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JUGEMテーマ:小説全般
● ばにらさま / 山本文緒(文藝春秋)
● 個人的な評価 ☆☆☆☆☆
冴えない僕の初めての恋人は、バニラアイスみたいに白くて冷たい・・・。
日常の風景が一転! 思わず二度読み!
痛くて、切なくて、引きずり込まれる……。
6つの物語が照らしだす光と闇。
(感想)
短編集というスタイルが好きではなくて、
どんなに好きな作家でも短編集なら
もう読まなくてもいいかなくらい思っているのですが、
今は亡き山本文緒さんとなるとそれには当てはまりません。
(だけど闘病記は読みません。読めません。)
20代の頃、まるでむさぼるかのように山本文緒作品だけを読み続けた頃の気持ちが
よみがえってくるかのような作品群でした。
いい意味で裏切られて、驚かされて、この刺激こそが山本文緒作品の真骨頂。
言いようのないヒリヒリする感じがたまりません。
キラキラ感は一切なく、
どこのでもいそうな人の奥深くにある正直な闇の部分を描いている。
こういうやりきれない気持ち、共感できるからこそ引き付けられるのかもしれません。
特に「私は大丈夫」「菓子宛」の展開にはやられたな〜。
改めて本当に大好きな作家でした。
それはそうと、この表紙の装丁はなんなんだろう。
ここまで酷い装丁もなかなかない。