# 醒めながら見る夢
2016.10.17 Monday
JUGEMテーマ:小説全般
醒めながら見る夢 / 辻仁成(角川書店)
評価 ☆☆☆
華道の家元後継者として厳しく育てられた姉妹・亜紀と陽菜は、
演出家の優児をめぐって三角関係に陥りながら、
自らの心のありようを模索する。
答えの無い不条理な世界で、行き場を失った愛はどこへ向かうのか――
(感想)
「人間の心ってどこにあるんだろう」
・・・人間にとっての永遠のテーマといっても過言ではない難問を投げかける今作。
心とはなにか、自分のとはなにかという問題と格闘しながら生きる男女。
後半は意外な方向へいったものの、最後までブレのない軸のある作品でした。
身体的にゾクゾクするような耽美な美しさも感じます。
亜紀の話し方だけが妙に浮いていた気もするけど、
全体的な雰囲気は舞台である京都の静かな美しさとマッチして、
なんともいえない妖しい色気もある作品でしたね〜。
人間の心は「頭」にあるのか、「胸」にあるのか。
それをどうとらえているかによって愛し方・生き方も違ってくるでしょう。
永遠にわかりあえない苦しみも生まれるでしょう。
どの登場人物も感情をさらけ出しているように見えて実はそこまで深い部分は見せてはいない。
そのへんが彼らの誰一人として満たされていない要因なのだと思う。
心って本当に扱いが難しい!