隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# やめるときもすこやかなるときも

JUGEMテーマ:小説全般

 

 やめるときもすこやかなるときも / 窪美澄(集英社)

 

 評価 ☆☆☆

 

家具職人の壱晴は毎年十二月の数日間、声が出なくなる。

過去のトラウマによるものだが、原因は隠して生きてきた。

制作会社勤務の桜子は困窮する実家を経済的に支えていて、恋と縁遠い。

欠けた心を抱えたふたりの出会いの行方とは。

 

 

 

(感想)

 

誰だって過去のトラウマや背中に重たく抱えているものの1つや2つ、必ずあります。

そんな重い荷物を抱えて生きている二人が

お互いに欠けたものをゆっくり補い合うことで関係を深めていくお話でした。

しかし壱晴の過去のトラウマが

「おそらくこういうことなんじゃね?」って私が想像してたものそのまんまで、

ありきたりというか、韓ドラっぽいというか・・・w

 

壱晴は過去のトラウマを話し、

桜子とともにあの場所へもう一度戻ることで重い荷物の半分を桜子に背負ってもらえる。

けど、逆に桜子は愛した男性の重い荷物を背負わされることになる。

しかもどんなに桜子が彼を支え、愛したとしても、彼の傷は絶対になくなることはない。

相当の強い気持ちと覚悟がないとキツい恋だなぁ。

そんな二人の心の動きを一方の視点からではなく、

交互に描くスタイルの作品だからせつなさは余計に増します。

 

二人の恋の行方も気になりますが、

それよりも何よりも私が「ああ?」って思ったのは、

32歳で処女の友達に彼氏ができて幸せいっぱいの桜子に対して、その友人が、

「うまくいってる恋愛を女友達に話すときは最大限に気を使って。

 それが女社会のルールだよ」なんて言葉を吐いたこと。

友達なのにさ、

32まで恋愛に恵まれてこなかった女の子がやっとつかんだ幸せに対してよくこんなこといえるよ。

つくづく女ってこえーなと思った場面でした。

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:11 | category:    窪美澄 |
# すみなれたからだで
評価:
窪美澄
河出書房新社
¥ 1,512
(2016-10-17)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 すみなれたからだで / 窪美澄(河出書房新社)

 

 評価 ☆☆☆

 

焼夷弾が降り注ぐ戦中の東京で真智子が過ごした峻烈なる一夜、

沈みゆく昭和末に文が養父から教えられた喜び……

時代を超え、生きることに通底する痛みと輝きを凝視する短篇集。

 

 

 

(感想)

 

8編からなる短編集。

「性」と「生」を生々しく描いていて、人ってなんて欲深き生き物なのかと痛感。

貪欲に求めた何かがあることによって、

人は人間として重みや深みを増していくのだな〜。

 

そういう意味で「朧月夜のスーヴェニア」は女性としてグッと胸に刺さります。

認知症の祖母と、それを介護する孫娘。

どちらが女として勝っているかなんて考えたこともなかった。

結果的に結ばれなくても、ほんのひと時でも

狂うおしいほど求められる刺激的な激しい恋をできた、

この経験だけで女は一生生きていける気がする。

ああー、私、「死んでもいい・・・」なんて思ったことない。

薄っぺらい恋と経験しかしたことないってことだろうな。突き刺さるわ・・・。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:46 | category:    窪美澄 |
# アカガミ
評価:
窪美澄
河出書房新社
¥ 1,512
(2016-04-09)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 アカガミ / 窪美澄(河出書房新)

 

 評価 ☆☆☆

 

若者の多くは恋愛も結婚もせず、子どもを持とうともしなかった。
彼らはひとりで生きていくことを望んでいたーー。
渋谷で出会った謎の女性・ログの勧められ、ミツキは国が設立したお見合いシステム「アカガミ」に志願した。
しかし、これまで異性と話すことすらなかった彼女にとって、

〈国〉が教える恋愛や家族は異様なもので、
パートナーに選ばれたサツキとの団地生活も不安と驚きの連続だった。
それでもシステムに手厚く護られた二人は、次第に恋愛やセックスを知り、
「新しい家族」を得るのだが……。
生きることの痛みと選択、そして輝きを見つめる衝撃作!

 

 

(感想)

 

どんな作品かまったく知識を入れず、

ただ窪美澄さんの作品だからと思って読み始めたらまさかの近未来モノ。

 

テンポがいいのであっという間に読み終えられます。

近未来の不思議な設定も楽しめたけど、

展開がありがちで、尻切れトンボのような結末だったことが少々残念。

 

けど、今の若者は昔の若者に比べて、

いろんなことに意欲がなく無気力気味であることは事実だし、

なんらかの不自然な操作によって優れた遺伝子を残そうという行いは

もしかしたら今後ありえるかもしれないという恐怖は感じました。

 

窪さんとしては意欲作なのかもしれないけど、

窪さんはリアルな人間の感情を描くのがうまいと私は思っているので

これはあえて窪さんが書くべき題材でもなかったような気がします。

こういうのはこういうので得意な方がいますから、その方に任せて、

やっぱり窪さんは窪さんらしい作品を書いてほしいと一人のファンとして思います。

| comments(0) | trackbacks(0) | 17:05 | category:    窪美澄 |
# アニバーサリー
JUGEMテーマ:小説全般

 アニバーサリー / 窪美澄(新潮社)

 評価 ☆☆☆☆


母親との確執を抱えて育ち、望まれない子を妊娠、
たった一人で出産を迎えようとする三十代の真菜。
七十歳を過ぎても、育児中に始めたマタニティスイミングの指導員を続ける晶子。
あの日、あの震災が、二人を結びつけた――。
食べること、働くこと。子供を産み、育てること。
世代の違う二人の物語を丁寧に紡ぎながら、
時代とともに変わりゆく女性たちの生を凝視した渾身の長編小説。




(感想)

30代の真菜と、70代の晶子。それぞれの「女性」としての不安や悩みを描く作品。
「女性」と書いたけど、最終的には女の生き方や家庭だけではなく、
現在が抱える社会問題や震災による影響にもつながっていくお話だから、
男性にも読んでもらいたいです。
いや、それ言うならパートナーの気持ちを少しでも理解していただくために、
ぜひ男性にも読んでほしい?気もしますw

同性として共感できることが多い中、
星を4つにしたのは晶子の方の物語に物足りなさを感じたから。
晶子の目を通した自身の人生は綴られてはいたものの、
それに合わせて夫や子供たちの感情まではきちんと描き切れていない。
反対に、真菜サイドの章ではなぜ真菜がこうなってしまったのかの説得力があり、
明らかに晶子サイドの描き方との差を感じました。

最後に。
何か大きいことをしたり、
仕事で成功にすることに「人生の価値」を見出す人もいるのかもしれないけど、
私は家庭で家族に美味しいものを食べさせることがすべてだったころの晶子の人生も悪くないと思っています。
そういう人が家庭で支えているからこそ、
何か大きいことを成し遂げる人も安心して外で頑張れるのだから・・・。
最終的な晶子のように自分も外に出て、
やりたいことを見つけられればそれも素敵だけど、
「家庭にいる=何もしていない」ということは絶対にありません。
そこは間違えてはいけないと思っています。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:59 | category:    窪美澄 |
# 水やりはいつも深夜だけど
JUGEMテーマ:小説全般

 水やりはいつも深夜だけど / 窪美澄(角川書店)

 評価 ☆☆☆☆☆


セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。
父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。

同じ幼稚園に子どもを通わせる家々の、
もがきながらも前を向いて生きる姿を描いた、魂ゆさぶる5つの物語。



(感想)

他人同士が惹かれあって家族となり、でも何度もぶつかり合い、
傷つけあってお互いを見せ合いながら本当の意味での家族になっていく・・・・。
その過程が丁寧に描かれています。
エピソードの1つ1つが現代の若い夫婦が抱える問題のリアルを描いているけれど、
決して絶望感や焦燥感ではなく、
最後にはあたたかな光と安らぎを残してくれる作品集でした。

私は女なので、いつもなら女性が主人公の小説により深く感情移入をしがちですが、
意外にもこの作品では男性が主人公の「砂のないテラリウム」に最も共感しました。
昔のように甘えたり、激しい感情をぶつけるようなこともなくなり、
夫に興味を失っているように見える奥さんに対して、寂しさを感じる夫。
彼は今も妻を愛してはいるけれど、でも自分のことを恋しいと思い、
自分のことで悩んだり、そんな女の入る人生をもう一度味わってみたいと感じている。
子供を持つと、自然と「父」「母」になっていき、
自分たちの「男」「女」の部分は生活の中で薄れていく・・・。
その寂しさを他の女性で埋めようとするのは単純な下心や浮気心とは違う。
そんな言葉では片づけられない孤独感の表れだよね・・・・。
子供のいない私でもなんとなくわかるなぁ。

どのお話の登場人物も誰一人として責められない。みんな必死に生きている。
弱くて欠点だらけの者同士、寄り添って補いながら生きていかないと・・・
そんな気持ちになりますね。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:45 | category:    窪美澄 |
# さよなら、ニルヴァーナ
JUGEMテーマ:小説全般

 さよなら、ニルヴァーナ / 窪美澄(文藝春秋)

 評価 ☆☆☆


「少年A」に人生を変えられた人々の物語。
少年犯罪の加害者、被害者遺族、
加害者を崇拝した少女、その運命の環の外にたつ女性作家。
「少年A」は彼らに何をもたらしたのか。



(感想)

昨年、話題になった小説なので読んでみましたが、
神戸で起きたあの事件をモチーフにしたフィクションだそうで、
正直「なぜ今、この題材?」と思ってしまいました。

つまらないわけではないのだけれど、ページをめくる私の手は鈍く、
この分量の小説にしては読むのにえらい時間がかかりました。
おそらく、神戸の事件の関係者の心情を思うと複雑だということもあると思います。

被害者の母がAに憧れる少女と親しくするなどということはありえないし、
どうも少年Aを美化しているような印象を受けるのが気になります。
しかも読んでいるうちに、特殊な環境で育ったAには同情の余地があり、
どうにか誰にも気づかれずに穏やかに暮らしてほしいと願っている自分に気付いた時には愕然としました。
作者が読者にそう思わせるような書き方をしているのは事実。
なぜ、このような書き方で美化するのか不思議でなりません。

これはフィクションではあるけれど、
すべてをそうだと割り切ることはできないし、
Aの平和を願ってしまった自分を肯定はできない。
苦しくて、複雑な感情が読後から数日たった今でも残っています。
でも読者をこういう感情に陥らせるのが作者の狙いなんだろうな〜。
私はまんまとハマったんだと思いますw

 
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:06 | category:    窪美澄 |
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