|
JUGEMテーマ:小説全般
● 灯台からの響き / 宮本輝(集英社)
● 個人的な評価 ☆☆☆☆
父の代から続く中華そば店を営む康平は、
一緒に店を切り盛りしてきた妻を急病で失って、
長い間休業していた。
ある日、分厚い本の間から、妻宛ての古いはがきを見つける。
30年前の日付が記されたはがきには、海辺の地図らしい線画と数行の文章が添えられていた。
なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、
そしてなぜ康平の蔵書に挟んでおいたのか。
妻の知られざる過去を探して、康平は旅に出る――。
市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを伝える傑作長編。
(感想)
宮本輝さんはかなりのベテランで、
書いている小説はもう完全に時代遅れです。
でも、私は大好きなんですよね。
この人の小説の良さは年を重ねるにつれてわかるものなんだと思う。
心が洗われて、
シンプルに道徳的「人として」「心の在り方」を教えてくれます。
この人の作品を好きだと思える気持ち、
いつまでも大事にしていきたいです。
60間近のおじさんが灯台をめぐる旅をする・・・・、
お話としてはまぁかなり退屈です。
でも、特に何を成し遂げたわけでもない平凡な人の人生の中にも、
心の機微のようなものがあり、
それは他人がいいかげんに扱っていいものではない。
そういうことが描かれているのかな・・・・胸が熱くなりました。
自分だけの正義、軸、こういうものを大事に生きていきたい。
今のこういう時代だからこそ、改めて痛感いたしました。
・・・と、まぁ漠然とした感想なのですが、
宮本輝さんの作品ってそうなんですよねぇ。
ほんとうに心の在り方を教えてくれる。
読んで期待外れということのない作家さんです。