隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 死者のための音楽
JUGEMテーマ:小説全般

 死者のための音楽 / 山白朝子

 評価 ☆☆☆☆


山白朝子さんというのは乙一さんの別名義で、
彼は山白朝子の他に中田永一という別名義も持っています(ややこしいねぇ)。

誰に教えてもらったわけでもないのに、子供の頃から唱えることのできたお経。
深い井戸の底に響く水の音。
工場から廃液が勢いよく放出される音。
仏師を仏像を彫る音。
小枝をポキポキと折りながら、巨大な何かが近づいてくる音。
大きな黒い鳥の羽音。
耳の不自由な母が、死の間際に聞いた美しい音楽。
この短編集のキーワードは「音」なのではないかと思う。
静かな音、大きな音、それぞれに違いはあるが、
どの作品にも作品を象徴するような音が存在を無視できません。
読者を煙に巻くような複雑な文章ではなく、簡潔に淡々と綴られる文体。
そこに象徴的な音の存在も重なり、
すんなりとこの不思議な世界へと誘われるような作品集でした。

言葉の選び方が美しいんですよね。
文章のうまさを感じさせるような書き方じゃなく、あくまでさらっとしている。
そこにテクニックを感じます。
別名義で書き分けるというのも、うまいからこそできることなんだろうな。

山白朝子名義の作品は以前に「エムブリヲ奇譚」を読んでいますが、
これは「死者のための音楽」のあとに出版されたもので、
あれに比べると「死者のための音楽」のほうが
乙一らしい切なさやダークさは残っているのではないでしょうか。
特に「鳥とファフロッキーズ現象について」という作品は誰が書いたのか知らずに読んだとしても、乙一だってわかるくらい彼らしい作品です。
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:02 | category:    山白朝子 |
# エムブリヲ奇譚
評価:
山白 朝子
メディアファクトリー
¥ 1,659
(2012-03-02)

JUGEMテーマ:小説全般
 
エムブリヲ奇譚  / 山白朝子(メディアファクトリー)

評価 ☆☆☆☆☆


山白朝子は乙一さんの別名。
こちらの名義で書かれた作品は初めて読みました
乙一や中田永一名義で書いている時と文体も書き分けている感じ。
ホラーでもミステリーでもなく、あくまで「奇譚 」というだけって、
その文体も雰囲気を壊さない味わいのあるものになっています。

この時代には珍しい長髪で、迷い癖のある和泉蠟庵と
博打が好きなダメ男・耳彦の2人が不思議な出来事に遭遇しながらも旅をするお話し。
蠟庵の職業は旅や温泉に関する本を書くことで、
耳彦は荷物持ちとして旅に同行しているが、
蠟庵の迷い癖のおかげで必ず不思議な温泉地へ迷い込み、
幽霊騒動やらおかしな事件に巻き込まれてしまう2人。
この絶妙なコンビの面白さも最高で、
へたすりゃキモグロになっちゃいそうなお話しも
いい具合に軽い笑いに持って行ってるところがすごい。

中でもいちばん好きなのは「ラピスラズリ」ってお話し。
過去の記憶があるままに何度も生き死にを繰り返す女性のお話し。
切なかったわ〜。

装丁も雰囲気があって素敵。
栞の紐が通常のよくある紐とは違い、糸のような細い物を3本使っています。
これはね〜、まぁ味はあるけど正直使いにくかった(>_<)

シリーズ化を強く希望です!!
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:42 | category:    山白朝子 |
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