隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# たった、それだけ

JUGEMテーマ:小説全般

 

 たった、それだけ / 宮下奈都(双葉社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

贈賄の罪が発覚する前に、望月正幸を浮気相手の女性社員が逃がす。

彼を告発したするのは自分自身だというのに―。

正幸が失踪して、残された妻、ひとり娘、姉にたちまち試練の奔流が押し寄せる。

正幸はどういう人間だったのか。私は何ができたか…。

それぞれの視点で語られる彼女たちの内省と一歩前に踏み出そうとする“変化”とは。

 

 

 

(感想) 

 

一人の男性の失踪を軸に、

その関係者が各章で入れ替わって語り手となるスタイルの連作短編集です。

一つの出来事をあらゆる角度から見られるこういうスタイルの作品はわりと好き。

テンポもよく、サクサクと読めました。

 

「たった、それだけ」のことが人生を大きく狂わせることは多々ある。

いや、もしかしたら人生なんて無数の「たった、それだけ」によってできていると言っても過言ではない。

「たったそれだけの勇気」「たったそれだけの後悔」・・・

些細な事柄がその人の人生の影や光となる。

そう考えると、日常の些細な出来事一つ一つに意味を感じ、

何気ないことも大事にかみしめて生きなきゃと思えてきます。

 

最後の第6話が秀逸。

後半へ行けば行くほどじわじわと深みが増していきます。

本当なら失踪した望月正幸が語り手となる章があればわかりやすいんだけど、

ないのがミソなんだよな〜。

著者のあえて書かないという選択は、読者の想像力を揺さぶるという意味で大正解だと思います。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:00 | category:    宮下奈都 |
# 羊と鋼の森
評価:
宮下 奈都
文藝春秋
¥ 1,620
(2015-09-11)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 羊と鋼の森 / 宮下奈津(文藝春秋)

 

 評価 ☆☆☆

 

ゆるされている。世界と調和している。

それがどんなに素晴らしいことか。

言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

ピアノの調律に魅せられた一人の青年。

彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った祝福に満ちた長編小説。

 

 

 

(感想)

 

直木賞の候補、そして本屋大賞も受賞した「羊と鋼の森」をやっと読みました。

 

本屋大賞は毎回どんな人にも受け入れられそうな読みやすい本を選んでくれるし、

最も信頼できる賞だと思っています。

しかし今回は「?」でした。

うーん、今までの本屋大賞にはなかったタイプの作品ですね。

この世界観は決して悪くはないけど、あまりに静謐で、好き嫌いが分かれそう。

本屋大賞にはそぐわない作品という印象です。

 

静謐で、まっすぐで、心がふわっと優しくなるような世界。

だけどそれはとても表面的なもの。

夢や目標に向かうにあたって、

血のにじむような努力や苦しいほどの絶望感はあったはずなのに、

それらをオブラートにくるむようにしてなるべく感じさせないところに違和感を感じる。

きれいにまとめすぎようとしてるのがつらい。

世の中そんなに甘くない。

・・・それに気づいちゃうと、一気に白けてきちゃいます。

 

本屋大賞だけに期待が大きすぎた。背負った看板が大きすぎた。

こちらも期待してただけに評価が厳しくなるのも仕方ないと思います。

| comments(0) | trackbacks(0) | 17:00 | category:    宮下奈都 |
# 窓の向こうのガーシュウィン
JUGEMテーマ:小説全般
 
 評価 ☆☆


静かで雰囲気のある小説。
「額装」というテーマもなかなかに渋い。

未熟で生まれたのに、保育器に入れてもらうことができず、
そのせいか成長しても自分はまわりよりも劣っていて、
何かが「足りない」と思っている佐古さんが主人公。
介護師となり、はじめて派遣された家で知り合った人たちとの物語です。

リアルさがまったくなく、すべてが浮世離れしている。
盛り上がりもなく、静かに静かに日々が過ぎていくだけでいまいち入りこめなかった。
だけど、佐古さんが無意識ながらのも静かに成長していく姿はいい。
彼女のスピードや感覚に怒らず、受け入れてくれている人たちもいい。
薄ぼんやりとしたその先に、何かが待っているような予感・・・。
すっきりはしないけど、余韻を残す作品ではあります。

額装だけを生業にしている人がいるというのは初めて知ったけど、
自分の思い出深い物を額装して飾っておけたら素敵だな。
そして、記憶の中にそっとしまってある過去の大切な瞬間も額装しておけたらどんなに素晴らしいか・・・
そんなことをふと思ったりしてしまいました。


| comments(0) | trackbacks(0) | 11:41 | category:    宮下奈都 |
# 誰かが足りない
評価:
宮下 奈都
双葉社
¥ 1,260
(2011-10-19)

JUGEMテーマ:小説全般

 評価 ☆☆

自分にとって大切な人を失い、喪失感を抱えている人達を描く短編集。
誰かが足りないと思うことは、その人のかけがえのなさを知ってるからですよね。
待つことは孤独や悲しみじゃなく、喜び・・・そう思えることは幸せ。

あらすじを読んで、「かたつむり食堂」みたいな話なのかなと思って興味をもったんだけど、
なんだか肩すかしをくらったような感じです。
物語のラストの方で主人公達はなんとなく生きる力を取り戻しはじめて、
レストラン「ハライ」に予約を入れる・・・っていう話しなんだけど、
最終的に「ハライ」に行きつくあたりに違和感を感じます。
それならそれでもっと「ハライ」をしっかり描いてほしいんだけど、
それがないので、読者は置いて行かれた気がするんですよねぇ。
彼らが「ハライ」で幸せな時間を過ごしたことは間違いないんだけど、
私も「ハライ」のこと、もっと知りたいよー。

「誰かが足りない」じゃなく「ハライが足りない」と言わざるを得なくない??

 
| comments(2) | trackbacks(1) | 11:17 | category:    宮下奈都 |
# よろこびの歌
評価:
宮下 奈都
実業之日本社
¥ 1,365
(2009-10-17)
コメント:ハイロウズファンは必読

JUGEMテーマ:小説全般
 ● よろこびの歌 / 宮下奈都
 ● 実業之日本社
 ● 1365円
 ● 評価 ☆☆☆☆
玲は名の知れたヴァイオリニストの娘。
自らも声楽家を目指し、音大の付属高校へ入ることを目標にしていた。
しかし、目標の高校に落ちてしまい、
数年前にできたばかりの聞いたこともない女子高に通うことになる。 
挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。
しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる――。



(感想)

ファンじゃない人には絶対わからないことですが、
この「よろこびの歌」というタイトルも、各章のタイトルも、
すべてハイロウズの曲のタイトルから借りてきて付けられたらしいです。
作中にもハイロウズが好きな登場人物がでてきたり、きっと著者自身もファンなんでしょうね〜。

ある女子高の、あるクラスの女の子たち。
高校時代って、人生の中で最も輝いているように思われがち。
女子高生は特に難しいことは考えずに、あっけらかんとお気楽に生きてるように思える。
でも、彼女たちにだって悩みはあるんだ。
10代にして人生を諦めている子もいるし、孤独や嫉妬に押しつぶされそうな子もいる。
でも個々がそんな重いものを決して表に出さずに明るくふるまっているから、
女子高生は勘違いされやすい。
そんな悩める女の子たち一人ひとりの心の奥底を丁寧に映し出した作品です。

クラスで孤立していた玲を軸に、合唱によって心を一つにしていく少女たち。
合唱に真剣に向き合うことで自分自身にも素直になっていきます。
みんなで歌いながらも、彼女たちは本当は自分だけの歌を求めてる。
こういう葛藤や諦めは誰しも抱いたことがあるようなものだろうけど、
だからこそリアルに読者の心に響きます

ひとつ、気がかりなのは指揮棒をふる玲だけじゃなく、
のびのびと自分の歌を歌う玲の姿もみたかったってこと・・・。
それだけがおしいなぁ。

けど、瑞々しい素敵なものを書く作家に出あえました
今後にも期待ですな
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:12 | category:    宮下奈都 |
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