っているということ。

その男性(林太郎)と出会い、結婚した女性(霧子)が主人公のお話。

特殊能力の部分でちょっとオカルト入ってると思われそうだけど、

オカルトっぽさはあまり感じませんでした(そこは重要ではないから)。


生きる気持ちを維持するために必要なのは夢や希望なんかじゃない。

他でもない自分自身を好きだっていうこと。

自分自身が大切で大切でたまらないと思えば、

世界で一番大事な自分を失わないために生き続けることができる。


・・・林太郎のこの言葉って、

「夢」だの「希望」だのを語るよりもすっと説得力があって素敵だと思った。

「夢」を抱くことは人生においてとても重要なことだけど、

それを本当に実現できる人はごくわずか。

ほとんどの人は夢を実現できなかったことに対して何の後悔も不満もなく、

社会を支えるために何かしらの職業に就く。

そういう人がいるからこそ、社会はうまく成り立っている。

それ考えると、生きていくにおいて子供の達に伝えるべきことって

こっちなんじゃないかな〜って。

誰かと競争していい学校やいい会社に入ることよりも、

この世でいちばん大事な自分の人生を高める方法はいくらでもあるからね。


ただし、林太郎が何かをしようとするたびに支援の莫大なお金が集まり、

ラストに向かうにつれて林太郎が出世していく姿には拍子抜け。

この金の集まりの良さが「林太郎、うさんくさ!」と感じてしまう。

その部分で引っかかりがあり、彼のやっていることに心から共感することはできないのが残念。

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:33 | category:    白石一文 |
# 快挙
評価:
白石 一文
新潮社
¥ 1,365
(2013-04-26)

JUGEMテーマ:小説全般

 快挙 / 白石一文(新潮社)

 評価 ☆☆☆


一組の男女が出会い、夫婦となり、
困難を乗り越えながらも絆を深めていく姿を描いた作品。
ものっすごく暗いし、淡々としていてはじめはピンとこなかったけど、
読み終えた今になって「面白かった」と感じています。
この人の作品からは、人生の尊さを学ばせられることが多い。
これまでの作品に比べるとテーマが身近に感じられました。

俊彦が自分にとっての人生の快挙がどの出来事であったかを語る件にグッと来ました。
そう、普通の人にとっての人生の快挙なんてこんなもの。
派手さなんてなくていい、誰にでも起こるような出来事でもいい。
その瞬間を快挙だと言い切れる夫婦なら、間違いなくうまくいくってもんです。

作中で引用される「夫婦とは なんと佳いもの 向い風」という句。
改めて身にしみます。

でも、ラストはこれでよかったのか?
俊彦の選択に不満が残る。
男として俊彦にはラストに大きな花火を打ち上げて欲しかった。
女性側の視点としてはラストにも俊彦という男性にも物足りなさを感じました。
 
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:34 | category:    白石一文 |
# 幻影の星
評価:
白石 一文
文藝春秋
¥ 1,418
(2012-01)

JUGEMテーマ:小説全般
 
 評価 ☆☆


白石一文さんはずっと1つのテーマだけを書き続けている気がしてるなか、
徐々にスピリチュアル的な要素が強くなっているように思う。
レインコートと携帯電話の件がどうしても納得いかない。
パラレルワールドの存在を示唆してるんだろうけど、必要でしたか??
ついでに前半の性描写もいらないでしょう。

終わりが突然すぎて、何も見えないままモヤモヤだけが残る。
白石さん、どんどん私の理解を超える次元へ突入していってるようです・・・。


| comments(0) | trackbacks(0) | 14:17 | category:    白石一文 |
# 砂の上のあなた
評価:
白石 一文
新潮社
¥ 1,785
(2010-09)
コメント:偶然が重なりすぎて興ざめしてしまいますが・・・

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 砂の上のあなた / 白石一文
 ● 新潮社
 ● 1785円
 ● 評価 ☆☆☆
最愛の父がこの世を去り、
見知らぬ男から娘が知らされたのは最も知りたくなかった事実・・・・。
「もし僕が死んだら、愛する女性の骨と一緒に眠らせてほしい。」
最愛の父に愛人がいた…。
亡き父の妄執は、35歳の主婦・美砂子の結婚生活にまで影を落としていく。
脈々と根を張る「縁」に絡め取られる男と女を描く。


(感想)

白石一文さんの作品はどれも「運命」とか「縁」をテーマにされていて、
私はけっこう好きなんだけど、最近“いくらなんでも都合よすぎだろ・・・”と
興ざめしてしまうことがあるのが気になってました。
で、今回はなんかもうまさにその都合よすぎの決定版みたいなかんじ
ありえないでしょー、だめでしょー、こんなんじゃ(苦笑)
この人って、嫌いな人からはとことん嫌われる作家だけど、それもなんだかわかるわ。

女性の心理としては考えさせられるものがある。私も主人公と同じく、子供がいないから特に。
男性作家が書いているとは思えないくらいに、
女性ならではの業の深さや母性は手に取るように濃厚。
主人公の選択に対してだけでなく、
自分の人生の選択まで「これでいいの?」と考えずにはいられない。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:45 | category:    白石一文 |
# ほかならぬ人へ
評価:
白石一文
祥伝社
¥ 1,680
(2009-10-27)
コメント:まわり道も無駄じゃない、きっと出会える「運命の人」

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● ほかならぬ人へ / 白石一文
 ● 祥伝社
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆☆☆☆
宇津木明生は、財閥の家系に生まれたが、エリート意識の高い家風になじめず、
就職も結婚も家族の反対を押し切って自分の意思で決断し、家族とは絶縁状態でいる。
妻となったなずなはキャバクラに勤めていた過去を持つ美人。
しかし、ある日突然「過去につき合っていた真一のことが気になって夜も眠れなくなった」と打ち明けると、
数日後には家を出て行ってしまう。
失意の明生は一方で、個人的な相談をするうちに、
職場の先輩である東海倫子との距離を縮めていく・・・。
愛するべき真の相手は、どこにいるのだろう?
「恋愛の本質」を克明に描き、さらなる高みへ昇華する第142回直木賞ノミネート作品



(感想)

「ほかならぬ人へ」「かけがえのない人へ」2編からなる作品。
どちらも主人公がまわり道をしながらも、真実の愛へ気づくまでを描いています。
先日、直木賞の候補作が発表されましたが、この本も入っていましたね
数日後に迫った発表も気になるところです

だの恋だのといった甘ったるいものではない「真実の愛」に気づくのは容易ではありません。
けど、先にそういうかけがえのない、ほかならぬ出会いが待っているのだとしたら、
まわり道も無駄じゃない。
いや、むしろ、まわり道をしなければ気づけない場合もあるでしょう。

2編とも主人公が「真実の愛」に気づくとすぐに別れが訪れてしまうのが切ない。
真実の愛の喜びが永遠に続くというわけではない、ということか。
けど、それを見つけられた人とそうでなかった人とでは人生の豊かさが大きく違ってくると思う。
外見ではわからない、心で見つけるって難しいけど、
心のアンテナをピンと張り巡らせていれば、きっと見つかる。そう信じる気持ちも大切

「ほかならぬ人へ」では主人公の明生はなずなとの結婚に失敗し、
その失意の時期を支えてくれた女性が真実のパートナーだと気づくのだけど、
一方でなずなも真一との真実への愛に気づいて旅立っていった。
なずなの視点で描いたらまったく違うお話になっていただろうけれど、
彼女も同じものを手にしたのであって、最終的に同じような答えに行き着いたでしょう。

「かけがえのない人へ」で、約束をしているわけでもないのに、
毎年毎年必ず、女の誕生日にはケーキを購入するのが習慣になっていた男。
柄にもないことして、でも、女よりずっと前から「気づいていた」男心が切ないー

ああ、やっぱり白石さんの作品って考えさせられるなぁ。
心の奥底に響く、すごいものを書く人だ。
すごすぎて、読み終えてしばらくは頭の中が真っ白になっちゃいました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:49 | category:    白石一文 |
# この世の全部を敵に回して
評価:
白石 一文
小学館
¥ 1,050
(2008-04-24)
コメント:このタイトルで損をしているような・・・・

JUGEMテーマ:読書
● この世の全部を敵に回して / 白石一文
● 小学館
● 1050円
● 評価 ☆☆☆
常に生きる意味を問うような小説を発表し続ける作家・白石一文。
心筋梗塞(こうそく)のために53歳で急死した男が遺した手記という設定での中、
人間はどこから来て、どこに向かうのか--。
生きがたい思いを漫然と抱く、すべての人に、作者から突き付けられた八万文字分の言葉の爆弾。


(感想)
生きること、死ぬこと、どう生きるべきか・・・
白石さんは著作の中ではそこだけにテーマを絞り込み、
作家生命のすべてをかけてそれを綴っていこうとしてるように思える。
今回は小説という形とは一風違ったスタイルで死生観を訴えています。
急死した男が遺した手記という形はとっているものの、
でもこれはどう考えても白石一文さんがいつも言っているような思想・・・。
うーん、なぜあえてこういう形をとったのか。

すごーく重かった。
本自体が薄いからといって甘く見てはならない。書いてあることは相当のボリューム。
たぶん私、ずっとこの表紙の人みたいな暗い表情で読んでたと思うよ。

どんな絶望の先にも希望はきっとある。

でも、あまりに凄まじい。いい意味でも悪い意味でも。
素直に受け入れられる部分もあるけど、
子供を失った親の気持ちを書いているあたりなど、怒りすら込み上げてきます。
悲しみは時間がたてばたしかに薄らいでいくかもしれない。
そこまで行くのに多くの人に迷惑をかけ、そんなことでも心を痛めるかもしれない。
でも、それを「本気の悲しみでない」なんて白石さんに言う権利があるの?

これ、かなりの覚悟がないと発表できませんよ。
白石さんの小説自体は好きなんだけど、今回は引っかかる点が多かったな〜
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:42 | category:    白石一文 |
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