隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 成功者K
評価:
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河出書房新社
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(2017-03-24)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 成功者K / 羽田圭介(河出書房新社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

芥川賞を受賞したKはいきなりTVに出まくり、

寄ってくるファンや友人女性と次々性交する。
突如人生が変わってしまったKの運命は?

 

 

 

(感想)

 

芥川賞受賞以降、たしかに羽田圭介をテレビで見る機会は多くなりましたね。

表紙も著者本人の顔写真を使っているし、

事実と創作の入り混じっている小説なのでしょう。

どこが真実でどこが作り話なのかを想像しながら読むのが

この作品の楽しみ方なんだろうな。

 

とにかく最初っから最後まで「金」「名声」「女」だけです。

つーか、ここまでだと「成功」っていうより「性交」だろww

読んだからといってどーってことない作品。

芥川賞受賞で突如有名人になったことに対する皮肉のようにも思えるし、

自分のそのおかしげな状況をネタにしたかっただけかも。

好き嫌いははっきり分かれると思います。

けど、読書体験があまりなくて、

受賞後のテレビ出演等ではじめて羽田さんを知ったような読者さんたちは

軽く楽しめるのはないでしょうか。

 

受賞特需はいつまでも続きません。

現に、私がこれを書いてる時点で、

もう羽田さんをテレビで見る機会はほとんどないですしw

この先、メディアからも街の人からも声がかからなくなってからのことを書いた

続編を出してくれたらサイコーだな。

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:18 | category:    羽田圭介 |
# コンテクスト・オブ・ザ・デッド

JUGEMテーマ:小説全般

 

 コンテクスト・オブ・ザ・デッド / 羽田圭介(講談社)

 

 評価 ☆☆☆

 

編集者の須賀は作家と渋谷で打ち合わせ中、

スクランブル交差点で女の子を襲うゾンビを目撃する。

各地で変質暴動者=ゾンビの出現が相次ぐ中、

火葬されたはずの文豪たちまで甦り始め……。
この世界で生き残れるのは誰なのか!?

芥川賞受賞で話題を攫った羽田圭介が現代日本を撃つゾンビ・サバイバル問題作!

 

 

(感想)

 

ゾンビ小説のわりには最終的には、

人に流されずに自分を持つことが大事だよ・・・というきちんとした教訓があります。

が、しかし・・・そうじゃない人はゾンビになっちゃうよという設定がどうもそぐわない。

そもそも読者はゾンビ小説を手に取った時点で教訓や学びなんか求めちゃいないし、

求めてるのはB級チックなはちゃめちゃ感なわけです。

なのに道徳的なものを持ちこまれてもなぁ・・・と興ざめしました。

 

うーん、要するに・・・

はちゃめちゃなゾンビサバイバル物でもなければ、

説教入った教訓物とも言い難いし、どっちにしても中途半端なんですよね・・・。

 

でも装丁はサイコーにイカしてると思います。

かっこいい(`・∀・)b

| comments(0) | trackbacks(0) | 14:47 | category:    羽田圭介 |
# スクラップ・アンド・ビルド
JUGEMテーマ:小説全般

 スクラップ・アンド・ビルド / 羽田圭介(文藝春秋)

 評価 ☆☆☆☆


第153回芥川賞受賞作。
「早う死にたか」毎日のようにぼやく祖父の願いをかなえてあげようと、
ともに暮らす孫の健斗は、ある計画を思いつく。
日々の筋トレ、転職活動。
肉体も生活も再構築中の青年の心は、衰えゆく生の隣で次第に変化して……。
閉塞感の中に可笑しみ漂う、新しい家族小説の誕生!




(感想)

アマゾンにすごいレビューを書いている方がいて、
正直、もう私、この本の感想書く必要ないんじゃないかな・・・・と思っています。
でも、まぁ一応。

何度も芥川賞候補入りはしてたものの落選が続き、
ようやく受賞できたかと思ったら又吉さんの「火花」の影に隠れてしまい・・・・。
なんとも不運な羽田圭介さんですが、
今の日本で問題になっている老人介護の問題を
おかしみを漂わせながらこういう角度で切り込んでくるとは!
これは若いからこそだとできるものだと思います。
一見、ユーモラスにも読めるけど、
介護経験のある者から見れば決してそうじゃない。
介護の壮絶さ、終わりも正解も見えない息苦しさもきちんと描いている作品です。
その苦しさを深刻に見せずユーモラスに調理してるとこが、
この作品のうまさなのだと思います。

実は昨年から私の実家でも祖母を引き取ることになり、
介護生活がはじまりました。
なので、日常のささいな描写など「わかる〜!」の連発!
特に祖父が主人公の留守中にピザを食べ、
見つかりそうになるとすごい勢いで逃げていった場面がありましたが、
あの薄気味悪さ・・・ウチでもよくあるんです。
体力は衰え、固いものが食べられなくなっても食への欲求は衰えたわけではなく、
人が見てる時はゆっくりのっそり歩くんだけど、
一人でいるときはどうやらすんごいスピードで歩いてるっぽい。
まさにウチも祖母とおんなじなので「ウチだけじゃない!」と安心しました。
そして決して冷たくしてるわけじゃない母親と祖父の距離感もとてもリアルでした。

不思議なことにボケても覚えていることは覚えているし、
ずる賢さや人間関係を円滑にする判別能力は残っているらしい。
はたしてこの祖父はどこまでそのへんを理解し、主人公に接していたのか・・・・。
そこがこの作品の最大の謎であり、
読者自身が勝手に想像するにあたって最も重要な部分ですね。

実際に介護問題にぶち当たっている私達でも、
暗い気持ちにならず共感しながら読めました。
ラストは私達にとって、
「こういう選択肢もあるんだよ」という形を見せてくれたと思います。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:21 | category:    羽田圭介 |
# ワタクシハ
評価:
羽田 圭介
講談社
¥ 1,575
(2011-01-18)
コメント:厳しさも滑稽さもこれが就活のリアルなんだろうなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
 ● ワタクシハ / 羽田圭介
 ● 講談社
 ● 1575円
 ● 評価 ☆☆☆
人生賭けたい夢がある。でも、内定は欲しい。
かつて、高校生でギタリストデビューを果たした山木太郎。
しかし栄光も束の間、バンドは解散。
大学三年の秋を迎えた太郎の周囲は「シューカツ」に向けて慌しく動き出した。
「元有名人」枠で楽々内定を勝ち取れると思っていたのだが―。
就職氷河期「以下」の今に問いかける、書き下ろし長篇。


(感想)

「黒冷水」を読んだ時の衝撃は忘れない。
若いせいか、とにかく「いま」を描けている人だと思った。
それ以来、何年かぶりでこの人の読んだわけだけど、今回は就活がテーマ。

内定が欲しいあまりに己を失い、情報に踊らされる就活生を滑稽に思う一方で、
実際にこうなんだろうな・・・と就活のリアルな厳しさを見せつけられたかんじです。
内定は勝ちとった。
でも必死でまじめな学生を演じてとった内定は
実は本当の自分を評価してもらって勝ちえたものではなく、
演技力と情報収拾力のおかげでしかない。
カン違いによる内定しかもらえてない太郎には実際ところ何も残ってはいない。
その空しさがさびしい。
まぁ、気づいているだけ太郎は他の学生より物事がよくみえてたんだろうけど。

ラストはいきなり「数年後」・・・・・。
ドラマなどでもよく見られる展開ですが、何がどうなって彼はこうなっているのか、
それを今まで読んできた読者に知らせずに数年後と片づけて終わらせるとは
あまりに読者を馬鹿にしていると思う。
少なくとも読者は知る必要があるのでは?




そういえば昔、視聴者投稿型のバラエティ番組に
まるで一般人のように出演していたこの人を見たことがある。
羽田圭介なんて私の周りでは誰も知らないから、その驚きを誰とも共有できなくて悶々としたけど、
あれは笑えたわ。
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:48 | category:    羽田圭介 |
# 黒冷水
黒冷水
黒冷水
羽田 圭介
黒冷水/羽田圭介
河出書房新社
1365円
評価 ☆☆☆☆
兄の部屋を変質的にアサる弟と、執拗に監視する兄。
この憎悪はどこから生まれたのか?
兄と弟の壮絶な家庭内ストーキング。
17歳・高校生による第40回文芸賞受賞作。

(感想)
どんどんページを進めたくなる魅力はある。
17歳でこれほど読者をひきつける作品を書けることはすごいし、面白い。
壮絶の一言につきます!

けど、それにしても・・・どす黒すぎやしませんかたらーっ
面白さや文章のセンスよりも着目しなければならないのは、
こんなにも黒い、真っ黒い小説を高校生の男の子に書けてしまうってことじゃないですか!?
私、怖いわ、怖いわ〜。
今の社会だからこそありうることなのかなーと思っちゃいました。

けど、ただでは終わらせなかったラストにこの作家の可能性を感じます。

昨年、視聴者投稿型のバラエティー番組テレビ
フツーに視聴者として出てるのを見たけど、
この人、今でも書いてるんでしょうか?

●この本を好きな人におすすめなのは・・・
平成マシンガンズ/三並夏
| comments(0) | trackbacks(0) | 10:52 | category:    羽田圭介 |
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