# 最後の願い
2008.04.10 Thursday
最後の願い
光原 百合
JUGEMテーマ:読書
●最後の願い/光原百合
●光文社
●1890円
●評価 ☆☆☆
新しく劇団を作ろうとしている男がいた。
度会恭平。劇団の名は、劇団φ。
度会は納得するメンバーを集めるため、日々人材を探し回っているが、
その過程で次々と謎に遭遇することになり・・・。
日常に潜む謎の奥にある人間ドラマを、優しい眼で描く青春ミステリー。
(感想)
新しい劇団が出来上がっていくまでの物語です。
中心メンバーとなるのは演技力はもちろんのこと頭もキレる2人の男。
彼らは一緒にやって行きたいと思う人たちを訪ねていく。
しかし、その人たちはそれぞれに見過ごしてしまいそうな小さな、
でも「納得のできない不思議」を抱えていて、
2人がその謎を解決しつつ、仲間を増やしていくミステリーです。
全体を通して、面白さの元となる謎そのものには
ハッとするほどの意外性やわかった時の爽快感はあまりない。
でも、ミステリーを読んだ後に残る、
強烈な悪意による不快感は感じず、
むしろやわらかいまなざしを受けたような心地に落ちる。
こんな、心に沁み入るものがあるから光原百合さんって好き
後半に進むにつれて全編がつながっていくのがわかるのだけど、
それと並行して一人づつ劇団のメンバーが集まり、
すべてがスルスルと着実に完成していく過程を味わうのは
気持ちの良いものでした。
うーん、でも私が光原百合さんに求めてるものって
眩いほどの輝きと癒しのような気がします。
「時計を忘れて森へ行こう」のインパクトがどれほど強かったか・・・。
いまだにあれを読んだ時のトキメキが忘れられないのです