隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 人間
評価:
又吉 直樹
毎日新聞出版
¥ 1,540
(2019-10-10)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 人間 / 又吉直樹(毎日新聞出版)

 

 個人的な評価 ☆☆

 

僕達は人間をやるのが下手だ。
38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。
何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?
初の長編小説。

 

 

 

 

(感想)

 

この暗さ・めんどくささがこの人の魅力なんだろうけど・・・

私には読むのがしんどすぎました。長編だからなおさら。

てか、「人間」というタイトルも重すぎるし、大きすぎる。

太宰治を目指してるのはわかった。

この人が本当に書きたいものはこういうものなのだということも理解した。

けど、偉大すぎる人と比べるのはかわいそうだけど、

太宰の作品ほどの切実さや重みはないから響かないんだよなぁ。

そもそも今の時代の若者を主人公にしてそれを表現するのは難しいんです。

 

前半は小難しく、メールの件なんかほんと長い!

終盤は家族の話になり、前半よりは軽めの雰囲気になるのだけど、

その急激な変化はなんなんだろう。

それまでとうまくつながらなく、まったく違う話を読んでいるような気にすらなりました。

 

たぶん今、この人が日本で一番有名な作家なんだと思う。

だって本を読まない人でも知ってる人だから。

でも、そういう人たちが「有名な人だから読んでみようかな」と軽い気持ちで読める作風ではない。

せっかくの「有名タレントが書いた小説」なのに、

この人きっかけで本が好きになる人は増えなさそうなのが残念。

| comments(0) | - | 16:29 | category:    又吉直樹 |
# 劇場
評価:
又吉 直樹
新潮社
¥ 1,404
(2017-05-11)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 劇場 / 又吉直樹(新潮社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆


演劇を通して世界に立ち向かう永田と、その恋人の沙希。
夢を抱いてやってきた東京で、ふたりは出会った――。
夢と現実のはざまでもがきながら、

かけがえのない大切な誰かを想う、切なくも胸にせまる恋愛小説。

 

 

(感想)

 

前作同様、世間も私もどうしても

「あの又吉が書いた作品」という色眼鏡で見てしまいます。

それを申し訳なく思いつつも止められない。

もともとが有名人でよく知ってる人なだけに公正な評価の難しい作家です。

 

前作でも感じたことですが、世界観にやはり「又吉だなー」と感じます。

前作はお笑いの世界を描き、今回は劇団員の話なのですが、

漂うめんどくささ・理屈っぽさ・認められないもどかしさ・孤独感・・・

これらはまさに又吉ワールド。

自分を貫くためには何かを犠牲にしなきゃいけないという展開になっていくのも、

どちらの作品にも共通していますね。

 

でも視点の面白さはさすが芸人!

「ネタか?」というエピソードがいくつか散りばめられていて笑えました。

| comments(0) | trackbacks(0) | 13:25 | category:    又吉直樹 |
# 火花
評価:
又吉 直樹
文藝春秋
¥ 1,296
(2015-03-11)

JUGEMテーマ:小説全般

火花 / 又吉直樹(文藝春秋)

評価 ☆☆☆☆


売れない芸人徳永は、師として仰ぐべき先輩・神谷に出会った。
そのお笑い哲学に心酔しつつも別の道を歩む徳永だが、二人の運命は。
笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。



(感想)

お笑い芸人が書いた小説ということで話題になっている本。
巷では“もしかしたら芥川賞をとるのではないか”などという声もありますが、
これが“直木賞”ではなく、“芥川賞”なのがミソです。
つまり大衆向けの文芸作品という感じではなく、あくまで純文学にカテゴライズされるような雰囲気を持っています。
「一般に名の知れたタレントだから」という理由で普段小説を読まない人が手に取ったとしたら
読むのに少々手こずる類の作品かもしれません。
特に前半は文章が堅苦しので、なかなか読者の気分もノッて来ないけど、
物語が進むにつれ堅苦しさもなくなるので、とにかく中盤までこらえてください。

期待していた程度の水準には達していたし、さすが本職は芸人さん!笑える要素もあり引き込まれました。
だけどそれでも私が☆を4つにしたのは、「意外性はまったくなかったから」。
“ああ、又吉らしいなぁ”というラインを越えるような驚きを感じるものではありません。
もともとが世間に名前もキャラクターも知られている人は、
こういう評価をされてしまうからつらいところですよね。

ほんの一握りの者しか成功しないお笑いの世界。
先の見えない不安に駆られながらも、人を笑わせるということにかけている若者たち。
笑いを生むには苦しみや純粋さ・・・必死の思いがあることを知りました。
ふざけてるように見えるけど、苦しみ、迷いながら生きている「芸人」さんたち。
まるで笑いながら泣いてるみたいで、読んでいて切なくなります。

舞台でやって笑いをとれることが、文章にしても面白いかというと必ずしもそうではなくて、
そのあたりの微妙な判断は笑いのプロでも難しかったと思います。
特にコーデュロイパンツの件はその場の空気感が伝わってくるようでじわじわ来ました。
行方不明になった神谷と久々に再会した時、神谷は大きく変貌していて、
この発想は突拍子もなかったです。笑いを通り越して引きました。
何かに人生を賭けた人間の狂気ってやつなんだろな・・・・すごい。

デビュー作の舞台に自分のいちばんよく知っている「お笑い」の世界を選んだのは正解だと思います。
これから何冊も書いていくにつれて、世界を広げていけばいいのですから。
次回作にも期待しています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:26 | category:    又吉直樹 |
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