# 盤上の向日葵
2018.04.11 Wednesday
JUGEMテーマ:小説全般
盤上の向日葵 / 柚木裕子(中央公論新社)
個人的な評価 ☆☆☆☆☆
さいたま市天木山山中で発見された白骨死体。
唯一残された手がかりは初代菊水月作の名駒のみ。
それから4ヶ月、叩き上げ刑事・石破と、かつて将棋を志した若手刑事・佐野は真冬の天童市に降り立つ。
向かう先は、世紀の一戦が行われようとしている竜昇戦会場。
果たしてその先で二人が目撃したものとは! ?
(感想)
将棋のルールはまったくわからないので、
対局の場面は完全に無視して読みましたが、まったく問題なく読めた気がします。
560ページがあっという間でした。
特に新鮮味はないのだけど、登場人物のキャラが立ち、展開もスムーズ。
これなら将棋を知らない人も読書慣れしてない人も比較的サクサク読めるのではないでしょうか。
こんなに重厚感があるのに、ページをめくる指が軽いなんてすごい。
読ませる力がある作品ならではです。
特に少年時代の桂介と唐沢夫妻のふれあいには胸が熱くなります。
結局、父親からは逃れることができなかった。
東明のことも無視することができなかった。
そこを切り捨てられないところが上条桂介の生い立ちからくる運命というか呪いのようなもの?なんだろうなぁ。
こんなに多くの登場人物がいるのに、誰一人幸福ではなく、救われないのが切なかったです。