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JUGEMテーマ:小説全般
● ライト・スタッフ / 山口恵以子(潮出版社)
● 個人的な評価 ☆☆☆☆
映画会社の助監督試験に落ちた五堂顕は、
運命的な出来事によって照明部に配属されると、
照明技師としての腕をめきめきと上げていった。
月日は流れ、4Kや8Kの時代に突入すると、照明技師の存在を軽んじる監督が現れる。
「ライト・スタッフ」は本当に必要なのか。照明の未来はどうなってしまうのか―。
(感想)
「潮出版社」、おそらくはじめて聞く名前。
調べてみたところ、創価学会系の出版社なのだそうです。
日本映画が最大の娯楽だった頃の映画製作現場のお話。
古い時代の話はあまり得意でない私ですが、わりとスラスラと読めました。
これといった盛り上がりもなく平坦ですが、
一人の平凡な男性のお話と考えれば、まぁ落ち着いて読めるし、こんなもんかな。
お杉ちゃんの才能が認められ、
美人女優だった糸路さんも年をとり、
綺麗どころからおばあちゃん役にシフトしていく様は同じ女性として眩しく思え、素敵でした。
山口恵以子さんはこれまで食べ物をテーマにした作品を多く書いてきた方ですが、
今作も食べ物の描写が多く、どれも美味しそう。
主人公たちの行きつけの定食屋さんなんかまさに山口さんの作品にありそうな感じ。
あくまで映画製作現場をメインに描いた作品ですが、
得意な分野をうまく織り込んで、山口さんらしい作品だったと思います。