隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# よその島 / 井上荒野
評価:
価格: ¥ 1,870
ショップ: 楽天ブックス

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● よその島 / 井上荒野(中央公論新社)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆

 

東京での暮らしをたたみ、「島」に移住した70代の夫婦と、友人の小説家。
それぞれの秘密、それぞれの疑惑があやしく溶け合うなかで
〈真実〉が徐々に姿を見せていく。


 

 

(感想)

 

決して読み心地のいい世界観ではありません。

ミステリーっぽいただならぬ雰囲気がすんごく薄気味悪く、

申し訳ないけど空気感は退屈。

 

信じていたことが途中で完全に裏切られ、意外な展開。

雰囲気にのまれて、まんまと騙されてしまったという感じですw

| comments(0) | - | 09:12 | category:    井上荒野 |
# そこにはいない男たちについて / 井上荒野

JUGEMテーマ:小説全般

 

 ● そこにはいない男たちについて / 井上荒野(角川春樹事務所)

 

 ● 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

愛する夫を喪った女と、夫が大嫌いになった女。

おいしい料理教室を舞台にしたふたりの“妻”の孤独と冒険の物語。

 

 

 

(感想)

 

「夫を突然なくした女性」と「大嫌いな夫と暮らしている女性」・・・

2人の女性が自分の置かれていく現状と今の気持ちにゆっくりゆっくり気づいていく。

それを見守るかのような物語です。

美味しそうな食べ物と、ゆったりとした大人な雰囲気。

相変わらずの井上荒野ワールド。

 

どちらの女性の方が不幸なんだろう?

本人たちも読者もそれについて考えるけど、それは比べるもんじゃないね。

自分より不幸な人を見つけたからといって、何かが変わるわけじゃないもん。

 

タイトルが絶妙。

 

 

| comments(0) | - | 23:05 | category:    井上荒野 |
# リストランテ アモーレ
評価:
井上荒野
角川春樹事務所
¥ 1,512
(2015-04-01)

JUGEMテーマ:小説全般

 リストランテ アモーレ / 井上荒野(角川春樹事務所)

 評価 ☆☆


季節とともに移ろいゆく人生と料理。
美しく彩られた食材と香りたつ恋愛。

姉弟で切り盛りしている目黒の小さなリストランテ。
色艶に満ちた皿の数々と、
それぞれの事情を抱えたアモーレども(罪深い味わいに満ちた男と女)を描く幸福な物語。



(感想)

うーん雰囲気はあるんだけど、共感できるキャラがいないし、
おしゃれ感が強すぎて私には合わなかったかなぁ。

基本的にこういう「料理がたくさん出てくる小説」はどれも美味しそうで、
食への好奇心を刺激されて、それだけでも満足感を感じるもの。
でもこの本に出てくる料理は私にはまったくなじみのないものばかり。
パンタレッラ・カスタニャッチォ・ティジェッレなどなど・・・
もーう、何が何だか全然わからん(-_-) それって食べ物なんですか?の世界。
これじゃあなーんの想像力も刺激されません(^_^;)

店側も常連も悪気はないのだけど、
この店、常連じゃない人はほんとに居心地の悪い店だと思う。

シェフと父親、
偲さんと松崎さんの関係がおさまるところにおさまったのは嬉しかったけど、
最終話はいらなかったですね。てか、Mさん自体がいらない存在。
モヤッとしたものが残りました。
| comments(0) | trackbacks(0) | 09:51 | category:    井上荒野 |
# ベッドの下のNADA
評価:
井上 荒野
文藝春秋
¥ 1,650
(2010-12)
コメント:冷めきった空気・・・。私に理解できない夫婦感。

JUGEMテーマ:小説全般
 ● ベッドの下のNADA / 井上荒野
 ● 文藝春秋
 ● 1650円
 ● 評価 ☆☆☆
結婚5年目。
私たちの経営する喫茶店「NADA」は郊外の古いビルの地下にある。
「NADA」のマスター夫婦をめぐる不穏な日常――共有される時間と不在の時間の記憶。
現在と過去、変わらぬ日常と秘密の外出。
あなたは、夫(あるいは妻)の子供時代をしっていますか?
夜の沈黙、昼の饒舌―追憶と現在。愛情と嘘。
今日も「NADA」には常連客が集まってくる。


(感想)

夫婦2人、仕事の私生活もいつもそばにいるのに、寂しい・遠い・・・。
周囲にはなにも問題のない夫婦のように見えるのに、実際はこんなもの。
あーあ、夫婦生活に慣れすぎてしまうとこんなふうになっちゃうのかな。
お互いがいやになったわけでもなく、
浮気相手に強く惹かれてしまったわけでもないのに浮気するって理解できない・・・。

子供も、お世話をしなきゃいけない親もいないというのは私達夫婦にも共通することなんだけど、
こんな夫婦は悲しい。
自分の家なのに、自分の居場所なはずなのに心から安心して暮らしてない・・・みたいな。
この夫婦、どうして一緒にいるかわかんない。
なんだか共感できない作品でしたね。こういう夫婦の形もあるのでしょうか?
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:02 | category:    井上荒野 |
# キャベツ炒めに捧ぐ
評価:
井上 荒野
角川春樹事務所
---
(2011-09)
コメント:食べ物パワー、おばさんパワーはやっぱり凄い!

JUGEMテーマ:小説全般
 ● キャベツ炒めに捧ぐ / 井上荒野
 ● 角川春樹事務所
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆☆☆
小さな町のささやかな商店街の中に「ここ家」がある。
こだわりのご飯に、ロールキャベツ、肉じゃが、コロッケ、ひじき煮・・・・・・。
60歳前後のおばさん3人が毎日、それぞれの悲しい過去や切ない想いを抱きながらも、
季節ごとの野菜や魚などを使って心をこめておいしいお総菜を作っています。
働いて、お酒を呑んで、しゃべって、笑って・・・いろいろあるけど3人は楽しく暮らしています。



(感想)

舞台は3人のおばさんで切り盛りするお惣菜や「ここ家」。
美味しそうなものがたくさん出てきて、登場人物の年齢層が高いこともあり、
なんだかのほほーんとした印象を持ちそうになるけど、
おばさん一人一人を見つめると、それぞれに過去の傷や悲しく切ない思いを抱えている。
若い女性が3人集まる小説だったら、
こんな枯れ具合も味わい深い哀愁も出なかっただろうなぁ。
「静子の日常」といい、井上荒野さんの書くおばさん小説(?)って好きかも。

特に大きな出来事が起こらないグダグダな感じが嫌な読者もいるだろうけど、
私はだからこそリアルに感じる。
3人に憧れはしないけど、それぞれの過去の経験も踏まえると、
まぁ悪くない老後を迎えようとしてるんじゃないかなぁ。

ああ、やっぱり食べ物の持つパワーと元気なおばちゃんパワーに勝るものはない。
どんなつらいことがあっても、美味しい物を作ろうとする気持ちや、
食べて「ああ、美味しいな」って思えるんだったらまだまだ大丈夫な気がします。
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:53 | category:    井上荒野 |
# もう二度と食べたくないあまいもの
評価:
井上荒野
祥伝社
¥ 1,500
(2010-04-10)
コメント:このタイトル、秀逸ですね

JUGEMテーマ:小説全般
 ● もう二度と食べたくないあまいもの  / 井上荒野
 ● 祥伝社
 ● 1500円
 ● 評価 ☆☆
気がつかないふりをしていた。
もう愛していないこと。もう愛されていないこと。
直木賞作家が美しくも儚い恋の終わりを描いた短編集。



(感想)

このタイトル、秀逸だなぁ。
思わず手に取らせてしまう、すごいインパクトがありますよね。
甘く幸福だったはずなのに、その恋が苦く冷めたものになっていく・・・。
それぞれのお話についたタイトルもシンプルで簡潔で、こちらもうまい。

もう愛してない、愛されてない。
心の奥底では、もうわかっているけどジタバタしない。
騒がなければ、また元のように戻れるかもしれない・・・。
曖昧にして、ほうっておいて、たまりにたまって諦めていくこのかんじ・・・わかるなぁ。
「切羽へ」でも感じたけど、井上さんってこういう大人の微妙な感情を書くのがほんとに上手なんですよね。

なぜかさらさらと読めてしまうけど、記憶には残らなそう。
正直、もうすでにはっきり思い出せるお話は2,3つくらいだし。
| comments(0) | trackbacks(0) | 12:38 | category:    井上荒野 |
# 静子の日常
評価:
井上 荒野
中央公論新社
---
(2009-07)
コメント:素敵なおばあちゃんの毎日

JUGEMテーマ:小説全般
 ● 静子の日常 / 井上荒野
 ● 中央公論新社
 ● 1470円
 ● 評価 ☆☆☆☆
宇陀川静子、75歳。
息子夫婦(愛一郎・薫子)が同居するために借りてくれた一軒家に、
彼らと孫のるかとの4人で暮らしている。
週に2回は水泳を習うためにフィットネスクラブに通い、
「可愛らしいおばあさん」だからすぐにみんなの人気者になった。
でも、この人、たんなる可愛らしいおばあさんじゃおさまらない
何かに過剰すぎて、反対に何かが決定的に足りなくもあるこの世の中で、
毎日のように出くわす“ばかげた”事象を決して見過ごさない。
このバランスの悪い現代での、静子なりの決着のつけ方とは・・・。



(感想)

読み始めて2,3ページですぐに“私の好きそうなにおいがする”と感じましたが、
最初のイメージ通り、私好みの作品でした

75歳の可愛らしいおばあちゃん・静子さんは、ポジティブで行動的。
自分を「もう年だから・・・」なんてまったく考えることもなく、
どんどん若い人の輪に入っていく(というか、自然に若い人たちが歩み寄ってくる)。
こんなおばあちゃんになりたいと思ってしまうような理想的なお年寄りなのです。

何も知らないふりをして、でも物事はしっかりと見ている。
この年になると若い人の言うことに流されがちだけど、自分の考えはちゃんと持っている。
しかも、家族や若い仲間の人生がいい方向へ向かうように、
本人に気づかれようにさりげなく軌道修正のサポートをしてくれるような人。
でしゃばらず、見返りを持たない、「私がしてあげたのよ」的な意識すらない・・・。
この年齢になれば人生の紆余曲折を味わって物事を達観できるようになっているでしょう。
その時に自分に残っているものが、こんな優しさとさりげなさだったらいいなぁ。
ああ、こんな年の取り方がしたい

自分の思い通りにいかないことを拒絶したり、イヤイヤ思いながら妥協するよりは、
静子さんのように折り合いをつけてしまう方がいい。
がまんしなければならないから、その環境でも楽しめる要素を自分で見つけてしまおう。
案外、このくらいのペースで生きる方がラクなのかもしれませんよね

ちっぽけだけど、これこそが私自身の人生。
その愛おしさ・かけがえのなさをしみじみを感じさせてくれる本です。
ほっこりいい時間を過ごさせてもらいました
| comments(2) | trackbacks(1) | 11:55 | category:    井上荒野 |
# あなたの獣
評価:
井上 荒野
角川グループパブリッシング
¥ 1,470
(2008-11-29)
コメント:漂うような、つかみどころのない「櫻田 哲生」の人生

JUGEMテーマ:小説全般
● あなたの獣 / 井上荒野
● 角川書店
● 1470円
● 評価 ☆☆☆
僕は書店の店長。
万引きにも強く対応できないほど頼りなく、若い店員にも軽んじられているのに、
大きなおなかを抱えた妻には「仕事を辞めないでね」といわれている。
僕がこうなったのには理由がある。それは過去の幾人かの女の存在・・・・。
つかみ所がなく、女を苛立たせながらも、女の切れることのない男・櫻田哲生の不穏にして幸福な生涯。
章ごとに、時代を変えて男の一生を描いた、長編小説。



(感想)

ある章では学生時代の櫻田哲生、また別の章では子供の櫻田哲生・・・・。
時系列がバラバラで、川上弘美さんの「ニシノユキヒコの恋と冒険」みたいに
一人の男の生涯をランダムに描くスタイルの作品です。

とにかく、この櫻田哲生という男はつかみどころがない。
どこにでもいるようで、どこにも存在してないような漂うような男。
どんなに長い付き合いがあったとしても“この人はこういう人”と一言で言い表せないような。
こういう男に惚れた女は不幸だろうなぁ。

「あなたの獣」。
タイトルの意味ってなんだったんだろう。
意味深すぎて、はっきりとこうなんだろうな、と答えが出せない。

なんだかよくわからなかったし、いつまでも心に残るようなインパクトもなかったけど、
櫻田哲生のような要素は私の中にもありそうで、ちょっと背中が寒くなるような怖さもありました。




・・・うーん、こういう本は感想書くのが難しい
| comments(0) | trackbacks(0) | 11:23 | category:    井上荒野 |
# 切羽へ

評価:
井上 荒野
新潮社
¥ 1,575
(2008-05)
コメント:何もないからこそ濃密な大人の恋愛小説
JUGEMテーマ:恋愛小説
●切羽へ/井上荒野
●新潮社
●1575円
●評価 ☆☆☆☆
静かな島で、夫と穏やかな日々を送るセイの前に、ある日、一人の男が現れる。
夫を愛していながら、急速にその男に惹かれてゆくセイ。
宿命の出会いに揺れる女と男を、緻密な筆に描ききった美しい切なさに満ちた恋愛小説。


(感想)
舞台は唯一の小学校には生徒が9人しかいないような小さな小さな島。
島へ入る手段は当然、船しかなく、島への出入りは誰にも隠せない。
そんな監視されるかのような狭い環境の中で生まれる恋・・・・。
こう考えるとと「島」ってエロチックだわ

井上荒野さんの作品は初めて読んだけど、不思議な文章を書く人だなぁ。
サラサラと読める読みやすい文章なのに、
お互いに触れることすらなく、ぎこちなく求め合う二人の緊張感が行間にまで溢れてる。
繊細で官能的。まさに大人の恋愛小説ですね。
こういうのが直木賞をとるとはねぇ

出会いは3月。
4月、5月、6月・・・と季節の移ろいと並行して高まる思い。
決定的な出来事は何もないのに、二人が惹かれあっていることには島の誰もが気づいてる。
相手の男性は決して素敵な男性ではないけど、
この島に本土から独身の男性が引っ越してくること自体が事件であり、スキャンダルのもと。
平凡な日常にある日突然異物が入ってくることで、女たちは日常どころか心までかき乱されてしまう。
思いは日に日に募るのに、何の行動も起こさない主人公とは逆に
同僚の月江は誰に隠すこともなく、堂々と不倫の恋に身を焦がす。
この対照的なコントラストも作品の激しさを増している。

タイトルにも使われている「切羽」という言葉は、
「トンネルを掘っているいちばん先の部分」という意味らしい。
つまり、トンネルが完成すればなくなってしまう部分。
精一杯の勇気を出しても切羽までしかたどり着けなかった二人・・・。
このもどかしさが余韻として残ります。
久しぶりに大人の味わいのある恋愛小説に出会ったなぁ。満足満足
| comments(0) | trackbacks(0) | 14:23 | category:    井上荒野 |
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