隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 真夏の島の夢

評価:
竹内 真
角川春樹事務所
¥ 1,785
(2004-01)
コメント:退屈しのぎにちょうどいい気軽な一冊
JUGEMテーマ:小説全般
●真夏の島の夢/竹内真
●角川春樹事務所
●1785円
●評価 ☆☆☆
瀬戸内海のある島で行われる演劇コンクールに参加するため、
進也たちのコント劇団「コカペプシ」のメンバー4人は島へと渡った。
同じフェリーには女性作家の佳苗とアシスタントの律子が乗り合わせていて、
進也たちはすぐに彼女たちと親しくなる。
しかし・・・最高の夏になりそうな予感が思いがけず島の産廃問題に巻き込まれ…。



(感想)
気軽に読める作品です。
深く考えなくていいし、読後に特に何も残りはしないんだけど、
こういうのは時間を持て余してるような時にいいよね。

島で行われる演劇コンクールに参加するためにやってきた男たち。
島のホテルに缶詰めになって作品を書くことになった女性作家とアシスタント。
同じフェリーに乗り合わせたこの男女が知り合い、ひと夏の恋に発展しつつ、 
自分たちはまったく望んではいないのに、
島民たちが熱くなっている島の産廃問題に巻き込まれていく・・・といったストーリー。

物語は「劇団」「小説」「産廃問題」の3つの柱で構成されています。
それぞれの出来事が劇や小説を作り上げていくのに良い相乗効果となり、
1つの劇や小説がどのように作られていくのか、
その舞台裏も知ることが出来てエンターテイメント性は高い作品といえる。
でも、印象に残るような作品かと言われれば・・・否。
軽い気持ちで読む分にはいいけど、ちょっと薄っぺらいというか弱いというか・・・。

キャラクターはしっかりしてるのに、
どうも柱が3本もあることで中心が定まらず、散漫な気がしてしまいました。

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 01:39 | category:    竹内真 |
# ビールボーイズ
ビールボーイズ
ビールボーイズ
竹内 真
JUGEMテーマ:小説全般

ビールボーイズ/竹内真
東京創元社
1785円
評価 ☆☆☆☆
北海道の新山市。
ビール工場ビールの撤退のために仲間の一人・茜が転校することに・・・。
12歳の正吉達はビールの存在そのものに復讐しようと
秘密基地で皆でこっそりビールを飲む!
これが正吉を地ビール造りへと誘うきっかけだった。
12歳から30歳まで、
ビールで結びついた友情と成長の軌跡を描いた感動の物語。



(感想)
「カレーライフ」に続くフード系青春小説第2弾。
各章の間にビールにまつわるコラムが差し込まれているのが粋ラッキー
とにかく一言で言うと、ビールビールが飲みたくなる本
暑い夏にキンキンに冷えたビールをググッと飲み干す気持ちよさは、
この本を読んだ後のカラッとした気持のよさに似てる。
きたる暑い夏おてんきにピッタリな本に出会いました。

町から大手のビール工場が撤退することになり、
両親がその会社に勤める仲間の茜が引っ越すところから物語は始まる。
その復讐心をビールそのものに向けた12歳の正吉達は
みんなで秘密基地に集まり、ビールを飲む。
それが正吉とビールをつなぐ最初の出来事になるが、
中学の修学旅行ではビールを飲んでいるところを教師に見つかって大目玉をくらい、
高校生になると使われていないペンション跡でビールを飲みながら花火をし、
火の不始末でペンションを燃やしてしまうひやひや
そしてやがて正吉はビールを作る道を歩き始めることに・・・。

正吉達の友情と青春の思い出にはいつも必ずビールがあります。
正吉達の12歳〜31歳までの彼らを描いていますが、
12歳の時にまずは茜との別れを経験し、
その後も転校や進学などで仲間たちはバラバラになります。
が、何年も連絡が途絶えても再会すれば自然に昔の自分たちに戻れる。
私なんかは何年も会っていない友人と久々に再会したりすると、
友人の変化にガッカリしてしまうことが多いから、
彼らのような関係は素敵だなぁと思いました。
いや、高校生時代にできた友人と再会することはあっても、
幼稚園〜中学時代の仲良しとはもう卒業以来会ってない。
もしかしたら彼女たちとの方が
正吉たちみたいないい関係を築けるのかもしれないおはな

こういう爽快な青春成長モノを書かせたら
竹内真さんの右に出るものはいませんねわーい
期待を絶対裏切らないから、安心して読めます。
幼い頃の思い出を共有する友達って、やっぱいいですねぴかぴか



●この本を好きな人におすすめなのは・・・
カレーライフ、自転車少年記、風に桜の舞う道で/竹内真
| comments(2) | trackbacks(2) | 08:20 | category:    竹内真 |
# 自転車少年記  あの風の中へ
自転車少年記―あの風の中へ
自転車少年記―あの風の中へ
竹内 真
自転車少年記 あの風の中へ/竹内真
新潮文庫
460円
評価 ☆☆☆☆
あの日、僕は親友の草太・伸男と自転車自転車で走り始めた。
目指すは大都会・東京ビル
新世界への旅立ち!!
僕らは夢に向け、ペダルをひたすら漕ぎ続けた・・・。
単行本版『自転車少年記』の構想を元に新たに書き下ろされた、
爽快無比の成長小説嬉しい


(感想)
単行本は昇平たちが4歳から大人になるまでの期間を描いていますが、
こちらは高校学校を卒業し東京に出るところから30代まで。

単行本では描かれなかった先の話(昇平の息子が自転車少年になっていく様子)まで読めるので、
単行本で既に「自転車少年記」のファンになっている人も読んで損のない内容ですぴかぴか

単行本を読んでるか、読んでないかで
感想は分かれるかもしれないけど、
読んでいる私から見れば、
単行本に比べると文庫の方は重みがなく、感動が少なかった[なぁ:がく〜:]

単行本は少年達の成長の側に常に自転車自転車がある様子を
節目節目丁寧に描いていて、
彼らの自転車の密接な関係を強く感じることができる。

でも文庫本はそれらの大切なエピソードを
回想として少しずつ織り交ぜてるだけなので、
少年達と自転車の絆が濃密に感じられない汗

青春や友情のすがすがしさも、
主人公達が少年であった方が爽やかに感じられるしね・・・たらーっ

題材は素晴らしいけど、
単行本の爽快さには遠く及びません。


●この本が好きな人におすすめなのは・・・
自転車少年記/竹内真
| comments(2) | trackbacks(0) | 11:04 | category:    竹内真 |
# 風に桜の舞う道で
風に桜の舞う道で
風に桜の舞う道で
竹内 真
風に桜の舞う道で/竹内真
中央公論新社


90年春、高校を卒業した青年が大きな荷物を手に「桜花寮桜」に集まる。
ここが1年間彼らが住まいとする予備校の寮である。
・・・10年後の2000年春、
彼らの夢は形をとりつつあった。
懐かしさとほろ苦さを感じさせる青春小説。

(感想)
予備校の特待生10名が暮らす、桜花寮での一年と、
その10年後の寮生たちの姿を交互に描いています。

その寮生の一人・リュータが死んだという噂の真相を確かめるために、
懐かしい寮生たちにリュータの消息を尋ねて歩く・・・
という設定も無理がなく一石二鳥!

竹内真さんの作品を読んでいつも思うのですが、
この人は本当に読んで気持ちのいい作品ばかり書く人ですラッキー
読後感の良さは抜群ですぴかぴか
後味の悪さや納得のいかない気持ちになることもなく、
大きなどんでん返しで驚かされるということもない。
安心して楽しめる作家さんだと思います。

それぞれの出発や成長・・・
「忘れていた青春時代を思い出す」のではなく、
「こんな青春時代を送りたかった」と思わせる作品。
桜の似合う爽やかな青春小説でした。

●この本が好きな人におすすめなのは・・・
自転車少年記/竹内真
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:38 | category:    竹内真 |
# カレーライフ
カレーライフ
カレーライフ
竹内 真
カレーライフ/竹内真
集英社
1995円
評価 ☆☆☆☆☆
おじいちゃんは僕たちに特製のカレーを食べさせているときに、
突然帰らぬ人となった。
そしてお葬式の日。僕たち孫5人は約束した。
「大きくなったら5人でカレー屋をやろう」と・・・。

(感想)
子供の頃の小さな約束が、いつの間にか現実になっていくお話。
富士五湖・バーモント・インド・沖縄・・・とカレーを巡る旅は続く。

ケンスケは各地を旅して、バラバラになったいとこたちと再会する。
そして「あの頃の約束」を切り出す・・・。

すっかり忘れている者、覚えている者、
すでにカレー屋になるべく動き出している者など彼らの反応はさまざま。
しかし、最終的にはいろいろな形で全員がカレー屋に携わっていく
そのプロセスを描いているのですが、
コメディー映画のようなテンポのよさが魅力ですムード

同じく竹内さんの「自転車少年記自転車」の読後にも感じたすがすがしさがあります。

カレーの香りが食欲を誘うように、
カレーの香りに導かれながら読者はどんどんページをすすめる。
まるでカレーをむさぼり食うように(笑)

450ページ以上もある長編びっくりだけど、
私たちが普段食べ慣れているようなカレーはもちろん、
スパイスの効いたインド風のカレーやカレーうどんまで味わえるので食べ飽きることはないディナー
最後までいろんな味を楽しめるおなかにもうれしい一冊!


●この本を好きな人におすすめなのは・・・
ビールボーイズ/竹内真
| comments(2) | trackbacks(0) | 10:58 | category:    竹内真 |
# 自転車少年記
自転車少年記
自転車少年記
竹内 真
自転車少年期/竹内真
新潮社
1995円
評価 ☆☆☆☆☆
銀色に輝く翼を手に入れた昇平と草太は、冒険をした。
レースで汗を流した。もちろん素敵な恋もした。
自転車自転車のスピードで、少年は大人へと成長する。

(感想)
自信を持って人にすすめられる本に出会えました。

読んでいてこんなにすがすがしい気持ちになれた本は久しぶりです楽しい
成長小説はたくさん読んできたけど、
「自転車自転車」というアイテムにこだわった点が何より見事でした。

昇平と草太の出会いは4歳の時。
補助輪なしでの自転車乗りの練習をしていた昇平が、
坂道の猛スピードで草太の家の生垣に突っ込んだ日から、
29歳になり300キロの自転車ラリーに出るまでの25年間を描いているのですが、
二人の人生の節目には必ず自転車があるのです。

同級生たちに差をつけるために坂道で怖がらずに自転車に乗るための特訓をしたこと、
海まで何時間もかけてサイクリングしたこと、
高校で自分たちで自転車部を発足したこと、
東京で暮らし始めるために東京まで自転車上京したこと・・・
二人の青春にはいつも自転車がある。
自転車によって人間関係も開かれた。
好きなものでつながっている人々の連帯感ってやはりすごいですよねぴかぴか

忘れてならないのが、二人と中学校で出会う伸男。
この作品の3人めの主人公。第3の男。
自転車屋のおじさんを持つ彼は、二人の自転車のメンテを手掛けます。
この作品においても重要な存在です。
後半に唯一、彼をメインに描く章があるのですが、
そこから最後まで私の涙腺は開きっぱなしでした悲しい

ラストの連帯感は爽快!!

「悲しい」とか「かわいそう」ではなく、「感動」で泣ける小説でした。



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
自転車少年記 あの風の中へ/竹内真

「自転車少年記」では描かれなかった少年達のその後や、
昇平の息子が自転車少年自転車になっていく過程が描かれていますウィンク
| comments(2) | trackbacks(0) | 11:32 | category:    竹内真 |
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