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JUGEMテーマ:小説全般
● 黄色い家 / 川上未映子(中央公論新社)
● 個人的な評価 ☆☆☆☆
十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、
生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。
危ういバランスで成り立っていた共同生活は、
ある女性の死をきっかけに瓦解し……。
人はなぜ罪を犯すのか。
世界が注目する作家が初めて挑む、圧巻のクライム・サスペンス。
(感想)
川上未映子さんらしくない社会派小説。
新境地ではないでしょうか。
少し前に読んだ小説でも、
「育った環境が人を作る」ということを思い知らされたばかりで、
この作品もまたしても似たような苦さが残りました。
この作品の主人公・花のように
地頭がよく、動き、考えることのできる人は、
いい方にも悪い方にも知恵を働かせることができるんですよね。
ネタバレになりますが、
黄色い家を出てから、あのネット記事を見つけるまでの約20年は
花にとって空虚な日々だったと想像できます。
けど、黄美子さんと再会したことで、またギラギラした日々がはじまるはず。
その先にあるのは決してハッピーエンドではないけれど、
きっと花は自分の選択は間違っていないと考えるんだろうなぁ。
だから彼女は幸せにはなれないんだ。
黄美子さんにはあっと驚くような真実があることを期待してましたが、
結局何もない人だったのには拍子抜け。
そのへんにわずかに物足りなさを感じ☆は4つ。
でも一気読みでした。