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JUGEMテーマ:エッセイ
● あのころなにしてた? / 綿矢りさ(新潮社)
● 個人的な評価 ☆☆☆
コロナ禍による創作への思わぬ影響、
家族との生活の変化、めまぐるしい世界の動きを、
パンデミック収束への願いをこめながら綴った2020年の日記。
(感想)
綿矢さんの2020年は家族で行ったスキー旅行からはじまりました。
しかし、その後すぐにコロナという謎の感染症が世界中に広がりはじめます。
これはめまぐるしく変化していく日々の様子を綴った日記スタイルの作品です。
日記は2020年のもので、
あとがきは2021年に書かれているのですが、
あとがきで綿矢さんが行きついた心理は私達がコロナに向き合うにおいて、
正しい向き合い方なのではないかと感じました。
私と綿矢さんのコロナに対する考えは違うけれど、
「なにやらコロナという感染症がはやり始めてるらしい」程度の認識だったころから、
徐々に深刻に受け止め、恐れ、
これまでのような日常生活を諦め、
この激変した世界を受け入れていく様子はリアルに伝わります。
一般市民が普通の感覚でコロナを見つめた記録としてはまぁいいでしょう。
しかし、政府やマスコミに対する綿矢さん自身の強い意見などは記されておらず、
読み物としてのパンチは足りないかな。
ちょっとあっさりしすぎてますね・・・。
読み進めるほどに事態は深刻化していきますが、
綿矢さん自身によるイラストのゆるさに妙に癒され、
そのギャップと違和感に心が救われました 笑。
いつか、この本のタイトル通りに「あのころなにしてた?」という気分で
この本を再読できる日が来ますように・・・。
今はただそれを願うばかりです。