隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
<< March 2024 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >>
# 猫のよびごえ / 町田康

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 ● 猫のよびごえ / 町田康(講談社文庫)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

『猫にかまけて』以来、高い人気を誇るシリーズがついに完結。

ボランティアに保護された猫を預かるうちに、猫の数が増えてゆく町田家。

ウイルスを持ち、人間におびえてなつかない猫から、

海岸を散歩中に後をついてきた人なつこい猫まで、

さまざまな猫たちと不器用な飼い主との間で繰り広げられる心温まる日常。

のどかな光景の中にも、

生き物を飼うことへの真摯なまなざしと優しさが貫かれた傑作エッセイ。

 

 

 

(感想)

 

大切に大切に読んできたこのシリーズもついに完結。

 

私の場合、今飼っている一匹の猫がすべてで、

その子に会った、その子が暮らしやすい生活をさせてあげたいと考えています。

つまり、町田夫妻とはまったく違った愛し方なのだけど、

町田夫妻のすべての猫に対する広い愛情もよくわかるし、

大笑いしながらも学ぶことも多かったシリーズでした。

 

第一作目の「猫にかまけて」をはじめて読んだのは2007年。

完全に犬派だった私がなぜか猫を飼おうと思い、飼い始めたのが2019年。

今ではすっかり猫の虜。

猫なしの人生など考えられなくなりました。

猫派になる前となってからじゃ、読んだ感想も・理解度もまったく違います。

私の猫人生において大切なバイブルとなる貴重なシリーズです。

正直、ここで終わりだなんて言ってほしくない(ノД`)・゜・。

これからも続くであろう日常を、

ずっとずっと書いてほしかったです。

| comments(0) | - | 15:06 | category:    町田康 |
# 猫とあほんだら / 町田康

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 ● 猫とあほんだら / 町田康(講談社文庫)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

突如として引っ越しをしようと思い、

雨の降る日に物件を見に行くと玄関の庇の下に小さな2頭の子猫が震えていた。

漸く見つけた家にまず自宅の4頭が引っ越し、

それから試行錯誤の末に一冬かかって仕事場にいる6頭のための新住居が完成して、一つ屋根の下で暮らせるように。

人気シリーズ第3弾。

 

 

(感想)

 

猫エッセイ第3弾。

今回の作品は猫を連れて引っ越しすることの大変さ、猫のためにリフォームの苦労話などが綴られています。

なついてなくて抱っこもできない猫もいるから想像を絶する大変さだっただろうし、

そのなかの一匹に脱走されたときのエピソードは読んでいて本当につらいです。

でも、それを全部面白おかしい話にしちゃえるのが町田節。

何度、吹き出したことかww

 

町田さんの猫エッセイ読んでも、猫だらけのインスタを見てても思うんですけど、

ここんちの猫たちに一切「かわいいな」という感情が生まれないのが不思議!

そう見せるような書き方・撮り方をしないのも町田さんらしいと言えるのかもしれないですね。

 

| comments(0) | - | 11:18 | category:    町田康 |
# 【再読】猫にかまけて

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 猫にかまけて / 町田康(講談社文庫)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

気位が高く威厳に満ちたココア、

犬の血が混じっているのではないかと思うほど人懐っこいゲンゾー、

遊び好きで無邪気なヘッケ、

並外れて気の強い奈奈・・・・縁あって共に暮らした、ちょっと面白い奴ら。

手を焼かされ、言い負かされ、それでもいつも一緒にいた。

写真と文章で綴った、猫たちとのいとおしい日々。

 

 

 

(感想)

 

2007年に読んだことのある本を再読。

その頃は完全なる「イヌ派」だった私が2020年の今は猫を飼っていて、

今やすっかりネコ派になっていますw

ですから、本の中に散りばめられている「ネコあるある」のエピソードの数々が骨身にしみてわかる!

そして私の猫レベルが増してる分、本に対する理解度も増した気がする!

2007年に読んだ時とは違う意味で、より深く、面白かったです。

 

来るもの(来る猫)を拒まず、さすが作家先生な観察眼。

猫たちの考えていること(考えていそうなこと)がユーモラスに描かれ、

あまりのおかしさに何度吹き出したことでしょう。

面白い場面からも、涙なしでは読めないような場面からも、

町田さんの猫たちに対する深い深い愛情を感じました。

 

いつもながらの独特の町田節でありながらも、

シリアスな場面では文章のアクの強さがほんの少し抑えています。

そんな文章の使い分けにも配慮が感じられました。

 

猫の沼にハマったら逃れられない・・・わかる、わかるな〜。

私も町田さんもすっかりハマってる、やられてる。

猫は人生に素晴らしい喜びを与えてくれるけど、楽しいだけじゃない。

すべてを受け入れて共に生きる「覚悟」。

それを感じさせてくれた一冊でもあります。

| comments(0) | - | 15:45 | category:    町田康 |
# 湖畔の愛
評価:
町田 康
新潮社
¥ 1,620
(2018-03-22)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 湖畔の愛 / 町田康(新潮社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

ようこそ、九界湖ホテルへ。

創業100年を迎えた老舗ホテルの雇われ支配人の新町、

フロントの美女あっちゃん、雑用係スカ爺のもとにやってくるのは――。

自分もなく他人もなく、生も死もなく、ただ笑いだけがそこにあった。

響きわたる話芸に笑い死に寸前! 天変地異を呼びおこす笑劇恋愛小説。

 

 

 

(感想)

 

少し前に読んだ「生の肯定」があまりに町田ワールドすぎたのに対し、

これは町田作品にしてはソフトな部類。

町田康初心者に「最初の一冊目」としてお勧めするのに適した一冊だといえます。

 

まったくw 町田さんが「恋愛小説」を書くとこうなるのね〜。

恋愛小説を読んだときに抱くドキドキや胸キュンはまったく感じない。

けど、町田さんにそういうの、求めてないからなぁ。

展開・言葉のチョイスに何度声を出して笑ったことかww

笑えて、言い回しの巧みさに「うおお!」って感動できる・・・これが町田康ですよね?w

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:18 | category:    町田康 |
# 生の肯定
評価:
町田 康
毎日新聞出版
¥ 1,728
(2017-12-20)

JUGEMテーマ:小説全般

  

 生の肯定 / 町田康(毎日新聞出版)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

世界を睥睨し超然と生きるはずだった。
数多の苦難に襲われ、死に場所を求めて彷徨った。
余はいま、人々の温もりの中で生きようとしている。
普通の人生を求めて――『どつぼ超然』(2010)、
『この世のメドレー』(2012)につづく圧巻のシリーズ完結編。

 

 

(感想)

 

途中からもうなにがなんだかわかんなくなってしまいました。

しかも読み終えた後にシリーズものの完結編だと知り・・・ww

 

おっさんが美術館へ行こうとする・・・それだけの話のはずなんです。

でもそこは町田作品、そう簡単に目的地にたどり着けるわけがない。

すっちゃかめっちゃかで何が何だかわかりませんww

とにかく「町田ワールドがすぎる」というか・・・カオス!!

好きな人は好き、わかんない人にはわかんない、独特の世界。

しかも今回は「好きな方の人間」のはずの私でもわかんないというハイレベルさで、

これは私がシリーズの前2作を読んでないのが原因とかそういう問題ではない気がします。

けど、全然ついていけてないんだけど、

それでもやっぱり独特の表現や比喩は楽しいんですよね〜。

つまり、これはじっくりと味わう作品というよりは、

このセンスと感覚をこの場限りのつもりで楽しむ作品なんだと理解しました。

 

難しい感想なんていらない、そういうことです。

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 08:31 | category:    町田康 |
# 人間小唄
評価:
町田 康
講談社
¥ 1,575
(2010-10-19)
コメント:他の町田作品に比べると小品だけれども・・・

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 人間小唄 / 町田康
 ● 講談社
 ● 1575円
 ● 評価 ☆☆☆
自分の短歌を無断引用した作家を拉致監禁し、
ある条件をクリアすれば解放してやると約束した俺。
その条件とは「俺の気に入る短歌を作る」「ラーメンと餃子の店を開店し人気店にする」「暗殺」、
このどれか1つをクリアすれば自由にしてやろう。
だが、事態は思わぬ方向へ…。
パンク純文学作家が放つ書き下ろし長編小説。



(感想)

町田康の持ち味全開!!相変わらずバカな話だったなー。
常識もへったくれもない。不条理もなんのその。
町田ワールドでは何があっても許される、っていうか許してしまうわ。

いきなり短歌の解説なんかから始まるし、
正直、前半はなかなかこの物語の世界に入り込めずに面白くはない。
でもラーメン屋経営がはじまるあたりからヒートアップ!
リズム感も出てきて、どんどん読ませます。

「告白」や「宿屋めぐり」みたいな圧倒的なスケールや
魂を揺さぶられるような鳥肌モノの興奮はないけど、これはこれで面白かった。
やっぱり町田さんの作品はバカバカしくないとね。

それにしても町田さんの作品にスピッツがでてくるとはなぁ。
びっくりした。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:19 | category:    町田康 |
# 東京飄然
評価:
町田 康
中央公論新社
¥ 840
(2009-11-24)
コメント:串カツを食べるたびに、この本を思いだしそう・・・笑

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 東京飄然 / 町田康
 ● 中公文庫
 ● 840円
 ● 評価 ☆☆☆☆
風に誘われ花に誘われ、カメラを携えて、ぶらりと歩いてみたくなった。
作家の目にうつった幻想的な東京。著者による写真多数。


(感想)

相変わらずのバカバカしさ、ゆるさ・・・大好きです
「東京飄然」のタイトルそのまま、ぶらりと歩いて見たこと感じたこと。
ストーリーなんて、なんにもないない。でも、雰囲気とバカバカしさでかなーり笑える。
でも、笑えるなかにも、うまくいかない人生のもどかしさや哀しさも感じるんですよねぇ。
エッセイだという人もいるけど、私は小説なんじゃないかな、と思います。

特にもう串カツの話がおかしくておかしくて・・・
通常なら串カツの定食には串カツ8本付いてくるんだけど、店側の間違いで7本しかもらえなかった。
なのにその間違いを指摘することもできずにおめおめで帰ってきてしまったことが
何日も何日も気になって仕方ない。
「しょせん俺は串カツを7本しかもらいないチンケな男」と思ってしまい、何に対してもやる気が起きない。
そのもどかしさに決着をつけるために、他の串カツ屋さんを探し求めるのですが・・・。
ああー、バカバカしい。
これを読んだ人は一生、串カツを食べるたびにこの本を思いだすんだろうなぁ。

串カツのインパクトが強すぎて、他にはどんなエピソードがあったのか忘れてしまった。
けど、それもオッケーなくらい満足度は高い。
やっぱり町田康はすごい
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:28 | category:    町田康 |
# 真説・外道の潮騒

評価:
町田 康
角川グループパブリッシング
¥ 1,785
(2008-10-31)
コメント:「実録・外道の条件」から8年・・・またしても起こって(怒って)しまいました。
JUGEMテーマ:読書
●真説・外道の潮騒/町田康
●角川書店
●1785円 
●評価 ☆☆☆
年少者は年長者を敬い、大事にしなければならない・・・それが「長幼の序」である。
長幼の序を重んじる俺ははるか年上の演出家、宗田さんに
外国に行ってテレビに出演しろ、と言われる。
そんなことをするのは嫌で仕方なかったのだけれども、
長幼の序の精神に則ると無下に断るのも憚られ、
話だけでも聞こう、と思ったことからすべては始まった・・・。




(感想)
年上の演出家に頼まれ、ドキュメンタリー番組に出演することになったマーチダ。
番組のテーマは尊敬する作家・ブコウスキーの人生を辿る「マーチダコーの精神の旅」。
行き先はロサンゼルスということは決まったが、
ディレクターの稲村チャルベという男が
マスコミの常識(つまり社会の非常識)でしか物事を進められない男で、
スケジュールが定まらず、番組自体への納得もいかないままに出発の日を迎えてしまう
当然、ロスでの撮影もスムーズにいくはずはなく、
マーチダたちはチャルベ達マスコミのめちゃくちゃぶりに振り回されていきます

常識では許されないようなマスコミの外道っぷりを描く「実録・外道の条件」に次ぐ第2弾。
思えば、私がいちばん初めに読んだ町田康作品が「実録・外道の条件」でした。
どこまでが真実なのか(もしくは全部が作り話なのか)まったく判断できず、
エッセイでも小説でもないこの妙な味わいの虜になってしまったのです。

今回の「真説・外道の潮騒」でもマーチダは怒っています。
マスコミの人間には社会の常識的なことを言えば言うほど話が通じなくなる。
人の話を聞かず、ルールを守らず、自分を押し切ろうとする。
マスコミという変わった社会に対する怒るるマーチダのメッセージ。

でも、100%チャルベが悪いかと言われるとそうじゃない。
話をじっくりと煮詰めず、はっきりしないままにここまできたマーチダにも責任があり、
一方的にチャルベだけを責める資格はないんですよね〜。
もちろん、チャルベとマーチダだけじゃなく、
この撮影に関わっている人すべてに至らない点があるからこんな状況になったんだけど

まさに「人の振り見て我が振り直せ」な作品。
あんたら、みんな同罪だよ。

クスクス笑いはあったけど、他の作品に比べると笑えるポイントは少なかったです。



| comments(0) | trackbacks(0) | 11:55 | category:    町田康 |
# 宿屋めぐり

評価:
町田 康
講談社
¥ 1,995
(2008-08-07)
コメント:「告白」を好きな人に読んでほしいです
JUGEMテーマ:小説全般
●宿屋めぐり/町田康
●講談社
1995円
評価 ☆☆☆☆☆
主の命により大権現へ大刀を奉納すべく旅をする鋤名彦名は、
巨大なわけのわからない虫のくにゅくにゅした体内に飲み込まれ、「偽」の世界にはまりこむ。
嘘つきに騙され、そして自分も人を騙しながらの嘘にまみれた壮絶な道中。
その苦行の果てに待ち受けるものは・・・。



(感想)
大好きな大好きな町田康さんの新作。
あー、面白かった

手にした瞬間から鳥肌が立つほど楽しみだった思えた本は久しぶり。
602ページの分厚さは傑作「告白」を彷彿とさせ、
この何ともいえない不気味な表紙も期待感を増します。
しかし恐ろしげなので表紙だけにとどまらず、1ページ開いて「ギャー
嫌な予感がして後ろの方からも開いてみるとさらに恐怖は襲う

主人公は徹底的にダメな人です。
人を騙し騙されて、調子にのるとやりたい放題で。
で、思い通りにいかないことには必ず誰かのせいにして言い訳をし、
自分の悪行を正当化しようとするとこなんかサイテーのクズね。
ほんとずーっとクズクズバカバカ思いながら読んでるんだけど、
でも、うまくいかないことを社会や他人のせいにしたりすることって誰にでもあるし、
そんな自分に気づいちゃうと主人公の心の葛藤も主の言葉も一つ一つが胸にしみて、
言い当てられたようなバツの悪い感じもある

ふざけた話のように思えるけど、たまにズシンとくることが書いてある。
こういうふうにとんでもない展開のおふざけの皮をかぶせて、
人の生きる道の確信的なとこをついてくるなんて町田康にしかできない技だ。
終盤は「生きるとは」「自分とは」と人生の本質とは何かを訴えかけるような
ずっしりとした重みのある、芯のしっかりした作品。

久々に寝食がおごそかになるほど読み応えのある本に出会いました



あのー、本編とは全然関係ないんだけど・・・、
作中に「布袋」という単語が出てきた時に思わず吹き出してしまいました。
あの騒動って今はどうなったんだろう。仲直りしたのかな?
あんなことがあったのに、あえて「布袋」という単語を使う町田康がたまらなく好き



●この本が好きな人におすすめなのは・・・
告白/町田康


| comments(0) | trackbacks(0) | 12:33 | category:    町田康 |
# 猫にかまけて
猫にかまけて
猫にかまけて
町田 康
猫にかまけて/町田康
講談社
1680円
評価 ☆☆☆☆☆
写真カメラと文章鉛筆2で綴る、猫猫たちとの暮らし
どうでもいいようなことで悲しんだり怒ったりしているとき、
彼女らはいつも洗練されたやりかたで、
人生にはもっと重要なことがあることを教えてくれた。
猫好きで知られる町田康が書くべくして書いた猫エッセイ。




(感想)
楽しい思い出ぴかぴかあり、猫の死を看取った悲しい思い出あせあせありと
猫好きでなくても相当に楽しめます(事実、私は犬犬派です)

もうね、デレデレじゃないですか(笑)
町田さんの意外な一面発見猫2
猫ちゃんたち、こんなに愛されて幸せだなぁニコニコ

猫の気持ちをうまく理解して、
それを人間語に訳してある部分はウマすぎわーい
猫それぞれの個性がしっかり伝わってきます。
これじゃあ猫を“1匹、2匹”とは呼べなくなるわな汗
気持ちがわかります(笑)

この本の中で町田さんは2匹の猫を看取っていますが、
その章は文章のカンジがいつもとどことなく違います。
そのへんにも確かな愛情を感じました。

町田さんと奥様(家人)が撮った猫ちゃんたちの写真カメラも満載!
すべてカラーで、みんな飾らないいいカオしてました☆


●この本が好きな人におすすめなのは・・・
あたしの一生 猫のダルシーの贈り物/ディー・レディー(訳:江國香織)
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:10 | category:    町田康 |
Categories
Archives
Profile
Comments
Trackback
Mobile
qrcode
にほんブログ村
にほんブログ村 本ブログへ にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
Search this site
Sponsored Links