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JUGEMテーマ:小説全般
● ナイルパーチの女子会 / 柚木麻子(文藝春秋)
● 個人的な評価 ☆☆☆☆
丸の内の大手商社に勤めるやり手のキャリアウーマン・志村栄利子(30歳)。
実家から早朝出勤をし、日々ハードな仕事に勤しむ彼女の密やかな楽しみは、
同い年の人気主婦ブログ『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。
その「おひょう」こと丸尾翔子は、スーパーの店長の夫と二人で気ままに暮らしているが、
実は家族を捨て出て行った母親と、
実家で傲慢なほど「自分からは何もしない」でいる父親について深い屈託を抱えていた。
偶然にも近所に住んでいた栄利子と翔子はある日カフェで出会い、
翔子が数日間ブログの更新をしなかったことが原因で、二人の関係は思わぬ方向へ進んでゆく……。
女同士の関係の極北を描く、傑作長編小説。
(感想)
この秋冬、「芋けんぴ」を食べることにドハマりしました。
そこで思い出したのがこの作品ww
芋けんぴで人を刺す場面が衝撃的で、ずーっと忘れられない珍場面。
私は芋けんぴなんて途中で折れると思うんだけど、
作中では救急車呼んでくれ!くらいの大騒ぎになるのです。
今回再読しましたが、改めて謎な場面でした・・・いやー、刺さるかね!?
話は変わって、ここからはちゃんとした感想。
美人でキャリアウーマンで何の不自由もないように見える栄利子。
ゆるゆるっとマイペースに生きているように見える翔子。
読んでて何がつらかったかって、
2人とも心の奥底では自分に欠けているもの・手にしたいものが明確にわかっていたから。
他人から見れば満たされているように見える2人がこんなにも熱望し、
正気を見失っていく様は読んでてしんどかったです。
そして私自身、2人に共感できなくもないのが、またつらいところです。
ネットの普及によって、より孤独感を感じてしまうような社会になったのは間違いないし、
人と自分を比べることが増えるのも当然です。
昔はさほど気にしなかったようなことも大きな意味を持つようになった。
なんだかもう、ほんとに世の中が歪んできています。
完璧にホラーですね。
ホラーの芽は日常にあるんだ。気をつけましょー。