隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 珠玉の短編
評価:
山田 詠美
講談社
¥ 1,620
(2016-06-22)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 珠玉の短編 / 山田詠美(講談社)

 

 評価 ☆☆☆

 

奈美はある夫婦と親しくしているが、

妻の虹子よりも、夫の孝一の方に深い友情を感じている。

虹子にまつわる問題を二人で解決することで、更に親密度は増していく。

しかし、孝一の出張中の雨の日を境に、

三人の関係に歪みが生じ始めて…。(「生鮮てるてる坊主」)
恋愛、友情、自尊心――

人間の欲望の行き着く先は、グロテスクでブラックで愛おしい。

詠美ワールド全開の11編。

 

 

(感想)

 

小説というよりは、山田詠美さんが常日頃から抱いている妄想や考え方を

小説という形で表現したものなのではないでしょうか。

ストーリーにはあまりこだわらずに、

雰囲気や世界観を味わうくらいの気持ちで読むのがいいかのしれません。

まさに山田さんの頭の中をそっくりそのまま開いて見せたような感じがします。

(・・・まぁ、この世界観が私の好みかどうかはまた別の話w)

 

グロくて、ブラックで、エロスもありの中、

11編の中でのお気にいりは「生鮮てるてる坊主」。

私にはこれがいちばんわかりやすかったです。

 

それにしてもやはりこの人の文章のうまさは圧巻。

作家なんだからうまくて当然といわれればそうなんですが、

他の作家さんと比べても言葉の選び方にひときわ輝くセンスを感じます。

 

| comments(0) | trackbacks(0) | 08:56 | category:    山田詠美 |
# ジェントルマン
JUGEMテーマ:小説全般

 ジェントルマン / 山田詠美(講談社)

 評価  ☆☆☆☆


眉目秀麗、文武両道にして完璧な優しさを持つ青年、漱太郎(そうたろう)。
しかしある嵐の日、同級生の夢生(ゆめお)はその悪魔のような本性を垣間見る――。
天性のエゴイストの善悪も弁(わきま)えぬ振る舞いに魅入られた夢生は、
漱太郎の罪を知るただ一人の存在として、彼を愛し守り抜くと誓う。




(感想)

漱太郎の悪魔性を知った日から彼の虜になった夢生。
こんな男にすべてを捧げ、愛する心理は理解できないけれど、
夢生の心理描写は美しい。
これに関してはさすが山田詠美だと唸らずにはいられません。
アブノーマルな世界観の作品なのに、読みやすいというのも不思議。

背徳的な恋だとしても、不道徳だとしても、
決して実らない一方通行の思いだとしても、
見返りを求めることすら期待せず、ただ今の状況を幸せに感じているのであれば、
おそらくそれは幸せな恋なのでしょう。
夢生と漱太郎はまったくタイプの違う人間に見えるかもしれないけど、
内に宿る狂気という点では似たものを感じます。
二人はお互いにそれを嗅ぎとったから、こんな関係になったのだろうな。

貴恵子さんが登場してからの展開がなんとなく陳腐にも思えましたが、
作品全体に漂う、狂気をはらんだ美しさには引き込まれました。



 
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:05 | category:    山田詠美 |
# 賢者の愛
評価:
山田 詠美
中央公論新社
¥ 1,620
(2015-01-09)

JUGEMテーマ:小説全般

 賢者の愛 / 山田詠美(中央公論新社)

 評価 ☆☆☆


初恋の人を奪った親友の息子に、『痴人の愛』から「直巳」と名付けた真由子。
22歳年下の直巳を手塩に掛けて“調教”し―。
憧れ、嫉妬、そして復讐。
谷崎潤一郎賞作家がおくる、絢爛豪華な愛憎劇がここに!




(感想)

谷崎潤一郎の「痴人の愛」へのオマージュとも言える作品。

「痴人の愛」はナオミという美しい養女を自分好みの女に調教していく中年男の話でしたが、
「賢者の愛」は愛した男性を奪った親友への復讐に生きる女性・真由子の物語です。
親友の息子に「痴人の愛」の主人公と同じ直巳(ナオミ)という名前を付け、
女としての魅力をふり撒いて幼いころから直巳の心を手玉に取り、
調教することによってじわじわと親友への復讐を果たしていく20数年を描きます。

初恋の人を取られただけでここまでできる〜?って思いながら読んでだけど、
途中から実はそれだけじゃなかったことが発覚。
最後が2時間ドラマのラストみたいでちょっと残念でしたが、
とにかく登場人物全員がモンスターな人達ばかり(^_^;)
だからこそ、そのイッちゃってる感が“読ませる”作品ではありますw

もしかしたらなんだけど、真由子目線で描く一方で、
百合サイドの目線で描く章があったらもっとエグくてドロドロになったかも。
どうせなら徹底的にエグく突きつけても良かったような気がしますw

一人の男を幼いころから「調教」して、いい男に仕立てる・・・かぁ。
真由子の直巳の育て方はなるほどな〜と思うことばかり。女の私でも目からウロコ。
たとえば「本物の大人になんてならなくていい。大人の振る舞いと技術だけを身につけて、
本当にものにしたい人には、芯に残しておいた子供の部分を見せつけなさい」とか
「女の前でおふくろの味を熱烈に語るような男になっちゃだめ。でも、心の中で思うのは全然構わない。
 料理は作ったその人の前で褒めればいい」とか・・・。
こういうのって、“本当のいい男を知っている女”じゃないと言えないセリフ。
私にはぜったーい言えない大人の世界。
大人の女のはしくれとして、私も勉強させてもらいましたw

うう〜〜ん? だけどこれって山田詠美? 山田詠美がこれ書く必要ある? 
私が彼女に求めてるものはこういうのじゃない・・・そんな違和感が残りました。

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:00 | category:    山田詠美 |
# 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち
JUGEMテーマ:小説全般

 明日死ぬかもしれない自分、そしてあなたたち  / 山田詠美(幻冬舎)

 評価 ☆☆☆☆



ひとつの家族となるべく、東京郊外の一軒家に移り住んだ二組の親子。
澄生と真澄の兄妹に創太が弟として加わり、さらにその後、千絵が生まれる。
それは、幸せな人生作りの、完璧な再出発かと思われた。
しかし、落雷とともに訪れた“ある死”をきっかけに、澄川家の姿は一変する・・・。


私も若いうちに兄弟を失った人間です。
だから誰かが死ぬと、必ず誰かの新しい人生が始まる・・・これは身にしみて知っている。
ある日、弟の話をしているときに母が
「私はおまえ(私)の気持ちもよくわかっている」と言ったことに対して猛烈な反発を覚えたことがあった。
澄生が亡くなった・・・この1つの出来事に対して、
この作品に登場する家族それぞれが違う思いを抱えているように
母には私が考えている本当のことなんか絶対に理解できるはずがない。
「母」というポジションと「姉」というポジションはまったく違うのだから。
同じ出来事を経験したとはいえ、とらえ方は人それぞれ。
それでいいのだ。それに何の問題があるというのだろう。
理解し、共有し合う必要もない。自分自身で消化していくしかない。
この作品はあの時の私の反発を思い出させる作品でもありました。

「かけがえのない人を失った事実」よりも、
「一生、その悲しみを抱えてメソメソ生きること」の方が絶対につらい。
こんな生き方は死んだ人にも申し訳が立たない。
家族が前に進まないと澄生は成仏しないよ。
だから最後のお誕生会の場面は胸にしみました。
この家族はきっとここから少しずつ変化してくれるだろう。
これを境にきっとみんな幸せになると思います。

澄生のどんな部分が特別な子だったのか、
それがちゃんと描かれていなくて曖昧な感じがまたうまいなぁ。
なのにこの存在感・・・ほとんど出てこないのに
間違いなくこの家族を支配するのは澄生。
だからこの作品の主人公も澄生になっちゃう。
ウチの弟もそう。早くに死んじゃった人ってこんな風になっちゃうんだよ。

人を賢くするのって、絶対に人生経験の数なんかじゃないと思う。
それは、他人ごとをいかに自分ごととして置き替えられるかどうかの能力に掛かっているのではないか
この一文にグッと来た。忘れられないセリフになりそうです。


 
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:01 | category:    山田詠美 |
# 学問
評価:
山田詠美
新潮社
¥ 1,575
(2009-06-30)
コメント:学校の勉強よりずっと大事な「学問」

JUGEMテーマ:小説全般
● 学問 / 山田詠美
● 新潮社
● 1575円
● 評価 ☆☆☆☆☆
東京から引っ越してきた仁美、貧しいけれどリーダー格で人気者の心太、
食いしん坊でお坊ちゃんの無量、いつでもどこでも眠ってしまう千穂
4人は、友情とも恋愛ともつかない、特別な絆で結ばれていた。
一歩一歩、大人の世界に近づいていく彼らの毎日を彩る、生と性の輝き。
海辺の街を舞台に、4人が過ごしたかけがえのない時間を官能的な言葉で紡ぎ出す傑作長篇。



(感想)

この作品でいう「学問」とは学校で教えてくれる勉強ではなくて、「男女の性愛」。
誰から教えてもらったわけではなく自らで性の衝撃と喜びに目覚め、
少しずつ大人に近づいていく4人の子供たちを描きます。

単純にエロスとは言えない、瑞々しさがありました。
大人に興味本位で教えてもらった知識ではなく、心や体の感覚と快感から少しずつ学んでいった「性」。
友情と恋が混じりあって、どこからがどの感情なのかわからない。
それがなんなのかもわからないのに、止められない性の欲望。
「ツ・イ・ラ・ク」を読んだ時のドキドキに似てるなぁ。
全然いやらしくなく、性の素晴らしさを描いてる。
逆に、美しく繊細にすら感じる・・・。
子供がそれを早いうちに理解するって勉強よりずーっと大切なコトじゃないですか

4人と、彼らに大きくかかわってくる同級生の素子ちゃんとの合わせて5人。
彼らの青春時代を描きながらお話は進行していくけど、
各章のはじめに彼らがこの先の未来にどういう人生を送り、どう死んでいくかが簡潔にしるされています。
「性」が あるから「生」がうまれる。「生」はやがて「死」となる。
それをすべてひとつの流れとしてとらえると、とてつもなく大きな生命の神秘を感じます。

これは本当に傑作
体からいろんなものがあふれてきそう。
山田詠美さん、読めば読むほどに好きになっていくなぁ〜
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:35 | category:    山田詠美 |
# 無銭優雅
無銭優雅
無銭優雅
山田 詠美
無銭優雅/山田詠美
幻冬舎
1470円
評価 ☆☆☆☆☆
人生の後半に始めたオトコイ(大人の恋!?)に勤しむ、42歳の慈雨と栄。
世の中ではおじさんおばさんと呼ばれる年頃ではあるが、
2人はそれを受け止めることができない。
恋する気持ちはいまだに少年少女。
大人になりそこねた男と女の三文小説のような恋物語。




(感想)
動物のマネをしながらお互いの体を摺り寄せたり、
愛の言葉をはっきりと口にすることは年齢とともに照れくさくなるもの。
この本を読むまで、いい大人(しかもこの本の主人公は42歳)が浮世を見捨て、
十代のような甘い恋愛をするのは子供っぽくて恥ずかしいと思っていた。
けど、「恋をする」という気持ちに年齢なんて関係ないし、
まして「自分の年齢に合った恋愛」なんてことも意識する必要はない。
本能のままに恋をすると、こんなにシンプルになるぴかぴか
その美しさに魅せられましたラッキー

できれば経済的にも年齢的にも「無銭」よりは「有銭」の方がありがたい。
でもお金に満たされることは本当の意味での「優雅」じゃない
まるでお互いの存在が空気のように、
二人で穏やかになんの変哲もない日々を過ごせることの幸せ。これが「優雅」。
自分が40代になった時、この2人みたいな気持ちでいられるのが理想だなぁおはな

ここ数年の山田詠美さんは
何かを悟ったかのように深く穏やかな世界を見せてくれる。
今の時代って恋愛だけでなく、
生き方そのものにおいてもこういう在り方が見直されてきているし、
著者の世界観も時代にあったカタチに変化しているようです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:38 | category:    山田詠美 |
# 風味絶佳
風味絶佳
風味絶佳
山田 詠美
風味絶佳/山田詠美
文藝春秋
1290円
評価 ☆☆☆☆
「甘くとろけるもんは女の子だけじゃないんだから」。
孫にグランマと呼ぶことを強要する祖母・不二子は
真っ赤なカマロの助手席にはボーイフレンドを、
バッグには森永ミルクキャラメルを携え、
70歳の今も現役ぶりを発揮する――。
お互いにしかわからない本能の愛の形を描いた珠玉の6篇を収録。



(感想)
私はどちらかというと日本的な趣のある小説が好きなので、
黒人やカタカナの名前の人たちが多く出てくる山田さんの作品は
あまり読んだことがありませんでした。

この本読書はタイトルにひかれて読んだんだけど、
漢字四文字の堅苦しいタイトル、絶妙です!

愛は甘いだけじゃなく、苦い思いをすることもあれば
あせあせの味を味わうことにもなる。
恋愛のいろんな面を表すサイコーにうまいタイトル。

肉体を使って、その仕事にプライドを持って働く男達と、
彼らを支える女性達・・・。
これまで読んだことのある山田さんの作品に比べると、
随分とマイルドな味付けです。

まさか山田さんの作品で“露草”に出会えるとは思っていなかった!
少しだけ日本も感じる、20周年にふさわしい新しい山田詠美でしたラッキー
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:45 | category:    山田詠美 |
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