隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# ムーンナイト・ダイバー

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ムーンナイト・ダイバー / 天童荒太(文藝春秋)

 

 評価 ☆☆☆☆

 

ダイビングのインストラクターをつとめる舟作は、

秘密の依頼者グループの命をうけて、

亡父の親友である文平とともに立入禁止の海域で引き揚げを行っていた。

… 311後のフクシマを舞台に、

鎮魂と生への祈りをこめた著者の新たな代表作誕生。

 

 

 

(感想)

 

あやしく神秘的な夜の海の底には、

あの震災で流された人々の思い出の詰まった品々が沈んでいて、

その宝物を探しだすために危険を承知しながらも立ち入り禁止の月夜の海へ潜るダイバーのお話。

震災をテーマにした作品に対してこの感想は不謹慎かもしれないけど、

とにかく「美しい」の一言に尽きます。

 

自然の力はあまりに大きく、ちっぽけな人間がどうにかできるものではない。

だからこそ潜って、自然の力をその体に感じるたびに、

舟作はまるで「生」を確認するかのように「性」におぼれる・・・・。

その衝動の生々しさはまさに生きることへの渇望なのだと思います。

 

どちらかというと「生き残った方へのメッセージ」とか、

「震災の現実を語り継がなければ・・・」というよりは、

「死者へ送るメッセージ」的な意味合いのある作品という印象です。

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# 歓喜の仔(上)(下)
評価:
天童 荒太
幻冬舎
¥ 1,620
(2012-11-22)

評価:
天童 荒太
幻冬舎
¥ 1,620
(2012-11-22)

JUGEMテーマ:小説全般

歓喜の仔(上)(下) / 天童荒太(幻冬舎)

評価 (上) ☆☆☆  (下) ☆☆☆


愛も夢も奪われた。残されたものは生きのびる意志だけだった。
父は突然消え、母は心に傷を負って植物状態になった。
残された三兄妹は、誰も知らない犯罪に手を染める道を選んだ。
救いは、戦地で生きる心の友。
『永遠の仔』『悼む人』を経て、新たな天童文学がここに。




(感想)

多額の借金を抱えたまま父親が失踪・・・。
残された子供たちは植物状態の母親を劣悪な環境で自宅介護し、
借金を返すためにやくざの下請けで犯罪に手を染める・・・。

なんというか・・・・最後までまったく希望がなくて気が滅入ります。
この「歓喜の仔」というタイトルが皮肉のようのも思えてきて、
この子たちが歓喜に沸くような日は来るのか?と祈るような気持ちで読みました。
唯一の救いは福健さんの作ってくれる食べ物のみ。
そんなに美味いなら私も食べてみたいよ!!
つらすぎて、そんなことで気を紛らわしでもしなきゃ読めませんよ(´ノω;`)

この絶望的な暮らしが長男の誠は音感、次男の正二は色覚、末っ子の香りは嗅覚を失う。
そして誠の中にはパレスチナの過酷な状況で生きる空想上の友・リートがいる。
リートの暮らしを描くことは物語に重厚感を加えるのには効果的かもしれないけど、
物語がとてもいい流れの時に限って、唐突に誠達の世界からリート達の世界に切り替わるのはいけない。
とってもとっても白ける。
あまりの白けっぷりにこの際、リートの部分はなくてもいいのでは?とすら思いました。

最後の最後でタイトルにつながるような展開にはきちんおさまったけど、
そのあまりに芝居じみた展開にえっ?ウソでしょ?と思ってしまいました。申し訳ないけど失笑。
結局、彼らがその後どうなったのかまでは描いていないけど、おそらく子供達も無罪放免では済まないのでしょうね。
だけどずっと違和感のあったタイトルの意味、
そして子供たちが失ったものとその能力・行動にはすべて意味があったということには納得しました。
こういうオチがあることはまったく予想しておらず、
今になって思うと、気づかなかった自分の鈍感さが情けなくすら思えます(-_-;)

誠が「信頼」を大事にすること。
香が仲間たちと培ってきた「むれ」という考え方。この2点、好きです。
シンプルにそこは深く共感しています。


 
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:12 | category:    天童荒太 |
# 静人日記
評価:
天童 荒太
文藝春秋
¥ 1,600
(2009-11-26)
コメント:「悼む人」、坂築静人の記録

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 静人日記 / 天童荒太
 ● 文藝春秋
 ● 1600円
 ● 評価 ☆☆☆☆
見知らぬ死者を悼み、全国を放浪する「悼む人」・静人。
日記という形式をとり、過酷な旅を続ける中で静人が見たもの・感じたことは・・・。
旅の全容と静人の脳裏に去来する様々な思いを克明に描く。
 


(感想)

直木賞を受賞した「悼む人」のスピンオフ的な作品です。
主人公・坂築静人が旅をしながら記録した日記形式になっています。
なんだかね、この日記、実際に毎日、作者が主人公になりきって書き続けてたものらしい。
天童さんの死に対する思い・・・ひとつひとつの作品を読むたびに深く感じます。
 
「悼む人」を読んだ時にも感じたことだけど、
やはり私には静人のやっていることは静人自身の自己満足としか思えないなぁ。
私も大事な人を失ったことがあるから、
頭ごなしに静人を「あたま、おかしいんじゃない?」とまでは思わないけど、
彼の行いが死者の喜びになっているとなると違う気がする・・・。

それにしても・・・。
私が意識していないだけで毎日毎日、死のない日は1日たりともない。
それに気づいちゃうと気が重くなりますね。
新聞で痛ましいニュースを目にしても、
一体どんな残忍な犯人がやったんだろって犯人の人物像は気になるものの、
亡くなったのがどんな人だったんだろうってとこまでは、
よっぽどの肩書があったり、珍しい経歴がある人でない限り気にはならない。
つまりはその記事を痛ましい命の灯が消えたこととしてではなく、
ひとつのニュースとしてしかとらえてないってことだよね・・・。
ああ、そんな自分が悲しい

静人の選んだ方法以外にも生と死と真摯に向き合う方法はあるはず。
静人、今を生きる、自分の人生も考えて。
彼のおだやかな未来を祈っています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:56 | category:    天童荒太 |
# 悼む人
評価:
天童 荒太
文藝春秋
¥ 1,700
(2008-11-27)
コメント:自分が「悼まれる人」にならないとわからないかもなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
● 悼む人/天童荒太
● 文藝春秋
● 1700円
● 評価 ☆☆☆☆
全国を放浪し、死者を悼む旅を続ける坂築静人。
彼を巡り、夫を殺した女、 人間不信の雑誌記者、末期癌の母らの人生とは・生とは・死とは。
はたして彼は聖者なのか、偽善者か?生と死が交錯する至高の愛の物語。



(感想)
天童荒太さんらしいテーマですね。
悼む人・・・彼のやっていることが死者にとって喜びになるかどうかは今の私にはわかりません。
この世の生を終え、自分が「悼まれる人」になった時にしかその答えはでないでしょうね。

自分が死んでも誰かに自分の存在を覚えておいてほしい。
でも、それが見ず知らずの人となると・・・・・ちょっと違うような
かたくなに物事の一面だけをみて悼んでいる静人には違和感を覚えます。
自分の知らない誰かにまでも無償の悼みなんて、私には一人間にできることではない。
唯一、これができるのは神だけだと思います。

むしろ私は静人の生き方よりも、巡子の旅立ちのほうに心を動かされました。

私には静人のようなことはできない。
でも、せめて自分のまわりの人の死は心から悼める人になろう。
生きてる者にとっても、死んだ者にとっても、それだけで十分なのではないのかなぁ。

静人の旅にはたして終わりはあるのでしょうか・・・。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:42 | category:    天童荒太 |
# まだ遠い光  家族狩り〈第5部〉
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉
まだ遠い光―家族狩り〈第5部〉
天童 荒太
まだ遠い光 家族狩り〈第5部〉/天童荒太
新潮文庫
700円
評価 ☆☆☆☆☆
浚介は游子の心は、次第に寄り添ってゆく。
山賀と大野は哀しみを抱えた家の扉を叩き、
ただひとつの言葉を求めている。
冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。
彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎え・・・。
悲劇によって結ばれた人びとは、
奔流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。
ついに第五部・完結篇!


(感想)
全5巻、読み終えました。

今、思うのは
“愛”って複雑だなということ。

注ぎ方を間違えると“暴力”にしかならず、
押し付けるだけでもいけないノーノー

“愛している”という事実より
“どう愛するのか”ということが重要なんですね。

家族の問題を見つめなおすことはもちろん、
自分個人の生き方や考え方まで揺さぶられ、
響くものがありました。

この機会に世界の悲惨な状況も、
自分の家族間の問題も、身近な人々の問題も、
同じようなレベルで案じられる柔軟な心を持つことができるかな?

少なくとも今、
世界で起こっていることを「他人事」だって思う自分ではなくなったような気はする。
そんなきっかけを与えてくれる作品でした。


(感想)
家族狩り(全5巻)/天童荒太
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:50 | category:    天童荒太 |
# 巡礼者たち  家族狩り〈第4部〉
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉
巡礼者たち―家族狩り〈第4部〉
天童 荒太
巡礼者たち 家族狩り〈第4部〉/天童荒太
新潮文庫
540円
評価 ☆☆☆☆☆
馬見原は四国に向かい、痛ましい事実に辿りつく。
夫に同行した佐和子は巡礼を続ける者の姿に心を大きく動かされ、
一方、東京では玲子のことを心配する游子と、
逃避行を続ける駒田の間に、新たな緊張が走っていた。


(感想)
物語の進むペースがはやくなってきた気がする第4部。

登場人物たちは自らの道を切り開こうと、
それぞれ過剰なまでに突き進みます。

中でも、浚介はいい方向へ向かいつつある様ですが・・・
馬見原も少しずつ真実に近づいているの!?
佐和子の心はどうなってしまうの?
游子と駒田親子は和解できるの?
そして亜依は?

緊迫の結末は次号の第5部へ・・・。
それぞれにどんな結末がまっているのでしょうか。
はやく続きが読みたくて仕方ありません。

そしてだんだん感想が雑になってくるのも
仕方がありません。

●この本が好きな人におすすめなのは・・・
家族狩り(全5巻)/天童荒太
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:42 | category:    天童荒太 |
# 贈られた手  家族狩り〈第三部〉
贈られた手―家族狩り〈第三部〉
贈られた手―家族狩り〈第三部〉
天童 荒太
贈られた手 家族狩り〈第三部)/天童荒太
新潮文庫
500円
評価 ☆☆☆☆
ふたつの事件を経て、
虚無に閉ざされていた俊介の心に変化が訪れていた。
馬見原は冬島母子を全身全霊で守っているにもかかわらず、
妻や娘との関係は歪んだまま・・・。
また一つ家族が失われ、
哀しみの残響が世界を満たす。



(感想)
3部で特に強調されていたのは「他人への無関心」「家族愛」。

そして、それぞれの登場人物を見る目が変わる章。

これまでのお話の中で
物語を悪いほうへ導くであろうと思われていた人物の心の叫びを聞き、
この人物の印象がぐっと変わります。

さらにさらに!
善人と思っていた人物がなにやら怪しい雰囲気で・・・。
物語はどんどんと私の想像とは違う方向へと進んでいくようです。

山賀葉子の言う「愛」は考え方は悪くはないけど、
型にはまりすぎている。

そして浚介は二つの事件を経験して、
少しずつではあるが人間としても教師としても成長しているようです。ニコニコ

ここにきて気づいたのは、
この作品を大長編として一冊の本にまとめるのではなく、
このように何冊かにわけたのは大成功だったということぴかぴか
普通なら夢中で読み進めてしまうところを、
このシリーズの場合は一冊一冊を読み終えるたびに、
感想を書きつつ考えて整理できる。
この刊行の仕方により、
より一層、作品を堪能できている気がします。


●この本が好きな人におすすめなのは・・・
家族狩り(全5巻)/天童荒太
 
あえてここに記す必要はないだろうけどたらーっ
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:31 | category:    天童荒太 |
# 遭難者の夢  家族狩り〈第2部)
遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉
遭難者の夢―家族狩り〈第2部〉
天童 荒太
遭難者の夢  家族狩り〈第2部〉/天童荒太
幻冬舎
500円
評価 ☆☆☆☆
あの日の光景をふり払おうと酒に溺れていた浚介は、
さらなる痛みを味わう。
游子は少女をめぐり、その父親と衝突。
亜衣は心の拠り所を失い、
摂食障害から抜け出せずにいる。
平穏な日々は既に終わりを告げていた・・・。



(感想)
これから物語に暗い影を落としていきそうな
登場人物が次第に見えてきて、
一部に比べるとどんどん引き込まれている自分に気づきます。

それぞれが抱えた問題がより重みを増して、
複雑になり、三部への期待も高まるばかりです。

家族の問題が作品の最大のテーマですが、
二部では精神論や生き方論といった方向で読み応えのある場面もありました。
それは佐和子の家に患者たちが集まり、
のびのびと語り合う場面です。
重い空気の中進んでいく作品の中では、
少しだけ空気の違う場面のようなかんじがしますが、
根本的にはこういったコンプレックスやプレッシャーといった感情が
人を壊す大きな要因になりますよね。
そういう感情を家族間で吐き出すことこそ、
家族間の悲惨な事件を未然に防ぐことに繋がるのではないでしょうか。

一部から感じていることですが、
巻末にある著者のあとがきも読書の大きな手助けとなっています。
このあとがきを読むのもとても楽しみです。


●この本を好きな人におすすめなのは・・・
家族狩り(全5巻)/天童荒太
 
シリーズ物なので大切に読んでください。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:44 | category:    天童荒太 |
# 幻世(まぼろよ)の祈り  家族狩り〈第1部〉
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉
幻世(まぼろよ)の祈り―家族狩り〈第1部〉
天童 荒太
幻世(まぼろよ)の祈り  家族狩り〈第1部〉/天童荒太
幻冬舎
500円
評価 ☆☆☆
高校教師・巣藤浚介は、
恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。
馬見原光毅刑事は、
ある母子との旅の終わりに、心の疼きを抱いた。
児童心理に携わる氷崎游子は、
虐待される女児に胸を痛めていた。
女子高生による傷害事件が運命の出会いを生み、
悲劇の奥底につづく長き階段が姿を現す・・・。



(感想)
95年に発表された「家族狩り」に大幅に加筆した、
まったく新しい「家族狩り」。

なぜ、このような作品が生まれるに至ったかは、
文庫読書のあとがきで著者自身が丁寧に語っています。

それぞれに家族の問題を抱えている人物が登場し、
独立した問題を描きながらも、
時にその登場人物同士が微妙に関わりあい、
物語は進んでいきます。

この本は全5巻中のはじめの1冊ということで、
まだ序章的なイメージといえるでしょうか?
今では新聞で読んでもたいして驚くこともなくなった家族内の事件。
信じたくないようなヘビーな問題でありながら、
この作品によって、どこの家庭も一歩間違えれば
ズルズルと似たような状況に追い込まれてしまうのではないかという恐怖を感じました。

あとがきの中で著者自身が
“解決策などありえないとしても、
経過報告だけでも届けたいと思う”と語っていました。

確かにこのような悲しい現実に追い込まれている家庭が
あるということを知っているのと知らないのとでは、大きく違います。
知ったことによって、
自分の家族との関係を見つめなおしたり、
家族への接し方を改めて考えてみる方もいると思います。
また、身近にこのような問題で悩んでいる人がいて、
手を差し伸べる気持ちがわいてくる方もいると思います。
自分のことであれ、ほかの人のことであれ、
悲しみから目をそらす事ができなくなるはずです。
それだけでも読む意味のある作品だと思います。


●この本を好きな人におすすめなのは・・・
家族狩り(全5巻)/天童荒太

これは一巻で、以下5巻まで続刊します。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:33 | category:    天童荒太 |
# 包帯クラブ The Bandage Club
包帯クラブ The Bandage Club
包帯クラブ The Bandage Club
天童 荒太
包帯クラブ The Bandage Club/天童荒太
ちくまプリマー新書
798円
評価 ☆☆☆
傷付いた少年少女達は、
戦わないかたちで自分達の大切なものを守ることにした...。
今の社会を生きがたいと感じている若者たちに語りかける感動長編。

(感想)
新書での発売ということで価格面で優しく、
漢字を使うべき箇所にも平仮名が使われていますラッキー
たぶんこの本は少年少女向けなんですね。

みんながこの作品を読み、それぞれの傷と向き合う。
それで少しでも気持ちが軽くなればすべてオッケーるんるん
これまで人間や家族の問題を深く追求してきた天童さんから、
傷付いている若者達へのプレゼントプレゼント的な本といえるのかも。

傷の深さに違いはあれど、誰もが心に抱える“痛み”。
この本では“包帯クラブ”の面々がみんなが傷を負った場所へ行き、
包帯を巻くことによって癒しを与えていきますが、
根本的な問題は包帯どうこうじゃない。
“心配して話を聞いてくれる人の存在の大きさ”
これに気付くことが重要(^-^)

●この本が好きな人におすすめなのは・・・
温室デイズ/瀬尾まいこ
| comments(8) | trackbacks(0) | 09:54 | category:    天童荒太 |
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