|
JUGEMテーマ:小説全般
● 血も涙もある / 山田詠美(新潮社)
● 個人的な評価 ☆☆☆☆
有名料理研究家の妻と、その10歳年下のイラストレーターで「魅力的」な夫。
ある日、妻の助手である一人の女が、夫の恋人となる。
はじめは、微妙なバランスを保っていた3人の関係は、
ユーモラスに残酷に、その味わいを変えていく。
「妻」「夫」「恋人」と異なる視点から語られる、意外なその後味とは――
(感想)
妻・夫・夫の恋人の3人の視点で語られる長編小説。
はじめは3人ともに「この三角関係をいちばんわかってるのは自分」という自信を感じるのですが、
それがだんだんと崩れ始め、
最終的にはそれぞれの意外な部分が見えてきます。
弱くて、凹んで、その人間らしい対比が面白かったです。
印象深いフレーズもたくさん!
この人を愛さずにはいられないと思った瞬間の
「ラブソングってこういう気持ちのためにあるんだと理解した」というフレーズは最高!
恋のはじまりの高まる気持ちがパーッとあふれだす感じ、
なんて素敵な表現なんだろうと鳥肌ものでした。
まったく予想しなかった展開に落ち着いちゃったのがなんともユーモラスで毒もあり。
まるで3人が憑依したかのような文章の書き分けもさすが山田ナントカ先生です 笑。