隣り近所のココロ・読書編

本の虫・ともみの読書記録です。
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# マカロンはマカロン

JUGEMテーマ:小説全般

 

 マカロンはマカロン / 近藤史恵(東京創元社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

下町の小さなフレンチ・レストラン、「ビストロ・パ・マル」は、

スタッフ四人、カウンター七席、テーブル五つ。

シェフ三舟さんの気取らない料理と、身も心も温めてくれるヴァン・ショーは大人気。

でも、実はこのシェフ・・・、

客たちの持ち込む不可解な謎を鮮やかに解く名探偵でもあるのです。

絶品料理の数々と極上のミステリを味わえるシリーズ第3弾!!

 

 

 

(感想)

 

小さなフレンチレストラン「ビストロ・パ・マル」シリーズの第3弾です。

自分はフレンチには詳しくないから、

1つ1つの料理をいまいちうまくイメージできないのがもったいなくはありますが、

あまり深く考えずに気楽に読めるミステリーなのでこのシリーズは気にいっています。

 

恋の切なさや家族の絆を描くあたたかいお話もありましたが、

人を騙すことに「パ・マル」の料理を利用するお客さんが出てくるような

読んでいて後味の悪い話の方が強く残りました。

仕事だから口出しはできないし、割り切らなきゃいけない。

こういうのはお店の人にとってもつらいだろうなぁ。

でも、読者のそのイヤ〜な感情も「パマル」の温かな雰囲気と料理が癒してくれます。

そのへんのバランスの良さもこの作品の魅力なのでしょうね。

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# 殺人出産

JUGEMテーマ:小説全般

 

 殺人出産 / 村田沙耶香(講談社文庫)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

 

「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい──。

そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、

「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。

育子の職場でも、また同僚がひとり「産み人」となり、

人々の賞賛を浴びていたが、どこか複雑な思いを抱く育子。

それは、彼女が抱える人には言えないある秘密のせいなのかもしれない……。

 

 

 

(感想)

 

 

表題作の「殺人出産」の他、3編を収録した短編集です。

 

これまで読んだことのないような世界観。

その発想力の斬新さに圧倒されました。

乙一さんや三崎亜記さんをはじめて読んだ時に似たような衝撃です。

 

だけどちょっとぶっ飛びすぎてるかなぁ。

どのお話も理解しがたく、感情がついていかない不気味さを感じます。

この作品には常識も人間らしい感情もまったく存在せず、

村田さんが仲の良い作家さん達から「クレイジー沙耶香」と呼ばれているのも納得です。

共感できるようなものではなかったけれど、

このぶっとんだ村田さんが今後どんな作品を生み出すのかにはとても興味があります。

注目し続けたい才能であることには間違いありません。

| comments(0) | trackbacks(0) | 16:06 | category:    村田沙耶香 |
# (やまいだれ)の歌
評価:
西村 賢太
新潮社
¥ 1,620
(2014-07-31)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 (やまいだれ)の歌 / 西村賢太(新潮社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

中卒で家出しその日暮らしを繰り返していた北町貫多は、

十九歳にして心機一転を図 ろうとした。

横浜で新しい仕事を得、片恋する相手も見つけ、

人生の軌道修正も図れ るかと思いきや、ほどなく激しい失意が訪れる。

そのとき彼の心の援軍となったの は、或る私小説家の本だった──。

暗い青春の軌道を描く待望の長篇私小説。

 

 

 

(感想)

 

19歳になった貫多は横浜へ移住し、造園業者で働いています。

職場の事務の女の子への片恋ではお得意のポジティブシンキングを発揮し、

酒に溺れ、ほんっとーに相変わらず勘違いのクソ野郎です。

明らかに女性向けとは言えない作品!

でも、言葉のチョイスと文章のうまさに引きつけられて読んじゃうんですよね〜。

西村さん、他の人が使わないようなおもしろい言葉を引っ張り出してくる天才です!

「うわー、こんな言葉使うんだ!w」とそのセンスにはゾクゾクしちゃいます。

 

私小説ということですが、どこが真実で、どこが脚色なのかを知りたいなぁ。

酒や女での失敗、「台所の流しで用をたす」などのサイテー行為・・・、

ここまで書ける度胸に感服。

最終的にはこの職場でもお約束通りに負の方向へ進んでいく貫多ですが、

仕事納めのあの出来事はさすがにかわいそう。

こんなクズ野郎でも「かわいそう」と同情できるその憎めなさ・・・。

貫多のそういうとこが読者的にはたまらないのです。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:15 | category:    西村賢太 |
# 彼女に関する十二章
評価:
中島 京子
中央公論新社
¥ 1,620
(2016-04-06)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 彼女に関する十二章 / 中島京子(中央公論新社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

息子は巣立ち、夫と二人の暮らしに戻った主婦の聖子が、
ふとしたことで読み始めた60年前の「女性論」。
一見古めかしい昭和の文士の随筆と、
聖子の日々の出来事は不思議と響き合って……
どうしたって違う、これまでとこれから――
更年期世代の感慨と、思いがけない新たな出会い。
上質のユーモアが心地よい、ミドルエイジ応援小説。

 

 

 

(感想)

 

60年前のベストセラー「女性に関する十二章(伊藤整)」を引用しながらゆるやかに進行する物語です。

50代の平凡な奥さんの日常を描いていると思いきや、意外に奥が深く、

様々な経験をしてきたこの年代ならではの寂しさや諦めも感じるのですが、

それがいい意味で心地いい。

平凡な、普通の、そんな女性に贈る「哲学書」といってもいいのかも。

 

この人生で誇れるような大きなことを何も成し遂げられなくても、

聖子さんのように自分の置かれた場所で自分なりに生きればそれでよし、と思えました。

案外、「人生」ってこういうものなのかもしれませんね。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:17 | category:    中島京子 |
# 下町ロケット2 ガウディ計画
評価:
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JUGEMテーマ:小説全般

 

 下町ロケット2 ガウディ計画 / 池井戸潤

 

 個人的な評価 ☆☆☆☆

 

ロケットエンジンのバルブシステムの開発により、倒産の危機を切り抜けてから数年――。
大田区の町工場・佃製作所は、またしてもピンチに陥っていたが、
そんな時、社長・佃航平の元にかつての部下から、ある医療機器の開発依頼が持ち込まれた。
「ガウディ」と呼ばれるその医療機器が完成すれば、多くの心臓病患者を救うことができるという。
しかし、実用化まで長い時間と多大なコストを要する医療機器の開発は、中小企業である佃製作所に
とってあまりにもリスクが大きい。苦悩の末に佃が出した決断は・・・・・・。

 

 

 

(感想)

 

ドラマ版の方を見ているので内容は知っていたのですが、

それでもやっぱり「物作り」に賭ける人々の熱意に胸がいっぱいになります。

同シリーズの「下町ロケット」にしても、「陸王」にしても、

池井戸潤作品の魅力はこの込み上げてくる「熱さ」です。

まじめに努力する人がいて、でもそれを邪魔する人達がいて・・・と、

構成がベタでわかりやすいのもいいのかもしれません。

 

正直、医療分野の専門用語など知識のない自分には理解しにくい部分は多いんだけど、

それも乗り越えちゃうくらいビンビン伝わる熱・・・。

この路線が好きな人は文句なく堪能できると思います。

| comments(0) | trackbacks(0) | 10:15 | category:    池井戸潤 |
# クローバーナイト
評価:
辻村 深月
光文社
¥ 1,512
(2016-11-17)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 クローバーナイト / 辻村深月(光文社)

 

 個人的な評価 ☆☆☆

ママ友の不倫疑惑、熾烈な保活、過酷なお受験、驚愕のお誕生会、そして――。

保育園に通う一男一女を抱える鶴峯家は、

子育てにまつわる数々の試練を乗り越えられるのか!?

直木賞作家・辻村深月が贈る、子育て世代への高らかなエール!!

 

 

 

(感想)

 

ママ友・保活・お受験・誕生日パーティなど子育てがテーマの作品で、

子供のいない私には遠い話しすぎて、わからない世界でしたが、

「VERY」に連載していた作品ということを知り、納得!

たしかにこれ、あの雑誌の読者が興味を持ちそうなテーマですよね。

彼女達が共感し、憧れそうな、都会的な今時の若い家族が出てくるし、

「VERY」掲載小説としては大成功なのではないでしょうか。

 

「子供のために」であるはずの様々な出来事が

次第に競争や見栄の張りあいになり、嫉妬も渦巻き・・・。

凄い世界だなぁ・・・私、この世界で生き抜く自身ありませんww

保活に有利になるように離婚なんて常軌を逸しています。

でも、追い込まれて必死になると、何が正しいのかがわからなり、

こんな非常識な選択もしてしまうという心理は理解できるかも。

 

これで主人公が母親の志保さんだったら、

女性ならではのもっともっとドロドロした感じになってたんだろうけど、

主人公を父親の裕さんにしたことでママ達の世界を客観的に描くことができ、

内容のわりには軽めの作品に仕上がっていると思います。

 

でもまぁ、やっぱ「VERY」だよな〜。

ただようセレブ感が私にもどうも苦手でしたっ!

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:59 | category:    辻村深月 |
# ヴァラエティ 
評価:
奥田 英朗
講談社
¥ 1,296
(2016-09-21)

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 ヴァラエティ / 奥田英朗

 

 個人的評価 ☆☆☆★★

 

「奥田英朗はぜんぶ読んでる」という人にも、

じつはまだ読んでいない作品があるかも。

単行本初収録の短篇をはじめ、現在入手困難となっているアンソロジーの短篇、

唯一のショートショート、数少ない貴重な対談などを収録。

コアなファンからちょっと気になった人まで、

レアな奥田英朗を楽しめるスペシャル作品集!!

 

 

 

(感想)

 

著者本人が「あとがき」という名の「いいわけ」で書いているのですが、

今作はこれまで本としてまとまらず、

お蔵入りになりかけていた作品をまとめて出版したものです。

短編・ショートショート、はたまた対談まで盛り込んであり、まるでごった煮状態!

まぁ、これで奥田英朗初読みという人はいないでしょう。

コアなファンのため、そして著者本人のために出版された本ではなのでしょうか。

と、そういう経緯で出版された本なので安い紙を使ってるし、スピンもありませんw

 

なかでも一番印象に残ったのは「セブンティーン」という短編。

この親子(母と娘)のそれぞれのオンナゴコロ・・・わかるな〜。

ここに父親が介入するのは気持ち悪くて絶対にナシ!!

でも、これを高校生の娘がいてもおかしくない世代の男性である

奥田さんが書いてるというのが笑えますww

 

山田太一さんとの対談では、

「よく生きる人は、真実に深入りしない」という言葉が印象的でした。

諦めることは一種の美学・・・。

これに似たことが以前よしもとばななさんの小説にも書かれてて

強く心に残ったのを覚えています。

自分には無理っぽいことにがむしゃらにチャレンジするより、

実現可能な世界で自分を磨いていく・・・・

うん、そっちの方が現実的で素敵な生き方かもしれないなぁ。

| comments(0) | trackbacks(0) | 12:11 | category:    奥田英朗 |
# コーヒーが冷めないうちに
評価:
川口俊和
サンマーク出版
¥ 1,404
(2015-12-07)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 コーヒーが冷めないうちに / 川口俊和(サンマーク出版)

 

 個人的評価 ☆☆★★★

 

【2017年 本屋大賞ノミネート作品! 】
とある街の、とある喫茶店のとある座席には不思議な都市伝説があった。
その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという
ただし、そこにはめんどくさい……非常にめんどくさいルールがあるのだが・・・。
この物語は、そんな不思議な喫茶店で起こった、心温まる四つの奇跡♪
あの日に戻れたら、あなたは誰に会いに行きますか?

 

 

 

(感想)

 

本屋大賞ノミネート作品です。

本屋大賞は私が最も信頼している賞だけど、今作に関しては「?」。

文章が読みにくいし、過去に戻る際のルールも多すぎて読んでて非常にめんどくさい。

妙に行間を取っているけど、それに意味も感じない。

でも他の方々のレビューを読んで著者が脚本家兼演出家であると知り、

すべてを納得しました。

小説ではなく、どちらかというと台本的な書き方のように感じます。

だからト書きのような説明的な物を感じ、行間も多い・・・そういうこと。

 

人物の描き方も雑なので、登場人物に愛着がわきません。

もっと深く掘り下げて描けば魅力的に映るようなキャラばかりなのにもったいないです。

さらに第4話である人物が北海道にいることに関してなんの説明もなく、

「どうして?こんな大事な日にどうして??」と疑問が渦巻き、すっきりしない読後感。

 

とにかく著者の力量不足を感じてならない作品。

でも頭の中を物語を描く力はあるようだから、

それを文章にする力をつけるのがこの方の今後の課題でしょうね。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:30 | category: 作家名 か行 |
# 蠕動で渉れ、汚泥の川を

JUGEMテーマ:小説全般

 

 蠕動で渉れ、汚泥の川を / 西村賢太(集英社)

 

 評価 ☆☆☆☆☆

 

白衣を着てコック帽をかぶった北町貫多は、

はじめての飲食店でのアルバイトにひそかな期待を抱いていた。

日払いから月払いへ、そしてまっとうな生活へと己を変えて、ついでに恋人も…。

労働、肉欲、そして文学への思い。

善だの悪だのを超越した貫多17歳の“生きるため”の行状記!!

 

 

 

(感想)

 

貫多・・・いくら若さ故に何も知らず、世の中をなめまくってると言ったって、

こんなのが自分の周囲にいたら、不快でならないほどのゲスである。

しかも、これが私小説だっていうんだから凄すぎる。

 

でも、ここまでのクソ野郎なのに貫多憎めないのはなぜなんだろうな。

もはや馬鹿を超えた馬鹿だからなのかなぁとも思ったけど、

やっぱり何より西村賢太の文章のうまさ、これに尽きるのではないでしょうか。

言葉のチョイスがサイコーにうまくて、不愉快さも笑いに変えちゃう。

貫多がブタ女房に真正面から本音を言い放った場面は

これ以上ないほどスカッとしました。

数々の蛮行も若いからできちゃうんだろうけど、

できれば貫多には心の成長はせず、いつまでもゲスなままで、

私達を爆笑させてほしいものであります。

 

道徳観なし、人(特にレディーたち)には決してお薦めできないけど私は大好きです。

| comments(0) | trackbacks(0) | 11:22 | category:    西村賢太 |
# コンビニ人間
評価:
村田 沙耶香
文藝春秋
¥ 1,103
(2016-07-27)

JUGEMテーマ:小説全般

 

 コンビニ人間 / 村田沙耶香(文藝春秋)

 

 評価 ☆☆☆☆

 

36歳未婚女性、古倉恵子。

大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。

これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食。

夢の中でもコンビニのレジを打ち、

清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。

ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、

そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。

「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。

 

 

 

(感想)

 

「普通」とはなんなのか、それになんの意味があるのかを考えさせられました。

ちょっと変わった人のお話ではありますが、

異質なものに対して過度に不寛容になり、排除しようとするあたりは

今の世の中のリアルをうまく描いている作品です。

 

最終的に「主人公を理解してくれる男性に出会って普通の幸せを手に入れた」とか、

「病気が治って前向きに人生を歩み始める」とかそういう結末じゃないところが

この物語の肝だと思います。

それぞれの生き方、それぞれの幸せ・・・・で、いいんだよってことですよね?

 

最後に。

コンビニという場所はあんな狭い空間ながらも、

現代社会におけるあらゆるサービスが集約しているすごい場所です。

レジや商品補充だけでなく、仕事の内容は多岐に渡り、覚えなきゃいけないことも多いはず。

絶対に底辺と馬鹿にされるような職種ではありません。

主人公にとって、コンビニで働くことが何よりの幸せであり天職であり、

もはや「人間である以上にコンビニ店員である」とすら感じているのだから、

その生き方になにも恥じることはない。

それよりも「普通」に拘り、柔軟な感覚で物事を受け入れられない人の方がよっぽど悲しいのでは?

せめて自分は、自分の価値観を人に押し付けて、

その人を苦しませたり悩ませたりすることは絶対しない人間でありたいと思いました。

| comments(0) | trackbacks(0) | 15:13 | category:    村田沙耶香 |
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