隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# ばにらさま / 山本文緒

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● ばにらさま / 山本文緒(文藝春秋)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい・・・。
日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇。

 

 

 

(感想)

 

短編集というスタイルが好きではなくて、

どんなに好きな作家でも短編集なら

もう読まなくてもいいかなくらい思っているのですが、

今は亡き山本文緒さんとなるとそれには当てはまりません。

(だけど闘病記は読みません。読めません。)

 

20代の頃、まるでむさぼるかのように山本文緒作品だけを読み続けた頃の気持ちが

よみがえってくるかのような作品群でした。

いい意味で裏切られて、驚かされて、この刺激こそが山本文緒作品の真骨頂。

言いようのないヒリヒリする感じがたまりません。

キラキラ感は一切なく、

どこのでもいそうな人の奥深くにある正直な闇の部分を描いている。

こういうやりきれない気持ち、共感できるからこそ引き付けられるのかもしれません。

特に「私は大丈夫」「菓子宛」の展開にはやられたな〜。

改めて本当に大好きな作家でした。

 

それはそうと、この表紙の装丁はなんなんだろう。

ここまで酷い装丁もなかなかない。

| comments(0) | - | 11:44 | category:    山本文緒 |
# 【再読】自転しながら公転する / 山本文緒
評価:
価格: ¥ 1,980
ショップ: 楽天ブックス

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 ● 自転しながら公転する / 山本文緒(新潮社)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

東京で働いていた32歳の都は親の看病のために実家に戻り、

近所のモールで働き始めるが…。

恋愛、家族の世話、

そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!!

誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。

 

 

 

(感想)

 

今年10月、大好きな作家の山本文緒さんがお亡くなりになったという

悲しいニュースが飛び込んできました。

今回は追悼の意味も込めて、昨年出た大好きな作品を再読してみました。

 

自分の人生はあくまでも自分のもの。

結局、自分を幸せにできるのは自分自身でしかないんですね。

この人といたいけど将来が不安だと思うなら、

不安じゃない人生を送れるように

その人に頼るのではなく自分自身が頑張ればいい。

傷ついたとき、疲れたとき、そばにいてほしい人。

嬉しいことがあったらまっさきに知らせたい人。

そういう人のそばにいることが人生で何よりも大事なことなんじゃないかなぁ。

 

前回はそれほど刺さらなかったのに、

今回は都の母親の人生や考え方も沁みました。

主人公はあくまで都ではあるけれど、都の母親・そしてもう一人・・・

3人の女性の人生を描いた物語であると言えます。

もう少し年を取ったら、もっと母親目線で読めるのかもしれない。

またいつか読み返したい、

そのたびに違う感想が生まれてきそうな作品です。

 

 

 

| comments(0) | - | 13:17 | category:    山本文緒 |
# 【再読】恋愛中毒 / 山本文緒
評価:
価格: ¥ 691
ショップ: 楽天ブックス

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 ● 恋愛中毒 / 山本文緒(角川文庫)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

もう神様にお願いするのはやめよう。

―どうか、どうか、私。これから先の人生、他人を愛しすぎないように。

他人を愛するぐらいなら、自分自身を愛するように。

哀しい祈りを貫きとおそうとする水無月。彼女の堅く閉ざされた心に、小説家創路は強引に踏み込んできた。

人を愛することがなければこれほど苦しむ事もなかったのに。

世界の一部にすぎないはずの恋が私のすべてをしばりつけるのはどうしてなんだろう。

吉川英治文学新人賞を受賞した恋愛小説の最高傑作。

 

 

 

(感想)

 

単純に恋愛小説とは言えない、ホラー的な薄気味悪さもある作品です。

特にエンディングの怖さと言ったら・・・後味悪いどころの騒ぎじゃない 笑。

水無月(馬鹿な女)と作家のおじさん(ずるい男)に呆れて笑っちゃいました。

 

水無月が「恋愛中毒」かといわれると、このタイトル違うよね?

中毒というよりは、依存?執着?

人との距離感をうまく取れない、心が成熟してない人のお話。

だから無言電話とかトイレ閉じ込めとか、やることのスケールも小さいんだと思います。

| comments(0) | - | 15:03 | category:    山本文緒 |
# 【再読】群青の夜の羽毛布 / 山本文緒

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 ● 群青の夜の羽毛布 / 山本文緒(幻冬舎・角川・・・文庫版はいろんな出版社から出てるようです)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

丘の上の家でひっそり暮らす不思議な女性・さとるに惹かれていく大学生の鉄男。

しかし次第に、母親に怯え、他人とうまくつきあえない不安定な彼女の姿に疑問を募らせていく。

母娘三人の憎悪が噴出するときに見えてくる、戦慄の情景とは―。

恋愛の先にある家族の濃い闇を描いて、読者の熱狂的支持を受け続ける傑作長編小説。

 

 

 

(感想)

 

こちらも20年以上ぶりの再読。

「駅から遠い、不便なところに住んでる家族の話」っていうことくらいしか記憶になく、

こんなにも闇の深い話だったか〜と感じています。

いやー、読んでてしんどい。

山本文緒さんは好きだけど、何度も読みたい作品ではないです。

 

家族の中で凄まじいほどの憎悪を抱いているのに、

誰も逃げ出すことなく、家族という形を続けている家族の話。

恋愛も描かれてはいるけれど、これはあくまでの家族の物語でしょう。

母親の存在が圧倒的だったなー。怖い人。

「家庭の雰囲気」みたいなものって母親で決まる・・・この家族を見て強く感じました。

父親は母親のどこに惹かれて結婚したんだろう?

母親のこれまでの人生も描いてあったら、ちょっと見方も変わったのかもしれません。

 

ところどころにカウンセラーと患者らしき人物の会話が挟まれる構成がうまいです。

これがあることでサスペンス的な雰囲気が出てきて、ざわざわっとします。

この患者の正体はかなり読み進めるまで誰かわからないのですが、

わかってしまうと最初からこの二人の会話の部分だけを読み直したくなりました。

| comments(0) | - | 10:29 | category:    山本文緒 |
# 【再読】眠れるラプンツェル / 山本文緒 

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● 眠れるラプンツェル/山本文緒(角川文庫)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

昨日も暇だった。明日もたぶん暇だろう。

結婚6年目、専業主婦。子どもはいない。

多忙な夫は今夜も家に帰らない。

この緩やかな生活に、猫と隣家の息子が飛び込んできてから、何かが崩れ始めた。

封印したはずの衝動。少年との、二人だけの秘密。嘘は次第に周囲を巻き込んで―。

 

 

 

(感想)

 

再読。

今、山本文緒さんの古い作品を集中的に読み直しています。

記憶が薄い作品、はたまた読んだかどうだかわからない作品もある中、

「眠れるラプンツェル」は切なさがはっきりと記憶に残っていた作品です。

 

こんなことはありえない、おとぎ話です。

これにキュンとしてる自分に「おばさん、気持ちわりーな」とも感じます 笑。

だけど、これを単純に「暇な主婦が若い男の子にのぼせ上がる話」とは片付けたくない自分もいるんですよね。

ちょっとだけ日常から逃避して、非現実的なワクワクやドキドキを楽しみたい・・・

こういう思いは誰にだってあるはずです。

 

ルフィオのひたむきさに打たれて、不覚にも泣きました。

きっと読み返したくなる大好きな作品。

この本は絶対に手放さずに、ずっと手元に置いておこう。

 

| comments(0) | - | 11:50 | category:    山本文緒 |
# 【再読?】チェリーブラッサム / 山本文緒

JUGEMテーマ:小説全般

 

 チェリーブラッサム / 山本文緒(角川文庫)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

中学2年生になったばかりの実乃は、お父さんと姉の花乃との3人ぐらし。

さいきん、なぜか素直になれなくて、ためいきばかり。

そんなある日、とつぜんお父さんが「会社をやめて、家族で『便利屋』をやるぞ」と言いだした。

そこに、幼なじみのハズムから飼い犬のラブリーをさがしてほしいと依頼が舞いこむ。

 

 

 

(感想)

 

昔、読んだ記憶があるようなないような・・・?

 

山本文緒さんが初期はコバルト文庫などで少女向けの小説を書いてたのは有名な話で、

この作品ももともとはコバルトで「ラブリーをつかまえろ」というタイトルで刊行されたものです。

それを改題・加筆訂正し、復刻したものがこの「チェリーブラッサム」。

そういう事情もありますので、大人の方の中には読み慣れない違和感を感じる方も多いかもしれません。

 

たしかにストーリーもミステリー要素も軽いです。

当然のことながら作家としての山本文緒さんの持ち味である「鋭さ」や「毒」はまったく感じず、

山本さんファンの大人は物足りなさを感じるかもしれません。

やはりこれは対象年齢である中学生くらいが読むのにちょうどいいのかも。

ただし、「ラブリーをつかまえろ」として刊行されたのが1991年とずいぶん前の作品なので、

今の若い人は読んでもピンとこないかもしれませんね 笑。

 

・・・と書いてて、「じゃあ、誰が読む作品なの?」と自分自身にツッコみたくなりました。

うーん、それすらもわかりません。

が、とりあえず続編の「ココナッツ」というのもあるので、私はそっちも一応読んでみようかな。

| comments(0) | - | 11:26 | category:    山本文緒 |
# 【再読?】あなたには帰る家がある / 山本文緒

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● あなたには帰る家がある / 山本文緒(集英社文庫)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆

 

夫は花になど興味がないが、秀明は「紫陽花の花が咲き始めましたね」と言ってくれた。

平凡な家庭の主婦・綾子が恋をしたのは、そんな理由からだったかもしれない。

そして秀明が恋に落ちたのも、仕事を持つ妻にはない、

夕餉の支度をする幸福そうな綾子の姿を見たからなのかもしれない。

妻の恋、夫の恋をきっかけに浮き彫りにされるそれぞれの家庭の事情―。

「結婚」の意味を問う、恋愛長編小説。

 

 

 

(感想)

 

昔、読んでないはずはないんだけど、最後まで読んでもまったく記憶にない。

「眠れるラプンツェル」とリンクしているし、そこに気づかないはずもないんですけどねー。

結局読んでるのかどうか解決しないまま最後まで読みました。

 

20年以上前に書かれた作品なので、

女性の働き方・社会への関わり方が今と全然違うので、

この時代を知らない若い人世代の読者は違和感を感じるかもしれません。

 

「もう一度ときめきたい!」「仕事でいい結果を残したい!」という気持ちは誰もが心のどこかに持っているものです。

そういう気持ちは、いくつになっても持っていないと内面も外見も錆びついちゃうから必要です。

でも、度が過ぎるほど激しく求めちゃうと、今ある幸せを失ってしまう場合もある。

この作品の主人公である二組の夫婦はそれにこだわらずに平穏に暮らしていたんだけど、

次第に求める気持ちが強くなっていきます。

そしてついには度が過ぎちゃって、踏み外してしまいます。

 

「幸せ」ってお金や環境じゃないんだよね。

相手を思いやって行動し、そこから得られるものが幸せにつながるんだと思う。

この4人は相手より先に自分がいる。それじゃあ自分よがりになって当然だよね。

 

不倫したり仕事で出会ったりが、ものすごーく少ない登場人物の中で行われるので

ちょっと都合よすぎかなと思います。

山本さんの他の作品たちに比べるといまいちハマれませんでした。

| comments(0) | - | 11:16 | category:    山本文緒 |
# 【再読】落花流水 / 山本文緒

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● 落花流水 / 山本文緒

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

早く大人になりたい。

一人ぼっちでも平気な大人になって、自由を手に入れる。

そして新しい家族をつくる。勝手な大人に翻弄されたりせずに。

若い母を姉と思って育った手毬の、60年にわたる家族と愛を描く。

 

 

 

(感想)

 

再読です。

 

「手毬」という女性が主人公で、彼女の1967〜2017年の人生を10年単位で描きます。

語り手が各章で変わるスタイルなので、いろんな角度からの手毬を見られるのが面白いです。

 

手毬の人生は常に誰かに流される人生でした。

振り回され、幸せにはなれず、また振り回され、また幸せになれず・・・を繰り返す。

ふわふわと漂うような人生だったけど、

こういう生き方こそが彼女にとっての「安定」なのかもしれない。

彼女には猛烈に手に入れたいものなどない、狂おしいほど愛したものもない。

彼女の人生にはいろんな人が現れたけど、

本当の意味で深くしっかりと彼女を大事にしてくれる人が一生現れなかったのは、

彼女の中に熱いものが何一つなかったからだと思います。

 

小説としてはすごく面白かったです。

でも、共感できる登場人物も、好きな登場人物も一人もいなかったなぁ。

| comments(0) | - | 23:23 | category:    山本文緒 |
# 自転しながら公転する / 山本文緒
評価:
価格: ¥ 1,980
ショップ: 楽天ブックス

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● 自転しながら公転する / 山本文緒(新潮社)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆

 

東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。

恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!!

誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。

 

 

 

(感想)

 

2020年9月、山本文緒さんの7年ぶりの小説が出ると聞き、すぐに予約。

発売日にゲットしたいほど読みたい本なんてそうそうないけど、これはもう絶対買いでしょ!

久しぶりの山本さんはやっぱり相変わらず素晴らしくて、引き込まれて、

今、過去に読んだ作品を買い集めて再読しまくっています。

これを機にちょっと失われていた私の読書熱が戻ってきました!

 

「自転しながら公転する」は恋・仕事・家族・・・30代前半の独身女性にのしかかってくるリアルを描いた作品。

何を優先し、何をあきらめる??

いつまでも夢を理想なんて語ってられないけど、まだあきらめきれない。

夢も迷いもたくさんあるこの世代の独身女性に読んでほしい作品です。

 

幸せにならなきゃって思いすぎると、少しの不幸が許せなくなる。

不幸を味わうからこそ、幸せの価値がより深くわかるのかもしれないな。

どん底まで落ち込んで浮上してくる感じが好きでした!

主人公の都がこの選択をしてくれてほんとうによかったです!

| comments(0) | - | 15:54 | category:    山本文緒 |
# 【再読】ブルーもしくはブルー / 山本文緒

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● ブルーもしくはブルー / 山本文緒(角川文庫)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

広告代理店勤務のスマートな男と結婚し、東京で暮らす佐々木蒼子。

六回目の結婚記念日は年下の恋人と旅行中…そんな蒼子が自分のそっくり「蒼子B」と出くわした。

彼女は過去の記憶をすっかり共有し、昔の恋人河見と結婚して、真面目な主婦生活を送っていた。

全く性格の違う蒼子Aと蒼子B。

ある日、二人は入れ替わることを決意した。

誰もが夢見る「もうひとつの人生」の苦悩と歓びを描いた小説。

 

 

 

(感想)

 

「あの時、別の道を選んでいれば違う人生があったのかもしれない」・・・

誰もが一度はそんなことを考えたことがあるはず。

この作品はその「別の道を選んだ」自分と偶然にも出会ってしまうというお話です。

非現実的な設定にはじめはファンタジーのようなものかと思って読み進めましたが、

次第にトッペルゲンガーの存在がホラーに思え、やがては人間の怖さを描く心理サスペンスにも思え・・・。

こういう角度からの恐怖を描くのは、山本さんにしては珍しい。

スリリングな展開にどっぷりはまって一気読み。

昔、一度読んでいるのですが20年以上も前のことなのでほとんど覚えておらず、

初読みのように刺激たっぷり楽しめました。

 

蒼子Aの言葉のなかに「選び間違えた人生の、正しい方向はどういうものであったか見てみたった」というのがありましたが、

どんな人生であれそれは「正しい方向」とは限らないんだよなー。

ただ「あったかもしれない人生」でしかないし、隣の芝生は青く見えるってやつなだけ。

けど、2人の蒼子はその「あったかもしれない人生」を体験できたことで、

今の生活・一度きりの自分の人生をどう生きるべきかを考える。

自分のおかれている場所で欲張らないで生きる二人の姿が清々しいラストでした。

| comments(0) | - | 15:22 | category:    山本文緒 |
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