隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 草花たちの静かな誓い

JUGEMテーマ:小説全般

 

 草花たちの静かな誓い / 宮本輝(集英社)

 

 評価 ☆☆☆☆

 

ロサンゼルス在住の叔母の突然の訃報。

甥の弦矢が駆けつけると、27年前に死んだはずの叔母の一人娘が、

実は死んだのではなく、当時からずっと行方不明なのだと知らされる。
なぜ叔母はそのことを長らく黙っていたのか。

娘はいまどこにいるのか。弦矢は謎を追い始める――。
生き別れた母子の運命を豊かに描き出す長編小説。

 

 

(感想)

 

ミステリーにカテゴライズされる作品なのだろうけど、

草花の清らかな美しさと、

アメリカ西海岸のリラックスした雰囲気が心地よく、

ドキドキするよりもゆったりとした気持ちで読める作品でした。

雰囲気がいいから、

本来は許しがたい行為をした人物もそこまでの悪人に思えない。

そのへんが宮本輝的配慮というか、らしさというか・・・ですね。

 

キクエさんの精神力の強さに圧倒されます。

母親としてその選択をしたことはもちろんなんだけど、

それ以降も一生、イアンの妻であるキクエ・オルコットとして

生き続けたということが、もう私なんかには想像もできない境地。

やっぱり宮本さんの作品って深い。

「人の心」たるものをしっかりと読ませてくれる作家です。

 

ニコの存在がハードボイルド感あってアメリカチックで素敵。

そしてキクエのスープも飲んでみたい。

本筋と違うささやかな部分にも惹かれるもののある作品でした。

| comments(0) | trackbacks(0) | 17:35 | category:    宮本輝 |
# 田園発、港行き自転車(上)(下)
JUGEMテーマ:小説全般

 田園発、港行き自転車(上)(下) / 宮本輝(集英社)

 評価 (上) ☆☆☆☆  
    (下) ☆☆☆☆


絵本作家として活躍する賀川真帆。
真帆の父は十五年前、「出張で九州に行く」と言い置いたまま、
富山で病死を遂げていた。
父はなぜ家族に内緒で、何のゆかりもないはずの富山へ向かったのか―。
長年のわだかまりを胸に、真帆は富山へ足を向ける。
富山・京都・東京、三都市の家族の運命が交錯する物語。



(感想)

我を忘れて引き込まれるような刺激はないけれど、
お話の進むテンポが遅いということもあり、時間をかけて少しずつ読みました。
どことなく古臭く、若い人にはピンと来ない作品かもしれませんが、
久々にどっぷり浸ったな〜という感じがします。
富山の景色の描写もとても美しく、真帆たちの旅した風景が目に浮かぶようです。

人の心の根本にある「優しさ」や「温かさ」を感じずにはいられません。
凛とした姿勢で生きる登場人物が多く、この人達のように生きたいと思った。
人を思いやる心自然と常に持ち、丁寧に、自分に正直に生きる・・・
そうすることがおのずと良い縁や絆を呼びよせるんですね。

「赤毛のアン」の件は宮本輝さんご自身に重なりますよね?w
先日読んだばかりの吉本ばななさんとの対談集「人生の道しるべ」にこのエピソードが載っていたのを思い出し、
思わずニヤッとしてしまいました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 15:41 | category:    宮本輝 |
# 水のかたち
JUGEMテーマ:小説全般

 水のかたち(上)(下) / 宮本輝(集英社)

 評価 (上) ☆☆☆☆☆
    (下) ☆☆☆☆☆


東京下町に暮らす主婦・志乃子、50歳。
もうすぐ閉店する近所の喫茶店で、文机と朝鮮の手文庫、
そして薄茶茶碗という骨董品を女主人から貰い受ける。
調べてみるとその茶碗は、なんと三千万円は下らない貴重なものだった・・・。
予想もしなかった出会いから、人生の扉が大きく開きはじめる―。




(感想)

先日読んだ宮本輝さんと吉本ばななさんの対談集「人生の道しるべ」の中で、
何度か話の中に出てきていたので読んでみました。
いやー、素敵でした。「心が洗われる」という点でこの二人の作家は共通してるのかもしれません。

近所の喫茶店の店主からタダでもらった古い茶碗。
その価値を調べてみると3000万円の値打ちがあることがわかった。
どうやら店主はその価値を知らずに、気楽な気持ちで譲ってくれたらしい。
・・・さて、ここでどうするか?
周囲の人々は「店主との取引は終わったのだ。堂々と3000万をもらえばいい」という。
たしかに彼らの言うように、
元の持ち主に茶碗の真の価値を明かす義務はないのかもしれない。
その意見は正しい。
でも、主人公にとってそうすることは自分らしくなかった。
自分の生き方ではない。
道義の問題ではなく、
私の心の問題なのだと「心」を優先させようとする主人公がたまらなく好きです。
シンプルに「そういうのが嫌い、私らしくない」・・・・いい!!
人生で大きな何かを為したわけでもない平凡な主婦でも、
「自分はこうなんだ」という確固たる意志を持ち、
人一倍正直にまじめにバカ正直に生きている姿は、
何に劣るでもなく美しいと思いました。
この作品の幸福の連鎖を「現実にはありえないおとぎ話だ」と評価する人もいるのだろうけど、
こういう正直な生き方が素晴らしい「縁」や「絆」を運んでくるということに関しては本当だと思う。
私はやはり地道に生きる人が好きだと改めて実感しました。
私もそうありたいです。
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:58 | category:    宮本輝 |
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