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JUGEMテーマ:小説全般
● ペッパーズ・ゴースト / 伊坂幸太郎
● 個人的な評価 ☆☆☆
不思議な力を持つ、中学校の国語教師・檀(だん)と、
女子生徒の書いている風変わりな小説原稿。
生徒の些細な校則違反をきっかけに、
檀先生は思わぬ出来事に巻き込まれていく。
伊坂作品の魅力が惜しげもなくすべて詰めこまれた、
作家生活20年超の集大成!
(感想)
主人公の壇先生には、
「人の飛沫を浴びると、その人のちょっと先の未来が少しだけ見えてしまう」という
中途半端な特殊能力がある。
その能力をなんとか駆使して、大きな事件に立ち向かうというお話です。
伊坂幸太郎さんの作品はいつも小気味のいいユーモアがありながらもスタイリッシュで軽快。
だから残酷シーンもそれほど重たく感じないから読みやすい。
いくつかの事件が交差し、最後にそのすべてが見事につながって回収されるというのも特徴で、
難しいパズルがキレイに埋まったような読後の清々しさが魅力だったけど、
今回はそんな気持ちの良さも感じず。
「後々、この人がキーになるんだろうな」と目を付けてた人の見せ場もなく、
各キャラクターも深く描き切れてない。個性がない。
正直、シアンさんとアメショーさんですら、どっちがどっちなのか個性が感じられなかった。
いつ面白くなるんだろう・・・と思ってるうちに終わっちゃいましたねぇ。
なんでしょう?もう私が伊坂スタイルに飽きてしまったのかな?
生徒が書いた小説に出てくる人物が実在し、物語と現実が交差していく・・・この設定は面白い。
でも私は「飛沫を浴びれば、その人の未来が見える」という特殊能力の気持ち悪さがもう無理です。
このコロナ禍において、人の飛沫を積極的に浴びに行くなんて設定、アウトでしょ。
読んでて不愉快です。
ネットでレビューを見ましたが、他の方々の評価が概ね高いのが意外でした。
好きな作家の一人だったけど、今後はもうそれほど熱心に追いかけなくてもいいかも(;'∀')