隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# 黄色い家 / 川上未映子
評価:
価格: ¥ 2,090
ショップ: 楽天ブックス

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● 黄色い家 / 川上未映子(中央公論新社)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、

生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。

危ういバランスで成り立っていた共同生活は、

ある女性の死をきっかけに瓦解し……。

人はなぜ罪を犯すのか。

世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。

 

 

 

(感想)

 

川上未映子さんらしくない社会派小説。

新境地ではないでしょうか。

 

少し前に読んだ小説でも、

「育った環境が人を作る」ということを思い知らされたばかりで、

この作品もまたしても似たような苦さが残りました。

この作品の主人公・花のように

地頭がよく、動き、考えることのできる人は、

いい方にも悪い方にも知恵を働かせることができるんですよね。

 

ネタバレになりますが、

黄色い家を出てから、あのネット記事を見つけるまでの約20年は

花にとって空虚な日々だったと想像できます。

けど、黄美子さんと再会したことで、またギラギラした日々がはじまるはず。

その先にあるのは決してハッピーエンドではないけれど、

きっと花は自分の選択は間違っていないと考えるんだろうなぁ。

だから彼女は幸せにはなれないんだ。

 

黄美子さんにはあっと驚くような真実があることを期待してましたが、

結局何もない人だったのには拍子抜け。

そのへんにわずかに物足りなさを感じ☆は4つ。

でも一気読みでした。

| comments(0) | - | 14:19 | category:    川上未映子 |
# 春のこわいもの / 川上未映子
評価:
価格: ¥ 1,760
ショップ: 楽天ブックス

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● 春のこわいもの / 川上未映子(新潮社)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆

 

感染症が爆発的流行を起こす直前、

東京で6人の男女が体験する甘美きわまる地獄めぐり。

ギャラ飲み志願の女性、深夜の学校へ忍び込む高校生、

寝たきりのベッドで人生を振り返る老女、 親友をひそかに裏切りつづけた作家……
かれらの前で世界は冷たく変貌しはじめる。

 

 

 

(感想)

 

感染症によって揺らいでいく日常への不安と焦り・・・

直接的な表現や出来事はないんだけど、

なんだかわからない怖さがじわじわと迫ってくる感覚。

文学なんだよなぁ・・・。

小説と呼べるのかどうか微妙な不思議な作品もあり、

まさに川上未映子さんそのもののような作品でした。

 

ちょっと私には合わないかんじ(;´・ω・)

やっぱり文芸作品は難しい!

 

| comments(0) | - | 11:44 | category:    川上未映子 |
# 夏物語
評価:
川上 未映子
文藝春秋
¥ 1,980
(2019-07-11)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 

 夏物語 / 川上未映子(文藝春秋)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

東京で小説家として生きる38歳・独身の夏子には、

「自分の子どもに会いたい」という願いが芽生えつつあった。

パートナーなしの出産の方法を探るうち、精子提供で生まれ、

本当の父を捜す逢沢潤と出会い、心を寄せていく。

いっぽう彼の恋人である善百合子は、出産は親たちの「身勝手な賭け」だと言い、

子どもを願うことの残酷さを夏子に対して問いかける。

この世界は、生まれてくるのに値するのだろうか―。

 

 

 

(感想)

 

※ かなりネタバレあります

 

第一部は「乳と卵」の改訂版らしいのですが、

「乳と卵」読んでるはずなのにまったく気づきませんでした。

読んだのは10年以上前とはいえ、自分の中になんにも入ってなかったことに愕然。

てか、この第一部がクセモノで、

540ページ程度の小説なんて私ならさほど苦労することなく読めるはずなのに、

意外にも読了まで2週間もかかってしまったんですよねぇ。

おそらくこの手の話題にはあまり生々しく触れたくない・・・

そういう思いが私の中に潜在的にあるのかもしれませんね。

私、子供いないし、欲しいと思ったこともないので。

 

男性と性的な行為をすることができない、でも自分の子供には会いたい。

主人公の夏子はそのための手段を模索します。

最終的にはお互いに思い合う相手・逢沢から精子の提供を受けて出産することになるのだけど、

2人は結ばれることなく、夏子は一人で子供を育てる。

ここでなぁ・・・もう一歩、夏子と逢沢には歩み寄って、「二人で育てる道」を選んでくれればなぁ・・・。

その結末に落ち着かなかったことが疑問だし、残念でなりません。

そうしちゃうとテーマが変わっちゃうからってことなんですかね(;´・ω・)

夏子はいいにしても、逢沢はほんとにそれでいいの?

あと、第一部で緑子が感じていた女性であることへの嫌悪感と違和感も回収できてない気がするし。

なんだかすっきりしないお話でした。

 

最後にもひとつ。

本編とは関係なく気になって仕方ないのがこの表紙! この絵はなんなんだ?

私にはこれは女性の後姿で、

ポニーテールをするときのように髪をまとめて上に持って来てる姿のに見えるんだけど、

それだとタイトルの文字の「夏」の上のあたりにある黒いのがなんだかわからんのよなー。

ネットで調べても、読者の憶測しか出てこず、はっきりしたことはわからない。

うーん、人の解釈を読めば読むほどわからなくなるし〜。

そうやって困惑させるのも狙いなのかなぁ・・・。

| comments(0) | - | 14:47 | category:    川上未映子 |
# 夏の入り口、模様の出口

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 夏の入り口、模様の出口 / 川上未映子(新潮社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

恋人の浮気を直感ピッコン+泣き落としで突き止めた話、

乗ったタクシーが事故を起こし血まみれになった運転手が必死に書いて渡してくれた物とは?

襟足から下の方まで「毛」に対するこだわりなどなど、

人気作家の摩訶不思議な頭の中と、

世界の摩訶不思議な人間たちの姿が垣間見られる???エッセイ集。

 

 

 

(感想)

 

なぜか“あれ?これどっかで読んだことある”、

“このエピソード知ってる!”という既視感がハンパなく、

恐怖すら感じたけどそれには理由がありました。

私はこれを単行本で読んだんだけど、

この作品、文庫化されるときは「オモロマンティツク・ボム!」というタイトルに改題されていて、

私はそっちの文庫版の方をすでに読んでいたのでありましたw

読書記録ノートによると2012年の8月に読んでいるんだけど、

この近辺数カ月の私は本は読んではいたけれど、

どうやらこのブログを書く気力を失っていたらしく、

この時期に読んだ本の感想がブログからごそっと抜け落ちてるんですね・・・。

(たまにそういう時期があるんです。そういう時は無理せず、書かないことにしています)

・・・と、まぁ文庫版の感想も書いてなかったことだし、

いい機会なので、改めて今回読んでの感想を書きます。

 

川上さんの着眼点や感性が好きです。

表現力や独特の言い回しにもセンスあり、言語感覚の軽さにも親しみを覚えます。

こういう短い文章が並んだエッセイ集が私は苦手なのですが、これは例外!

私、このくらいの軽さの本が無性に読みたくなる時があるんですよねー。

個人的には川上さんは小説よりもエッセイの方が面白い作家だと思います。

 

神経症の隣人の話は声を出して笑いました。

私も似たようなこと、してるかもしれないww

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:23 | category:    川上未映子 |
# おめかしの引力
評価:
川上未映子
朝日新聞出版
¥ 1,512
(2016-03-25)

JUGEMテーマ:エッセイ

 

 おめかしの引力 / 川上未映子(朝日新聞出版)

 

 評価 ☆☆☆☆

 

ぶったおれるほど最高で、起きあがれないくらい不安。

夢中にさせる、これなあに。

気づけばいつも泣き笑い、“おめかし”をめぐる失敗、憧れ、エトセトラ。

 

 

 

(感想)

 

出てくるブランド名やアイテムの値段が私達庶民のレベルではないし、

ちょっと別次元の世界だな〜と思いつつも、

きらきらした世界を楽しませてもらいました。

でも、大切なのは物の値段じゃないんですよね。

素敵なものに心をときめかせて、

おめかしをすることの楽しさをいつまでも持ち続けることが大事なんだな〜、と♪

それがいつまでもかわいい女でいるためのパワーになるのだな〜、と♪

 

「外見よりも内面の美しさの方が重要」というのは当たり前のように思えるけど、

川上さんの考え方はそうじゃない。

彼女はそれよりももう一歩先をいっていて、

「目に見えるものの美しさは内面に作用される」と仰っています。

つまり、努力をしなかったり、だらしなかったりするとそれはモロに外見に出る。

もともとが若くてきれいだったシンデレラは一晩できれいになれたけど、

年を取って体のラインも崩れた中年はそうはいかない。

年を取ってもきれいでいるための努力ができてるかどうか・・・が重要。

 

よし、私もいつまでもかわいくいられるように日々の努力、怠らないでがんばろっ!

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:46 | category:    川上未映子 |
# 人生が用意するもの
評価:
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JUGEMテーマ:エッセイ

 人生が用意するもの / 川上未映子(新潮社)

 評価 ☆☆☆

この人は読むたびに好きになっていくなぁ。
はじめに抱いていた印象が薄らぎ、
意外に普通の人なのかもってわかってきてどんどん誤解がとけていくような(笑)
着眼点の独特さとか、妙にシンパシーを感じてしまう部分も多し。

今回は震災に関するエッセイも多く、
お茶の間的な目線でこれからの日本を心配している部分に同じ世代として共感できた。
特にこれからの将来、
原発の有無によって日本が「経済的に死ぬこと」と「環境的に死ぬこと」の違い。
シンプルに考えるとどちらが恐ろしいことなのか・・・答えは1つのような気がするんだけど
経済や政治など大きな心配をしていかなきゃいけない立場の人にしてみれば
難しいことなのだろうか?

驚いたのは“走っているときに足はない”という章の黙読に関する話題。
黙読って、頭の中で音にして読む人と目だけでとらえて済ませる人の2パターンいるらしい。
目だけの人は読むのが早くて、音の人は遅いらしい。
黙読なんて呼吸するのや食べるのと同じように無意識のうちにしてるものだけど、
自分と違う方法でしてる人がいるなんて驚愕でした。
ちなみに私は頭の中でしっかりと音にしながら読んでいる。
意識しすぎると何が何だかわかんなくなるけど、
会話文のところなんかはちゃんと男女や年齢に分けて頭の中で声色すら変えてるっぽい。
なのに、うちの配偶者は目でとらえる派なんだそうな。
でもそうは言うものの、意識してる時点で無意識の状態ではないのだから
本当のところは自分がどうなのかは絶対に知ることはできないのよ。
川上さんも相当驚いてたけど、
私もこの衝撃の事実に、昨日は1日中このことばっかり考えていました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 13:50 | category:    川上未映子 |
# すべて真夜中の恋人たち
評価:
川上 未映子
講談社
¥ 1,680
(2011-10-13)
コメント:なかなか進まないストーリー・・・でも、主人公の生き方はずっとこんなペースで進んできたんだよなぁ

JUGEMテーマ:小説全般
 ● すべて真夜中の恋人たち / 川上未映子
 ● 講談社
 ● 1680円
 ● 評価 ☆☆☆
入江冬子(フユコ)、34歳のフリー校閲者。
人づきあいが苦手な彼女の唯一の趣味は、年に一度、誕生日の真夜中に街を散歩すること。
友人といえるのは、仕事で付き合いのある出版社の校閲社員、石川聖(ヒジリ)のみ。
ひっそりと静かに生きていた彼女は、ある日カルチャーセンターで
58歳の男性、三束(ミツツカ)さんと出会う・・・。



(感想)

主人公の冬子さんは人付き合いが苦手で殻に閉じこもって静かに生きる人。
前半はなかなか話が進まず、読者としてはもどかしい気がするんだけど、
それは冬子さんの性格上、仕方のないことです。
お酒を飲まなきゃ気になる人に向きあうこともできない冬子さんが
気になる三束さんと二人でお茶するようになって、いいかんじになっていって・・・・
ゆっくりゆっくりなんとか前進していく冬子さんの姿が
私には手に取るようにリアルに感じられました。

冬子さんが三束さんみたいな男性に惹かれる気持ちもわからなくない。
そしてそんな男性だからこそ、三束さんの嘘も優しさも理解できて、
二人の結末はきちんと納得できました。

川上さんはいつまでたっても「乳と卵」のアクの強いクセのあるイメージが抜けなかったけど、
こういう雰囲気もいいなぁ。
プライベートでは昨年、一筋縄じゃいかない個性的な方と再婚されたので、
いい意味であの方のエッセンスも今後の作品から感じられればいいなと思ってたけど、
それはそれ、これはこれでこういう川上さんもまた期待しています

すべて読み終わった後に、もう一度1ページ目を読むと、
最初に読んだ時よりずっとずっとこの文章が素敵に思えます。
余韻がビンビン響いてくるんですよね。沁みる〜
| comments(0) | trackbacks(0) | 16:43 | category:    川上未映子 |
# ヘヴン
評価:
川上 未映子
講談社
¥ 1,470
(2009-09-02)
コメント:これが川上未映子?

JUGEMテーマ:小説全般 
 ● ヘヴン / 川上未映子
 ● 講談社
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆
僕とコジマはこのクラスでいじめを受けている。
しかしある日を境にクラスメートには内緒で、
彼女と秘密のやりとりをするようになった。
僕にはコジマがいる・・・そう思えることで僕の人生ははじめて輝きだした。
永遠に続くと思っていた友情・・・なのに、どうしてみんなは僕たちを放っておいてくれないんだ・・・。
14歳の苛めを正面から描き、生と善悪の意味を問う、著者初の長篇小説。



(感想)

芥川賞受賞作の「乳と卵」は独特な文体とリズム感が印象的で、
いい意味でも悪い意味でも記憶に残る作品だったけど、
今作には正直「これが川上未映子」と思ってしまいました
「乳と卵」に比べて読みやすくなったけど、川上さんの場合はこれがいいこととは思えないなぁ。
彼女素敵なセンスが・・・個性がなくなってしまった

これは単純に中学生のいじめを描いているだけじゃない。
もっと精神に訴えてくるようなメッセージも発しているような気がしつつも、
それが何なのか私にはきちんと伝わってこない。
だからきっとこの本は私の記憶には長く残らない・・・そんな気がする

百瀬という同級生を、あの病院での場面だけでなく、
もっとしっかりと描いてくれたら違っていたかもしれないなぁ。
| comments(0) | trackbacks(1) | 15:45 | category:    川上未映子 |
# 乳と卵
乳と卵
乳と卵
川上 未映子
乳と卵/川上 未映子
文藝春秋
1200円
評価 ☆☆☆
JUGEMテーマ:小説全般
姉の巻子とその娘・緑子が上京してきた。
その目的は巻子が豊胸手術を受けるためだという。
豊胸で頭がいっぱいな巻子。
そして、まったく言葉を話そうとしない緑子。
3人で過ごした痛快な3日間を描く。




(感想)
芥川賞受賞作の表題作を含む全2作。

「ああ、いかにも芥川賞選考委員が好きそうな作品だ」
、というのがまずは感想。

もう今や若手作家に使い古された(パクられた?)感のある
句読点の少ない文章とテンポには今更新鮮味は感じないけど、
この人の言葉選びのセンスは結構好きかも猫2

表題作ももう一編の「あなたたちの恋愛は瀕死」も、
女として生きることの生き苦しさを感じさせる。
母であること、娘であること、姉であること、妹であること。
そして女であること・・・。
豊胸・初潮・メイク・・・などのキーワードから
女らしくあることに対する恐怖、嫌悪、
逆に女らしくなりたい願望までも描き出しています。
描き方はややこしいんだけど、
特に「乳と卵」の方は言いたいことはものすごーくシンプルな作品です。

「あななたちの恋愛は瀕死」は
文学なのか、哲学なのか、モード系っぽさなのか、
とにかく何かを狙ってるっぽい空気がプンプンして作為的。

でも「乳と卵」のクライマックスの卵のシーンは迫力あったな。
卵を割るたびにこの場面を思い出しそうで、
ちょっとしたトラウマたらーっ
ちょっと鼻につく点もある作家なんだけど、
こんなインパクトのあるシーンを描ける新人ってやっぱり凄いのかもしれない
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:53 | category:    川上未映子 |
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