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淳子のてっぺん / 唯川恵(幻冬舎)
個人的な評価 ☆☆☆☆
2016年10月に逝去した登山家・田部井淳子。
男女差別が色濃い時代、
女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した彼女は、
どのように生き、どのように山に魅入られたのか―その物語を完全小説化。
山を愛し、家族を思い、人生を慈しんだ淳子が、
その“てっぺん”に至るまでの、辛く苦しくも、喜びと輝きに満ちた日々。
すべての女性の背中を優しく押してくれる、感動長篇。
(感想)
実在した登山家・田部井淳子さんの物語を小説化したものです。
唯川さんといえば恋愛小説が得意な印象なので、
今回はとても意外なジャンルを手掛けられたという気がします。
山の専門用語など私には難しい部分もあったのですが、
もともと唯川さんの文章は簡潔で読みやすいのが特徴でもあるので、
唯川さんの文章だから助けられた・読みこなせたとも感じています。
そして嫉妬や愛する人を思う切なさなど、
女性らしい感情がしっかり描かれているのも唯川さんだからこそと言えましょう。
女だてらに偉業を成し遂げた淳子さんはもちろん素晴らしいです。
でも、私はそれよりも旦那さんのサポート力・理解力に脱帽!
こんな旦那さん、いるんですか!?
どこまでがフィクションなんですか!?
旦那さんが妻の夢に協力する姿勢にただただ感動しました。
タイトルの「淳子のてっぺん」ですが、この「てっぺん」というのは
淳子さんが制覇したエベレストやアンナプルナなどの世界的に有名な山々のことではありません。
ここに淳子さんが人生で得たものの素晴らしさが詰まっています。